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【NHL】無観客試合開催間近!? 新型コロナウイルスの影響がアイスホッケーの最高峰にも迫る!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
スター選手との握手はしばらくお預けに?(Courtesy:@TSNHockey)

 「新型コロナウイルス」のニュースが多くの国や地域で報じられるようになり、スポーツ界にも影響が及んでいます。

 日本でも「大相撲三月場所」が、無観客で開催されるなど影響が出始め、今後も当面の間は続きそうな見通しです。

▼サンノゼシャークス

 その一方で「北米4大スポーツ」に数えられるNHLでは、このような流れに反するチームが現れました。

 サンノゼ シャークスです。

 1991年に高所得者が多いシリコンバレーに誕生したサンノゼは、西海岸の都市圏をターゲットに定め、創設当初からチケットセールスに注力。

 その甲斐あって(年間シートなどの)シーズンチケットの売れ行きはリーグの中で、上位だと報じられています。

 スタンレーカップ(NHLのチャンピオンに手渡される優勝カップ)こそ、手にしたことはありませんが、昨季までの15季の間に、プレーオフへ進めなかったのは一度だけと、毎年安定した成績を残しているチームです。

▼政府機関の勧告に従わず試合開催!

 そんなシリコンバレーのシンボルとも言えるチームに対し、ここへ来て風当たりが強まっています。

 

 なぜなら、現地(サンタクララ郡)の公衆衛生局からの試合延期の進言に従わず、一昨日(現地時間)のホームゲームを、予定どおりSAPセンター(=ホームアリーナ)で開催したからです。

 さらにサンノゼは、同じアリーナでホームゲームを開催している傘下のマイナーリーグ(のアフィリエイトチーム)に加盟しているサンノゼ バラクーダーのホームゲームも、スケジュールどおり昨夜に実施。

 シャークスの試合の観衆は今季最少(14517人)と、普段に比べれば、スタンドのさびしさは否めなかったものの、足を運んだ観客のために通常どおりのホームゲームの演出を行って、スタンドの盛り上げに努めていました。

 さらに加えてサンノゼは、このあとも通常と同じように、SAPセンターでホームゲームを開催する方針を、変えることはないようです。

▼2週間の検疫措置を課す

 しかし、このようなサンノゼの姿勢に疑問の声も出始め、現地の感染症の専門家たちが警鐘を鳴らすなど、風当たりが強くなり始めている模様。

 そこでNHLのゲーリー・ベッドマン コミッショナーは、対策に着手していることをアピールするかのように、NHL(本部)で働く全てのスタッフに対し、北米以外への国外出張を全て中止させ、万一、その規則に反したり、不測の事態により感染症にかかった際は、2週間の検疫措置を課すといった対応策を打ち出しました。

▼スケジュール変更には着手せず・・・

 しかし、NHLには、感染の脅威が収まるまでブレイク期間(試合を開催しない期間)を設けるなどする日程の変更を本格的に検討する様子はないようです。

 「多くの人が集まるイベントをキャンセルするように推奨する」

 サンノゼにも近いカリフォルニア州北部のサンタクララ郡からも、このような意見書が出されました。

 しかし、レギュラーシーズンが終盤に差し掛かり、試合日程を見直す猶予はないと判断したNHLはスケジュールの変更に着手せず、今晩もSAPセンターでは、オタワ セネタースを迎え撃つ試合が行われる予定です。

▼対応策は「パー」じゃなくて 「グー」!?

 またNHLは、ファンへの対応についても検討し、NBAが対応策として検討した案を参考に、選手に対してガイドラインを伝えたと報じられています。

 どのような対応策かというと、、、

サインを頼まれた際には、ファンが持参したペンを使うのは極力避けることや、ファンとタッチをする時は、じゃんけんの「パー」のように手を広げてするのではなく、接触面が少なくて済む「グー」でタッチをするように

というジョークのような指示も記されていたそうです。

 本来であれば、レギュラーシーズンが佳境に向かい、プレーオフに勝ち進むチームは!?

 そして、今季のスタンレーカップは、どのチームが手に入れるのか!?

 多くのスポーツファンの視線が集まる“佳境"を迎える時期なのですが、今季のNHLは、ちょっと勝手が違いそう・・・。

 タイトル写真に掲載したシドニー・クロスビー(ピッツバーグ ペンギンズ)のように、選手たちがファンと気持ちよくタッチをしながら、アリーナに向かう光景が見られるのは、いつの日になるのでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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