Yahoo!ニュース

【NHL】トレード期限最終日! レンジャーズをぶち壊せ!? ベガスはさらなる攻撃力アップを狙う!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ボストンブルーインズへ移籍したリック・ナッシュ(Courtesy:@NHL)

 レギュラーシーズンが終盤に差し掛かったNHLは、今日(現地時間)トレードデッドライン(=トレード期限最終日/今季は2月26日北米東部時間15時、日本時間27日5時)を迎えます。

▼勝ち組=買い手・負け組=売り手

 北米のメジャープロスポーツなどを観戦される方は、ご承知だと思いますが、デッドラインが近づくにつれて、各チームのトレードが活発に!

 一口にトレードと言っても、シーズン前半のトレードは、レギュラーシーズンを戦う上で不足している戦力を補完するものが、大半であるのに対して、デッドラインが間近に迫った終盤でのトレードは、

☆上位チーム→プレーオフを見据えた戦力アップ

★下位チーム→来季以降を見据え、主力選手の見返りに若手やドラフト指名権を獲得

と目的が明確に異なるため、「勝ち組=買い手・負け組=売り手」となります。

▼白旗を上げたレンジャーズ

 4季前にはスタンレーカップファイナル(=チャンピオンを決めるプレーオフの最終ラウンド)まで勝ち上がったのを筆頭に、7年連続プレーオフに進んでいたニューヨーク レンジャーズは、レギュラーシーズンが終盤に差し掛かっても負け越している現状を精査し、白旗を上げて売り手に!

 まず今月23日に、チームトップの得点を記録していた マイケル・グラブナー(FW・30歳)を、ドラフト指名権に加え若手DFと引き換えに、ニュージャージー デビルスへトレードしました。

▼得点王を放出

 グラブナーはドラフト1巡目(2006年バンクーバー カナックス全体14位)で指名され、オーストリア代表の一員として、ソチオリンピックに出場したキャリアを誇る実力派。それだけに、現地メディアによると、10チーム程度が獲得へ興味を示していたとのこと。

 とはいえ移籍してきた昨季に続き、今季もレンジャーズで最多得点をマークした選手の放出に、驚いたファンも少なくなかったようです。

▼史上初! 最大のライバルへのトレード

 しかし、得点王の放出以上に驚かされたのは、最大のライバルチームへのトレード。

 同じディビジョンに所属しているレンジャーズとニュージャージーは、ホームアリーナも直線距離で15キロほどしか離れていないとあって、長年にわたり激しいライバル関係にあります。

 プレーオフでの対戦も多く、激しくしのぎを削ってきた両チームの対戦は、壮絶な試合が相次ぎました。

 このような経緯もあって、両チーム間のトレードは、ニュージャージーの前身であるコロラド ロッキーズ時代の1979年11月2日以来

 1982年に移転し、最大のライバルと呼ばれるようになってからは、36季目にして初めてのトレードが成立したのです。

▼FWの顔をトレード

 さらにレンジャーズは、今季終了後に、FA権(制限なし)を手にするリック・ナッシュ(FW・33歳)を、ボストン ブルーインズへトレードし、3選手と今年の1巡目指名権を含む二つのドラフト権を獲得。

 売り手側に回ったレンジャーズは、まるでチームをぶち壊せ!と言わんばかりの動きで、古豪の再構築へ動き始めました。

 ボストンの一員になったナッシュは、すぐさま今夜のバッファロー セイバーズ戦に出場(タイトル写真)

 ゴールやアシストは記録できませんでしたが、モーリスリシャード トロフィー(最多得点賞)を手にしたこともあるのに加え、身長193センチ体重100キロを誇るナッシュのような大型主力FWは、デビッド・バッケス(33歳・191センチ100キロ)しかいなかっただけに、プレーオフでの活躍が期待されます。

▼新規加盟チームの記録を更新したベガス

 一方、ウエスタン カンファレンスのチームに目を転じると、大型補強へ乗り出しそうなのが、ベガス ゴールデンナイツ!

 NHLでは17季ぶりの新規加盟チームとして、今季から新規参戦したばかりの新しいチームだけに、前評判は芳しくありませんでした。

 ところが、いざふたを開けてみると、いきなり開幕戦で白星を手にしたのを皮切りに快進撃を見せ、ここまでウエスタン カンファレンスのトップ!

 既に「41」もの白星を手にして、これまでの新規加盟チームのレギュラーシーズン最多勝利数(33勝=1993-94シーズンのフロリダ パンサーズと、アナハイム マイティダックス)を大きく上回り、記録を更新しています。

▼強みに磨きをかけるベガス

 ベガスの強みは、何と言っても攻撃力!

 1試合あたりの平均得点「3.49」は、タンパベイ ライトニング(3.55)に続いて第2位。

 ウエスタン カンファレンスのチームでは、ウィニペグ ジェッツ(3.32)をしのぐ、トップの数字です!

 ところが、現地メディアの報道によると、ベガスのジョージ・マクフィーGM(59歳)の視線は、オフェンシブなDFへ向けられ、最有力候補はオタワ セネターズの エリック・カールソン(27歳)

NHL屈指の攻撃型DF エリック・カールソン(Photo : Jiro Kato)
NHL屈指の攻撃型DF エリック・カールソン(Photo : Jiro Kato)

 フル出場した一昨季には、試合数(82)と同じポイント(ゴールとアシストの合計)を記録したNHL屈指の攻撃型DFを招き入れ、強みの攻撃力に磨きをかけるシナリオを描いている模様です。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事