「違法残業」がなくならないのは罰則金が30万円以下と安すぎるからだ

(写真:アフロ)

KNNポール神田です!

ウェブではなんのお知らせもなしの三菱電機

昨年(2016年)の大手広告代理店の電通に続き、三菱電機も違法残業で2017年1月11日水曜日に書類送検となった…。しかし、三菱電機のウェブサイトを見てみると…その書類送検に関する記載はどこにもない…。

2017年1月13日金曜日現在 

三菱電機のウェブサイトのお知らせ欄
三菱電機のウェブサイトのお知らせ欄

http://www.mitsubishielectric.co.jp/

さらに、三菱電機CSRページには、コンプライアンスの重要性がこれだけ明記されているにもかかわらずだ…

【企業倫理・遵法宣言】「法令遵守」のみに留まらず「企業倫理」の観点も含めたより広義の「コンプライアンス」を推進すべく、コンプライアンス体制の充実を図ると共に、従業員教育にも注力しています。

三菱電機の企業倫理・遵法宣言
三菱電機の企業倫理・遵法宣言

http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/csr/society/fair_compliance/index.html

しかしながら、Buzzfeedの取材にはしっかりとコメントしていた。

本件について、当社として真摯に受け止めており、関係者の皆様にご心配をお掛けしたことをお詫び申し上げます。当時、情報技術総合研究所では労働時間を客観的に把握するシステムを導入しておりませんでしたが、現在、全ての事業所においてシステム導入を完了し、客観的把握時間と従業員の自己申告時間を照合して労働時間を管理するとともに、管理者や従業員に対する教育や指導を実施しています。あらためて適切な労働時間管理を徹底してまいります。今後、検察の調査に協力してまいります。

出典:三菱電機・違法残業で書類送検 元社員が語った「残業隠し」の実態

なぜ、Buzzfeed誌に応えることを自社のウェブサイトに、反映しないのだろうか?社員も株主もお客様も社会も正式なコメントとして受け取ることができる自社媒体なのに…。

facebookページにも2017年1月13日の更新は、2016年いいねベスト3の発表だった。あまりにも、のうてんきなエントリー記事の更新だ。

ちなみに電通はこのような経緯がわかるお知らせを書類送検同日におこなっている…。

残業代よりもはるかに安い「違法残業」の30万円以下の罰則金

電通や三菱電機のように「違法残業」で社会に吊るし上げられる企業は、氷山の上の針の先のようなものだ。再三にわたる労働基準局の立ち入り検査や改善指導や是正勧告書の申し渡し、改善しない場合や社員が過労死するなど重大・悪質な場合に限り、強制捜査、書類送検するという司法処分となる。つまり、事件化するまでには相当なやりとりが企業とおこなわれている。そして、メディアが「書類送検」されることによって発表し、民事ではなく刑事として審判されることとなる。当然、メディアも上場企業が書類送検されるから話題になるのだ。しかし、上場企業はたかだか3500社しか日本に存在しない。全国の法人企業は約170万社だ。つまり、上場企業の割合は0.2%にしかすぎない。つまり、書類送検されても報道されないような企業がワンサカ存在しているのだ。

さらにあくまでも労働基準監督の行政指導はあくまでもイエローカードにすぎない。限りある労働基準監督署の職員でどこまで、立ち入り検査し、改善指導ができるのかそれも限度がある。再三にわたり改善されず悪質だという場合だけが、「書類送検」となる。つまり、「企業の立ち入り調査」から「書類送検」の間に相当な時間と調査と人員という経費がかけられているから、どれだけ、雇用者である個人が労働基準監督署に陳情しても「書類送検」未満には何の強制力も罰則も発生しないのだ。

何よりも、驚愕なのが「書類送検」で事件化されても、労働基準法32条に違反した場合の罰則は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と労働基準法に定められていることだ。

「違法残業」の罰則は最大でも30万円!

直近では、大手靴量販店のエービーシー・マートが従業員計4人にそれぞれ14~112時間の違法な残業をさせた事案がある。この事案において取締役ら計3人は「事実を認めて反省している」と起訴猶予となり、懲役、罰金、いずれも科されなかった。エービーシー・マートへの罰則は、違反があった店舗と本社に対する罰金として合計50万円となった。今後の捜査で明らかによる電通の労務管理の状況によるが、エービーシー・マートと同様の違反であれば電通への罰則も同程度となることが予想される。

出典:電通への罰則は30万円以下の罰金か、残業超過による労基法違反

つまり死を選択する人や病気を抱えるような事象となる「違法残業」でも一箇所で最大30万円の罰則金でしかないのだ。筆者の2004年のセグウェイの走行の罰金は50万円だった。2007年から酒酔い運転での罰金は100万円だ。

2017年、「違法残業」の企業の罰則が、たったの30万円だなんて、たった一人の残業代金と相殺されるような金額だ。これで「違法残業」の社会問題が解決するわけがない。こんな罰則で「違法残業」が無くなるワケがない。日本の0.2%の上場企業でさえ、こんな状態なのだから、非上場も加えるともっと過酷な状態になっていることだろう

まずは、罰則金を、残業金額総額の1万倍などとすれば、あっという間に残業代金の未払いなんて無くなるだろう。企業の雇用者側も最初から、むしろ残業させないように工夫をする。企業もテンポラリーなホワイトカラーの雇用を増やそうとする。雇用者側にも副業を探すことだろう。むしろ、この社会風潮を創ろうとしているのかもしれない。すでに日本の会社は、かつての家族関係なような雇用システムは崩壊している。ビジネスライクに時間と労働に区切りをつけて、ドライに雇用者と労働者の関係を築いたほうが健全だと思う。

日本人の残業意識を違法扱いにしなくてはならない

そもそも、現在は「サービス残業」という言葉があることが、法令遵守でないのだ。週40時間以上の「残業」は違法であるという認識を持たなければならない。労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合にのみそれが違法とならないという特殊事例という意識が日本人の労働感覚から欠如している。また、労働時間とは、

「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」である。

出典:労働時間(残業時間)の定義を知っておこう

たとえ、仮眠時間でも業務対応が要求されている場合は「労働時間」にあたるそうだ。

リゲインの「24時間働けますか?」の時代でもなく、「サービス残業」や「つきあい残業」、「定時退社」がありえなかったり、「残業代」がないとやっていけない…という労働慣習そのものが「違法残業」の諸悪の根源だ。CSRを掲げる企業であればまずは従業員の法令遵守をすすめるべきだろう。

「違法残業」のつけが甘いから、何も改善されないのだ。

だから三菱電機のウェブサイトには、これだけ騒がれていても知らぬ存ぜぬのままなのである。