#TED_NHK 「スーパープレゼンテーション」3つの残念
NHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」をいつも楽しみに見ている。
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/
毎週月曜日夜23:00-23:25にオンエアされている。
しかし、非常に残念なポイントが3つある。
1.3人の役割
2.字幕の活用
3.スーパープレゼンテーション
の3つだ。
1.3人の役割
この「スーパープレゼンテーション」には3人の語り部が登場する。
まず、MITメディアラボの所長 伊藤穰一さん。
彼はこのTEDプレゼンを解説するには、最高の逸材だと思う。
ベンチャーとしてもアカデミックとしても、インターネットの思想家としても。そして、英語の解説も。
当初の「スーパープレゼンテーション」は、彼のMCのみで進行していた。
しかし、さすがの伊藤穰一さんこと、ジョーイといえどもテレビのプロではない。Eテレといえどもエンターテインメントの要素を要求されたのだろう。ジョーイはタレントではない。ハナシが固くなってもしかたがない。
そこで、タレントの吹石一恵さんが投入された。ボクは彼女の大ファンでもある。彼女の登場で番組は一気に見やすくなった。しかし、残念なのは彼女の大きな瞳を大画面テレビで見れば見るほど、不自然に泳いでいるのだ。おそらくカンペを読んでいるのだ。
冒頭で挨拶しながら中身を説明するジョーイがカンペを読むのは問題ない。しかし、プレゼンテーションを見た直後のインプレッションを語る吹石さんにカンペは必要だろうか?彼女には専門家としてではなく、視聴者の代弁者としての役回りを演じてもらうならば、台本もカンペもなく、素の感動の声を語っていただくだろう。
そして、語りで登場するのが、オーウェン真樹さんだ。
明瞭な語り口でナレーションをおこなってくれる。彼はバイリンガルのナレーターでもある。そのバイリンガル性は全く活かされていない。
彼がポイントとなる英語を表現をするのは、短い時間内でも簡単に解説できることだろう。l
この番組は、プレゼンテーションのポイントを必ず、リプレイで見せてくれる。
視聴者も2回目のリプレイとなれば、内容をもう把握しているはずだ。多い時には3回も4回もリプレイがある。
そして、ジョーイによる「joi's Superview」というコーナーもある。なぜか、ここだけ英語のタイトルだ。ジョーイによる今回のプレゼンに関連するエピソードが伝えられる。これも理解が大変深まる。
しかし、一人語りを同ポジションのカット割りで、無意味にアップになったり、全身になったり、横からのカットが挿入される。単調にならない絵づくりの為のテレビマンとしての性なのだろうが、まったく必要ない。
2.字幕の活用
そこで、ジョーイの日本語の語りの時に、英語の字幕を入れるというのはどうだろうか?無意味なカット割りよりも、必死に日本語を聞きながら、英語の字幕が読める。これは我々、日本人にとっては、自然に英語の意味が馴染む。
そもそも、TEDは英語の学習としても非常にすぐれた生きた教材でもあるのだ。とても専門的な単語も覚えることができる。当初の「スーパープレゼンテーション」では、ジョーイが英語の単語やイディオムの解説までやる英語教育番組的な要素も多く含まれていたが、いまはそれがまったく消え失せてしまっている。
何度もリプレイをみさせられるが、何のためのリプレイかもわかりにくい。重要なポイントと言われても、そんなことは一度みたらわかることだ(笑)。そこで、2度めのリプレイには日本語の字幕以外に英語の字幕と2つの字幕を挿入するのはどうだろうか?
そして3回目は英語の字幕だけにする。すると、重要なポイントは、英語字幕と英語で聞いても理解出来ているはずだ。
これは、一石三鳥くらいの効果があるのではないか?
3.スーパープレゼンテーション
そして、最後にこの番組は、そもそも何の番組なのか?「スーパーなプレゼンテーションをテレビで見せる」ことではないだろうか?
このTEDのプレゼンテーションには、一つの型がある。
TEDにおける起承転結だ。
http://www.ted.com/translate/languages/ja
【起】冒頭は、誰にでもある子供の頃からの経験談 →ここでみんなの共感ポイントが登場
【承】次に、ちょっと変わった経験を話す →ここでの気づきが他の人と大きく違ってくる
【転】そして、イノベーティブなアクションを取る →これがハイライトだ
【結】最後は、誰もが今日からチャレンジできる希望を見せる。→これがTEDのメッセージだ
このプレゼンに関する言及がまったく何もない。プレゼンのスキルについて解説するコーナーがないのだ。
例えばメンタリストのDaiGoが解説するボディランゲージの持つ要素や、舞台役者が解説するプレゼンにおける間の取り方、芸人が解説する笑いの取り方、スピーカーのプレゼンスキルについても、もっともっと言及できるはずだ。
それなくして、「スーパープレゼンテーション」とはいえない。
せっかく、インターネット版のTEDにはない魅力のあるテレビ版のTEDなのだから、もう少し視聴者側によりそって考えていただきたい。