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一体どこからが異物混入なのか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

3日午後1時ごろ、神奈川県横浜市内のスーパーで酢豚を購入した男性から「パイナップルが入っている」と店に届け出があった。同じ棚の他の酢豚からもパイナップルが見つかったため、店ではすべてを回収して従業員の夕食とした。

店から通報を受けた警察の調べによると、パイナップルは長さ約2センチ、幅1センチの食べやすい大きさ。いちょう切りになっており、容器内に2人分の量が入っていた。容器には外から入れたような穴や包装の乱れは確認されていない。

パイナップルが偶然入るとは考えにくいことから、調理過程で混入したとみられる。警察は何らかの事情を知っているとみて調理した男性(26)から話を聞いているが、「その組み合わせは個人的にありえない」と容疑を否認しているという。

出典:酢豚にパイナップル混入 全国で相次ぐ

個人的には酢豚のパイナップル混入は考えた人は偉いとは思うが、あまり好みではない。

この記事は、2013年のジョークサイトの虚報タイムスからの記事の引用なので信用しないように。ネットの記事には、正確に西暦からの年月日を混入していないとそこだけ、コピペすると今年の話題として流れてしまう。大手の新聞社ほど、一ヶ月もすれば、いつの記事かわからない記事をネットに混入してくれる。しかもURLを表示しても、半年も経つと、ページが存在しません…という不親切ぶりだ。だったら、最初からネットに混入するなと言いたいほどだが…。

ベーシックなメニューからは考えられない異物混入時代

毎日のごとく「異物混入」が話題になっているようだけど、今回のマクドナルドの件なども、人の歯は問題ではあるが…、プラスチック片などは、そんなに「異物」だったのか?と思えて仕方がない。むしろ、「異物混入」というコトバのアレルギーが増えているのかもしれない。

外国人にとっては、寿司パックの「バラン」も異物混入だ。

おせちの黒豆に、「さびた釘」も異物混入だ。

ご飯に「マヨネーズ」も異物混入だ。

たこ焼きに「タコ」以外も異物混入だ。

言い出すとキリがないが…

大福に「イチゴ」も異物混入だ。

カレーに「うどん」などは、国際的な異物混入組織チェーンが動いているようだ。

マクドナルドのハッピーセットで「ピカチュウ」と思ったら、「デデンネ」が混入されていたりする。

インスタントコーヒーなのに「レギュラーソリュブルコーヒー」と舌を噛みそうな名称混入。

もう少し気の利いた異物混入であれば…

「カニカマ」に本物のカニの異物混入はありがたい。

新年の「福袋」には昨年の「売れ残り品」という異物混入がある。

アップルの福袋には、たまにMacBookAirやiPadが混入されることもあるようだ。

しかし、「和風だし」や「コンソメ」に「アミノ酸」の異物混入はもはや当たり前な時代だ。

ホットモットの唐揚げ弁当に、輪ゴムの異物混入は許容範囲だと思う。

ツイッターにアップされた異物混入食品
ツイッターにアップされた異物混入食品

https://twitter.com/tiruno1192/status/552776778507223040/photo/1

昭和の時代には、すさまじい異物混入があった

昭和時代の中華食堂では、おばちゃんの指がラーメンにはいって運んできたり、「髪の毛」の混入もおおらかに許されていた。銭湯のコーヒー牛乳には、縮れた毛がからみついていたこともあったくらいだ。

しかし、それらが「ネタ化・話題化」することは決してなかった。

昭和24年までは、「ヒロポン」という覚せい剤が堂々と「疲れにヒロポン」として薬として混入され販売されていた。

昭和30年では、粉ミルクにはヒ素が混入されていた。

手首ラーメン」や「コロッケから小指」なんて異物混入なこともあった。

それらと比較すると、昨今の「異物混入」なんてカワイイものだ。

むしろ、「ジエチレングリコール入りワイン」「O-157」や「BSE狂牛病」 や「鳥インフルエンザ」のようなパンデミックになりえるものさえ、我々は「混入」から乗り越えてきた。

もっと注意すべき異物混入があるはずだ

一番こわいのは、情報公開されていない食品類だ。

コンビニエンスストアのお弁当やサンドイッチが、なぜこんなに日持ちするのだろうか?「防腐剤」や「酸化防止剤」が混入されていることは、原材料の順番ですぐにわかる。しかし、成分量の多い順番はわかるが、どのくらいの量が混入されているなどはわからない。なぜ明記させないのだろうか?

松坂で3年過ごすと「松阪牛」になるとか、2013年の「ホテルメニュー偽装事件」のような業界全体で慣習化されてきた為、偽装の実態はますますわかりにくいままだ。いつの時代も法改正は問題が起きてからの対応だ。ハンバーガーやナゲットでは、水酸化アンモニウムで消毒されたピンクスライム肉、スポーツドリンク類では、果糖ぶどう糖液糖を大量に消費している。トウモロコシなど、食べたことがない海の魚までも、コーンシロップコーンスターチで作られた餌で養殖されて食卓に運ばれそれを人間が食している。発泡酒ビールなども税金を安くするために、副原料にコーンスターチが混入されている。

普段、毎日当たり前のように口にする、お米や野菜の残量ベクレル数や、放射性セシウムの内部被曝状況を尿検査で調べている家庭はごくわずかである。妊婦や乳幼児などが口にして、時間や歴史が経過してから、国や政府に謝罪されても困ることがたくさんあるかもしれない。

http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201204/3.html

現在の、目に見える異物混入だけで、一喜一憂するだけではなく、目に見えない異物混入や、本来は不必要な異物混入に関してこそ、「ネタ化・話題化」しておいたほうが良いのではないだろうか? 

リスクの有無は「ただちに影響を与えるものではない」ため先延ばされているように見えてしかたがない。また、デマなのかどうかの情報の精査の仕方も、時代の権威を鵜呑みで信じるだけではなく、自分でできるだけ調べてみることも重要な現代のリテラシーのひとつだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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