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【パラリンピック】ドーピング違反はロシアだけではなかった! アメリカの金メダリストもメダルはく奪!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
タイラー・キャロン(Courtesy:@usahockey)

 昨年3月に行われたピョンチャン(平昌)パラリンピック

 パラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)には、ムン・ジェイン(文在寅)大統領夫妻が応援に駆けつけ、しかも、地元の韓国が史上初めてメダル(3位)を手にしたことで、大いに盛り上がりました。

▼アメリカが3連覇

 しかし、韓国を上回る強さを見せたのが、アメリカカナダ

 この両国はプレーをサポートする環境が整い、競技人口が多いことから、選手層の厚さを武器に「二強」と呼ばれるほどのチーム力で、パラアイスホッケー界をけん引。

 「ピョンチャン パラリンピック」でも、前評判に違わぬ強さを見せつけて決勝へ進出。

 決勝戦では死闘を繰り広げ、試合終了37秒前までリードを許していたアメリカが土壇場で追いつき、オーバータイムに決勝点を上げ、史上初めての3連覇を達成しました。

▼アメリカの金メダリストのドーピング違反が発覚!

 劇的な幕切れから11か月。

 国際パラリンピック委員会は、アメリカのDFとして金メダル獲得に貢献した タイラー・キャロン(30歳・タイトル写真)のドーピング違反が明らかになったと、昨日(現地時間)発表しました。

 キャロンは、2008年から地元のコロラド州のチームで、本格的にパラアイスホッケーに取組み、「バンクーバー パラリンピック」終了後に、競技を離れた選手がいたことからチャンスをつかみ、アメリカ代表の一員に。

 その後、腕を磨いていったキャロンは、2014年の「ソチ パラリンピック」で、アメリカ代表の一員として金メダル獲得に貢献。

 「ピョンチャン パラリンピック」でも、派手さはないものの、守りでチームを支え、二大会続けて金メダルを手にしました。

▼18か月出場停止

 ところが、キャロンの「ドーピング違反」が発覚しました。

 国際パラリンピック委員会(IPC)によると、大会期間中に採取した尿に、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)が禁ずるメタドンの成分が含まれていたとのこと。

 そのため、尿を採取した「ピョンチャン パラリンピック」開催中の昨年3月12日にさかのぼって、18か月間の競技出場資格停止処分を言い渡しました。

▼ロシア問題が前進したかと思った矢先に・・・

 ご存じの方も多いと思いますが、IPCは厳しい条件付きながら、ロシアのパラリンピック復帰へ向け、8日に最初の扉を開いたばかり。

 ロシア問題が前進したと思った矢先に起きた、ドーピング違反の発覚。

 2020年の東京大会も近づく中で、これからIPCは、どのような方策を立てていくのでしょうか。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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