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【NHL】スタンレーカップ・ファイナル第5戦、試合を決めたのはペナルティだった!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
決勝点を決めたパラット(中央)に集まるタンパベイの選手たち(AP Photo)

スタンレーカップ・ファイナル第5戦が、6月24日(現地時間)に、コロラド・アバランチのホームアリーナであるボール・アリーナで行われました。

王手をかけられ、後のないタンパベイ・ライトニングが、同点で迎えた第3ピリオドに、オンドレイ・パラットのゴールで勝ち越し。コロラドのゴーリーをあげた6人攻撃も守りきり、対戦成績を2勝3敗としました。

コロラドは、1点をリードされた第3ピリオド、試合終了2分43秒前に、痛恨の「Too many men on the ice」(氷上にゴーリーを除いて5人を超えるプレーヤーが出場)のペナルティ。

コロラドは、ゴーリーをベンチに下げて代わりにプレーヤーを起用する6人攻撃の時間がほとんど取れずに敗戦。

実は、二日前の第4戦。ネザム・カドリのオーバータイムゴールが決まった際に、「氷上に6人のコロラドの選手がいた」との声があり、敗れたタンパベイのヘッドコーチのジョン・クーパーは、異議を唱えるかのように、試合後の会見を早々に終えて会見場を後にしていました。

第4戦は、ペナルティのジャッジが下されずに決まった決勝点。

第5戦は、ペナルティを課せられての敗戦。

まさに、この二つの試合で、「Too many men on the ice」がカギを握っていたと言えるのかもしれません。

コロラドのネイサン・マッキノンのシュートを止める、タンパベイのゴーリー、アンドレイ・バシリエフスキ―(AP Photo)
コロラドのネイサン・マッキノンのシュートを止める、タンパベイのゴーリー、アンドレイ・バシリエフスキ―(AP Photo)

また、敗れたコロラドのヘッドコーチであるジャレッド・ベドナーは、試合後、第2ピリオドのケイル・マカーに課せられたペナルティについて「ペナルティではなかった」と述べています。

同点で迎えた第2ピリオド。両チーム共に、その前にペナルティを取られており、氷上のプレーヤーの数は4人ずつ。

ここで、コロラドの守りの要であるマカーがトリッピングのペナルティ。

氷上は、タンパベイのプレーヤーが「4人」、コロラドのプレーヤーが「3人」という、タンパベイのパワープレーとなりましたが、ここで、タンパベイは、DFを一人も入れずに、「氷上の4人全員をFW」とする大胆な作戦に出たのです。

この作戦が功を奏し、キャプテンのスティーブン・スタンコスからのパスを受けたニキタ・クチェロフのシュートが決まり、タンパベイが勝ち越し!

アイスホッケーでは、氷上のプレーヤーの数が少ない場合、プレーヤー間のスペースが広く空くため、「5人対4人」のパワープレーよりも、「4人対3人」のパワープレイのほうが得点の可能性が高いと言われています。タンパベイは、この優位な状況を巧みに活かしたのです。

コロラドにとって、まさにペナルティで試合の行方が決まってしまった第5戦。

しかし、コロラドのキャプテンであるガブリエル・ランデスコグは「試合をすることに集中している」と、既に、視線は次の試合へ。

第6戦は、場所をタンパに移して、25日(現地時間)に行われます。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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