エジプトで、SNSフォロワー5千人逮捕対象

エジプト シーシー大統領 軍事政権で5千人以上のフォロワーを監督対象に(写真:ロイター/アフロ)

KNNポール神田です。

エジプトが交流サイト(SNS)に対する規制を強めている。エジプト議会はこのほど5千人以上のフォロワーがいる場合、新聞やテレビと同様に「メディア」として扱い、規制当局の監督対象とする法律を可決。SNSを通じ、政権批判やデモの呼びかけが広がるのを押さえ込む。シシ大統領の強権政治に一段と拍車がかかっている。議会で可決された法律は、5千人以上のフォロワーがいるフェイスブックやツイッターなどの個人アカウントやブログを規制対象とする。

出典:エジプト、SNS規制強化 フォロワー5千人超対象 新聞・テレビと同様に監督対象 政府批判を抑圧

Facebook革命後のエジプト

時のFacebookを一躍有名にしたのが2つの革命だった。

2011年1月のチュニジアの「ジャスミン革命」と、2011年2月のエジプトのムバラク政権が倒れた「アラブの春」の民主化だ。約30年にわたって続いたムバラク政権は、ソーシャルメディアの民主化に倒れた…。イスラム組織「ムスリム同胞団」を基盤とするムハンマド・ムルシー大統領が誕生する。エジプト建国以来初の文民大統領の誕生だ。

しかし、2013年7月には、国防相だったアブドルファッターフ・アッ=シーシーが軍事クーデターを図り成功、2014年1月の選挙で、シーシー大統領が誕生し、2018年4月にも再選している。

シーシー政権は、反体制は拘束するという軍事体制を指導し、数々の言論弾圧に続き、今回は、5000人以上のフォロワーを持つ個人は、すべて「メディア」として監視対象、場合によっては検挙できる法案を成立させたのだ。

シーシー大統領の思惑

イスラム教(スンナ派)信者が90%を占めるエジプト。イスラム教には、預言者ムハンマドの直系の血にこだわるシーア派と、ムハンマドの教えである『スンナ(慣行)』を重視するスンナ派に大きく分けられる。イスラム教では1日に5回の礼拝の時間があり、当然、外出時には、礼拝所に集まる。そこにスマートフォンやソーシャルメディアによって言論情報が闊達に動き、礼拝所でさらに同調意見が醸成される。さらに、影響力のあるブロガーやフォロワー数の多い個人が言論化する民主社会を形成する傾向がある。

軍事政権であるシーシー大統領にとっても、「アラブの春」が再発するリスクをできる限り封印したい。それが今回の5000人以上のフォロワーを「メディア」として監視下における法律だった。すでに、政権に批判的な者を約240人逮捕し、独立メディアなど430以上のサイトをブロックしている。

なぜ?5000人が『メディア』なのか

しかし、気になるのが何を根拠に、5000人以上を『メディア』としたのだろうか?

50万人や5万人なら『メディア』としても納得がいく数字の感覚値だ。5000人に伝搬する可能性があるだけで、はたして『メディア』と言い換えることができるのだろうか?

ある意味、現代の『メディア』は、「広告で運営できるメディア」と「影響力を与えるメディア」の2つのベクトルで考えることができる。前者の「広告で運営できるメディア」は、圧倒的な物量で拡散できるパワーが必要である。そして、後者の「影響力を与えるメディア」は、「量」よりもむしろ「質」を問われるメディアである。むしろ、影響力のある人たちに、伝わるメディアにあまり「量」は必要ではない。

シーシー大統領にとって、そこを抑えるための人数が、5000人だったのだ。そう、それはFacebookの友達人数の制限が5000人というところではないだろうか? Facebook5000人という縛りが、ひとつの個人とメディアの領域として考えることもできる。

「広告で運用できるメディア」ではないが、友達の友達、または友達の友達の友達をたどれば、6つのつながりで全人口をカバーできてしまう。個人とメディアの違いを5000人としておく事によって、民主化リスクを軽減できる。

しかし、本当のリスクは、わずか5000人超の「量」ではなく、少数の「影響力のある個人」×「影響力のある個人」×「影響力のある個人」がつながることによっての「質」の高さであることをシーシー政権は気づいていない。

そう、弾圧すればするほど、迫害すればするほど、その結束の高まりが向上するのは、過去の歴史が物語っている。