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【NHL】”氷上の格闘技” アイスホッケーの最高峰・NHLがヘッドコーチの「体罰」で騒然!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHLのチームやカナダ代表でヘッドコーチを務めたビル・ピータース(写真:ロイター/アフロ)

 「氷上の格闘技」との異名をとるアイスホッケー。

 めまぐるしく攻守が入れ替わるスピードに加え、ボディチェックと呼ばれる激しい体のぶつかり合いが、随所に見られるのが大きな魅力です。

 そのアイスホッケーの最高峰と呼ばれるNHL(ナショナル ホッケーリーグ)が、ここへ来て、ある問題で揺れています。

 それは「体罰」です。

▼震源地はカロライナ ハリケーンズ

 話題の震源地となってしまったチームは、カロライナ ハリケーンズ

カロライナ ハリケーンズ(Courtesy:@Canes)
カロライナ ハリケーンズ(Courtesy:@Canes)

 元々は捕鯨の町として栄えていたアメリカ東海岸のハートフォード(コネチカット州)に、「ホエラーズ」として誕生しましたが、1997年にノースカロライナ州の州都ローリーへ移転。

 チーム名も「カロライナ ハリケーンズ」と改めて新たなスタートを切りました。

 2002年(2001-02シーズン)のプレーオフで一気に躍進し、ファイナルへ勝ち上がったのに続き、労使交渉が決裂しシーズンキャンセル(=1試合も公式戦が開催されず)に終わった年の4季後には、ルーキーGKのキャム・ウォード(昨季終了後に引退)の大活躍で、初優勝を飾り、スタンレーカップを手にしました。

▼NHLのチームやカナダ代表を率いた54歳

 そのカロライナを一昨季まで4季にわたって率いていたのが、ビル・ピータース(54歳・タイトル写真)。

 プレーヤーとしては目立った活躍ができませんでしたが、ジュニアリーグ(WHL)やマイナーリーグ(AHL)チームで実績を積み、デトロイト レッドウイングスのアシスタントコーチに抜擢されると、指導力を発揮。

 カロライナ ハリケーンズから白羽の矢を立てられ、ヘッドコーチ(HC)に就任し、4季にわたりチームを率いたあと、昨季からはカルガリー フレイムスのHCを務めています。

▼元参謀がカミングアウト

 しかし、ここへ来て、ピータースの身辺が騒がしくなってきました。

 というのも、カロライナ時代に参謀役としてアシスタントコーチを務めていたロド・ブリンダモア(49歳・現HC)が、ピータースが選手を虐待する行為を日常的に行っていたと告白。

 さらに加えて、かつてピータースHCの下でプレーしていたロシア人選手も、「試合中に背中を激しく蹴られた」ことをカミングアウト。

 「そのシーンは、トレーナーや他の選手も目の当たりにしていた」とメディアに話したそうです。

▼現在はカルガリーのHC

 その後、ピータースは、カルガリー フレイムスのHCとして招かれ、2季目のシーズンを戦っていましたが、このような事態が明らかになり、カルガリーのブラッド・トレビリングGMは、「これは非常に深刻な問題だ。様々な事実を確認していく」と公言。

 騒動が発覚したあとの昨夜(現地時間)の試合は、オーバータイムの末、3-2のスコアで、バッファロー セイバーズを下しましたが、ベンチの中にいるはずのピータースの姿は、見られませんでした。

 昨季はレギュラーシーズンを、ディビジョントップで戦い終えたのに続いて、今季は31季ぶりのスタンレーカップ奪還!

 という期待が高まっていたカルガリーのファンへ、冷や水を浴びせるニュースとなってしまったようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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