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【NHL】オベチキンでも!クロスビーでも!マクデイビッドでもない!! 2017年最高の選手は誰だ?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ニキタ・クチェロフ(Courtesy:@seattleinformer)

 日本より遅れて2018年を迎えた北米でも、各地で新年を祝う催しが行われましたが、シーズン真っ只中のNHLも、2008年に始まって以来、新春恒例となった「ブリヂストン・ウインタークラシック(屋外試合)を開催。

 今年はMLBのニューヨークメッツがホームゲームを行うシティフィールドを舞台に、ニューヨークレンジャーズとバッファローセイバーズが、2018年最初の戦いを繰り広げました。

10周年を迎えたウインタークラシック(Courtesy:@NYRangers)
10周年を迎えたウインタークラシック(Courtesy:@NYRangers)

▼レンジャーズが優勝する秘策は!?

 42000人のファンが、寒さをものともせずに(!?)声援を送った試合は、オーバータイムに及ぶ接戦となり、J.T.ミラーのゴール(紺#10)で、レンジャーズが2018年NHL最初の白星を手にしました。

 この勝利で、レンジャーズは「ウインタークラシック4戦全勝」と負け知らず!

 それだけに、1994年を最後に手が届かないスタンレーカップ(NHLの優勝トロフィー)奪還のためには、「ホームアリーナをマジソンスクエアガーデンから、ボールパーク(野球場)に変えてみたら?」というジョークも聞かれたとか!?

▼2017年最高の選手は誰だ?

 ウインタークラシックを皮切りに、今夜から各チームのホームアリーナでも、2018年の戦いがスタートしますが、本格的な新たな年の幕開けを前に、昨年(2017年)のNHLで最高の数字を残した選手を紹介しましょう。

 その選手とは、タンパベイライトニングのニキタ・クチェロフ(FW・24歳)です!

 

ニキタ・クチェロフ(Photo:Jiro Kato)
ニキタ・クチェロフ(Photo:Jiro Kato)

 ロシアのジュニアリーグでプレーしていたクチェロフは、17歳の時にチェスカモスクワへ昇格を果たし、ヨーロッパ最大のKHL(コンチネンタルホッケーリーグ)でデビュー。

 シーズン終了後に行われた2011年のNHLドラフトで、タンパベイから2巡目(全体58位)指名を受け、翌シーズンからは北米のメジャージュニアリーグにプレーの場を移し、腕を磨き続けました。

▼最初の試合の最初のシフトで初ゴール!

 クチェロフの最大の魅力は、群を抜くオフェンス力!

 NHLデビューを飾った2013年11月のレンジャーズ戦では、NHL最初の試合の最初のシフト(出場機会)で、チームメイトも驚く初ゴールをゲット。

 このゴールを皮切りに、クチェロフはNHLでも指折りのスコアラーとして活躍。

 ロシアのトッププレーヤーが有する高いスキルに加え、フィジカルなプレーも辞さないことから、今やNHLを代表するFWとして名を馳せ 昨季はオールスターゲームのメンバーにも選出。

 さらに、プレーオフで敗れたあとに参加した世界選手権では、ロシア代表の攻撃の核となり最多得点をマークしました。

▼一足早い得点王

 今季もクチェロフの攻撃力は、他チームにとって大きな脅威となり、開幕から積み重ねた「25ゴール」「56ポイント(25ゴール+31アシスト)という数字は、NHL全選手の中でナンバーワン!  

 下記の動画のようなスピードとボディバランスに長けたプレーを見せつけられると、初めてのタイトルとなる「モーリスリシャードトロフィー(得点王)」獲得の期待が高まります。

 そんなクチェロフが、一足早く「得点王」に輝いたことを、ご存じでしょうか?

 それは「2017年の得点王」です。

▼2017年の得点王

 NHLのレギュラーシーズンは、秋に開幕して翌年の4月まで続きますが、これをカレンダーイヤー(1月~12月)に直して、得点ランキングを見てみると、、、

【5位タイ】

 ウラジミール・タラセンコ(セントルイスブルース)

 パトリック・ケイン(シカゴブラックホークス)

 オーストン・マトュース(トロントメイプルリーフス)→「39ゴール」

【4位】

 アレックス・オベチキン(ワシントンキャピタルズ)→「40ゴール」

【2位タイ】

 アンダース・リー(ニューヨークアイランダーズ)

 ブラッド・マーシャント(ボストンブルーインズ)→「44ゴール」

という顔ぶれを抑えて、クチェロフ「52ゴール」と、最も多くの得点を記録したのです!

▼14季ぶり優勝の原動力になれるか?

 このようなクチェロフの大活躍もあって、タンパベイは全チームの中でトップの勝点を積み重ね、2018年を迎えました。

 くしくも今季はチーム創設25周年を迎え、オールスターゲームのホストチームにもなっているだけに、14季ぶり2度目の優勝を飾って、節目の年を締めくくることができるか?

 最大の原動力となるのは、初めての最多得点賞(モーリスリシャードトロフィー)獲得を目指す、クチェロフの大活躍に他なりません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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