誰が、腕時計型端末とやらを購入するのか?
SumsungがAppleに先駆けて、腕時計型端末をドイツで発表した。しかもアメリカ、日本という世界の2大市場以外で今月の25日から約300ドルで発売する。日本とアメリカが来月(2013年10月)ということは、製造の調整面とマーケティング面からだろう。
この製造を調整している段階から、試験的な販売という側面が多いに見うけられる。また、販売方法も「Galaxy note3」の付属端末という販売方法だから余計にそうだ。
サムスン電子モバイルコミュニケーション部門の申宗均(シン・ジョンギュン)社長は、ギャラクシー・ギアを新たな「トレンド設定端末」と位置づけ、自ら腕にはめて披露する。しかし、どう見ても、中年のおじさんの腕にあるそれは残念ながらクールなデバイスとは全く違って映ってしまう。
まずは、この初号機は、Galaxy Note 3を販売するための戦略だろう。しかも先進的なユーザーからコモデティ化を目指す戦略だろう。単体で売ろうとしているワケではない。サムスンもスマートになったものだ。
しかしだ、我々は3万円も支払って、SF的未来満載の腕時計端末を本当にしたいだろうか? 少なくとも、効率のみを考えて耳にBluetoothヘッドセットを装着して、歩いている人や、かつて腰に携帯のホルダーをブラさげているような属性の人にはまったく平気だろう。
しかし、腕時計に多少にでもこだわりがある人にはかなり抵抗がある。
デジタル時計と変わらないので、カジュアルな使用ではありだが、申宗均社長のようなスーツ姿では無理がある。
ましては、アナログ、しかも機械時計を好む人には、腕時計型端末はかなり難しいプロダクトとなるだろう。
そもそも、腕時計に向かって喋りかけたり、腕時計でメールを読むなんて、昭和のSFチックすぎる(笑)。たとえ、世界でヒットしても、社会への美意識の高い日本ではきっと売れないと思う。
普通のシックな時計に見えて、実は凄いみたいなものはどうだろうか?あとは、それを装着する理由があればなおさらだ。事故の時のIDになるとか。医療データを蓄積しているとか、はめないとダメな理由があったほうが普及しやすいだろう。かつての時計もプロフェッショナルのニーズを満たして普及した。潜水士、放射線医、銀行家、パイロットなど。
次に控えるアップルには、こんな憶測をくつがえしてくれるような画期的な時計とは呼べないような、端末を出してくれることに期待したいものだが…。腕時計自身がスマートフォンに吸収されそうなだけに、電話を再発明したように、腕時計を再発明してほしい。やはり、時計は懐中時計ではなく腕にあったほうがいいからだ。
しかし、メーカーは、21世紀になっても、「流星号、応答せよ!」のスーパージェッターの夢をいまだに抱いている。ここが問題だ。