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NHL創設100年目の開幕戦でアリゾナ生まれのルーキーがスゴすぎる新記録を樹立した!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
6月のドラフトで全体1位指名を受けたトロントのルーキー オーストン・マトュース(写真:ロイター/アフロ)

創設100年目を迎えたNHLのレギュラーシーズンが、昨夜(現地時間)開幕しました。

開幕日にはアメリカとカナダの4会場で試合が組まれ、一番最初に幕を明けたのは「オタワ セネターズ vs トロント メイプルリーフス」戦。

そして、一番最初にゴールを決めたのが、トロントのルーキーオーストン・マトュース(FW・19歳)でした。

▼アリゾナ生まれスイス経由トロントへ

アメリカ人の父親と、メキシコ生まれの母親の間に生まれたマトュースは、アリゾナ州スコッツデール出身で、小さい頃から地元の「アリゾナ コヨーテスの試合を、いつも観戦していた!」というほどの大ファン !!

それだけに「アリゾナのユニフォームを着てNHLでプレーする」という夢を叶えようと、18歳の時に一念発起。

NHLを目指すジュニア世代の選手が進む北米のジュニアリーグへ進まずに、スイスのトッププロリーグ(=ジュニアリーグではありません)の中から、NHLで優勝経験のあるヘッドコーチ(HC)が率いていたチューリッヒ ライオンズと契約。

試合数を上回るポイントをマークして、自らの力をアピールしました。

一方、長年集客に苦しんでいるアリゾナも、地元出身の上、実力も申し分ないスター候補とあって、今年(6月末)のドラフトでの指名を目指して、全体1位指名権を持つトロントに対し、「複数の主力選手と引き換えに、全体1位指名権を!」とアプローチ。

トレードに出す選手を追加するなどして打診を続けたものの、トレード成立には至らず・・・。

そのためマトュースは、トロントからイの一番で指名を受け、名門チームのジャージに袖を通すことになりました。

▼開幕戦でルーキーがNHL新記録を樹立!

NHLの長い歴史の中でも、アメリカ出身で7人目のドラフト全体1位指名を受けたオーストン・マトュースは、NHLデビューに先駆け、先月の「ワールドカップ」に、チーム・ノースアメリカの一員として出場。

そのプレーぶりから「即戦力間違いなし!」との高い評価を、多くのメディアから受け、昨夜の開幕戦に臨みました。

高い評価を実証するかのようにマトュース(白#34)は、まず第1ピリオド8分21秒に、、、

公式戦最初のシュートで最初のゴールを決めたのに続き、その6分後には、、、

見事なスティックさばきと、ゴールへの切り込みから2本目のシュートを放ち、2点目をゲット !!

さらに、第2ピリオドが始まって間もない1分25秒に、3本目のシュートを放つと、、、

「NHL史上5人目となるデビュー戦でのハットトリック」

これにはアリゾナから観戦に訪れたご両親も、大感激の表情!

しかし、「マトュース ナイト」は、これで終わりではありませんでした。

第2ピリオドの終了直前には、自らのパスからチャンスを演出し、ゴール前に走り込んで4点目をゲット !!!!

「NHL創設100年目にして初めての デビュー戦4得点」

という快挙を達成 !!

ちなみに、ルーキーだけに限らず、昨季のレギュラーシーズンで1試合4得点を記録したのは、カルガリー フレイムスのサム・ベネットだけ。

「1230試合行われた中で、たった一人しか記録できなかった1試合4得点」

という快挙を、デビュー戦で演じてみせました。

▼マトュースよりも、トロントはある意味スゴイかもしれない !?

記録づくめのマトュースの大活躍があったにもかかわらず、試合はオーバータイムの末に、オタワが5-4のスコアでサヨナラ勝ち。

敗れたトロントは、マトュースの4ゴールだけという結果に終わりました。

それでもオタワ郊外のアリーナまで足を運んだトロントのファンは、スーパールーキーの見事なデビューを称えていたようですが・・・

冷静に考えると、デトロイト レッドウィングス在籍時に、NHLでチャンピオン。

さらに、カナダ代表を率いて、オリンピック、世界選手権に続き、先月のワールドカップも制した名将・マイク・バブコック HCを引き抜きながら、昨季は全30チームの中で最低の成績に終わったトロントは、一体どうすれば勝てるチームになるのでしょう???

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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