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【NHL】ベガス・ゴールデンナイツが、初優勝に王手!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
激しい試合となったファイナル第4戦(nbcsports.com)

今季のNHLの王座を決めるスタンレーカップ・ファイナル第4戦は、10日(現地時間)、フロリダ・パンサーズのホームアリーナのFLAライブアリーナで行われ、ベガス・ゴールデンナイツが3-2でフロリダ・パンサーズを破り、対戦成績を3勝1敗として、チーム創設以来初となるスタンレーカップ獲得まで、あと「1勝」としました!

流れを呼び込んだのは、チャンドラー・スティーブンソンでした。試合開始わずか1分39秒、フロリダの選手交代の隙をつき、ザック・ホワイトクラウドからの絶妙なパスを受けたスティーブンソンが、ゴーリーの股下を抜くシュートを決め、ベガスが先制!! 第2ピリオドに入ってからも、さらに2点を追加し3-0とすると、試合の流れはベガスへ傾いたかのように思われました。

ところが、フロリダのブランドン・モントール(DF)の放ったシュートが、ゴール前にいたベガスの選手二人のスケートに当たって角度が変わり、まるで”ピンボール”のように跳ね返ったパックは、ゴールへ吸い込まれフロリダのスコアに。さらに、フロリダのキャプテンであるアレクサンダー・バーコフが、スタンレーカップ・ファイナル初ゴールを決めて1点差に。何としても同点に追いつきたいフロリダは、試合終了間際、ゴーリーのセルゲイ・ボブロフスキーをベンチに下げ6人攻撃を仕掛けますが、あと一歩及びませんでした。

勝利の立役者は、先制点を含む2ゴールの活躍を見せたスティーブンソン! 

5年前、ワシントン・キャピタルズの一員として、くしくも今プレーしているベガスとスタンレーカップ・ファイナルで対戦し、スタンレーカップを獲得した選手。しかし、ワシントンでは下位のセットでの起用が多く、2019年12月に、ベガスにトレードされたのです。

スティーブンソンを高く評価していたベガスは、彼を主力選手が揃う上位のセットで起用。それに応えるかのように、スティーブンソンは、2021-22シーズンには79試合に出場して21ゴールの成績を残し、今季は、オールスターゲームに選ばれるなど、”ベガスの顔”の一人となっています。

この日2ゴールを決めたスティーブンソン(中央)(NHL.com)
この日2ゴールを決めたスティーブンソン(中央)(NHL.com)

対して、王手をかけられたフロリダですが、気になるのがパワープレーの成功率

このファイナルでは、13回ものパワープレーのチャンスがありながら、得点はなんと「0」!得点源ともいえるパワープレーゴールが一度も決まっていません。

さらに、気がかりなのは、チームのエースであるマシュー・カチャックの状態。今季のプレーオフで平均21分53秒のアイスタイム(氷上でのプレー時間)を記録するカチャックですが、今日のアイスタイムは16分40秒。第3ピリオドには、10分以上プレーせずベンチに座り続けている彼の姿がありました。「第3戦で相手選手から受けたハードチェックでケガを負ったのでは?」という憶測が飛び交っていますが、試合後の会見に現れたフロリダのヘッドコーチであるポール・モリースは、カチャックの状態について、「2日間、ゆっくり休んでから決断を下すことになる」と明言を避けました。

スタンレーカップ・ファイナル第5戦は、二日おいた13日に、王手をかけたベガスのホームアリーナのT-モバイルアリーナで行われます。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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