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【NHL】試合開始4分58秒後にトレード!チームメイトと別れの挨拶もできず新天地へ向かった”勝ち男”

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
クロスビーとともにソチオリンピックで金メダルを手にしたマット・ドゥシェーン(右)(写真:ロイター/アフロ)

 4季前にセントラルディビジョンのチャンピオンに輝き、プレーオフへ進出したのを最後に、ここ3季は序盤から大きく負け越してしまっているチームと言えば、コロラドアバランチ

 チーム再建へ向け、AHLのチームでチャンピオンになった実績を買われて就任したジャレッド・ベドナー ヘッドコーチ(45歳)体制となって2季目の今季は、開幕からプレーオフ進出圏内の順位をキープしています。

 そのコロラドが東への遠征に臨み、フィラデルフィアでの試合に続き、昨夜(現地時間)はバックトゥバックゲーム(2日連戦)となるニューヨークアイランダーズ戦に挑みました。

▼”勝ち男”を放出

 前日の試合でシュートアウトに及んだ熱戦を制して3連勝と、コロラドは勢いづき始めただけに、立ち上がりが注目されましたが、試合開始早々に大きな動きが見られました。

 主力選手のマット・ドゥシェーン(26歳・FW)を、オタワセネターズへトレードしたのです。

 2009年のドラフトで1巡目(全体3位)で指名されて以来、前述のとおり主力CFとして活躍してきたドゥシェーンは、コロラドだけでなく、カナダ代表のFWとしても活躍。昨季の「ワールドカップ」や2014年の「ソチオリンピック」、さらに「世界選手権」でも優勝に貢献してきた実績を誇ります。

 それだけに、近年は負け慣れてしまった感のあるコロラドに必要不可欠な”勝ち男”だと思われるだけに、驚いたファンも多かった様子。

 しかし、現役時代にコロラドのキャプテンとしてスタンレーカップを勝ち取った経歴を誇るジョー・サキックGMは、「このトレードによって、近年のドラフトで(下位に低迷していた時期に得た高順位の指名権を使って)指名した有力選手たちがチャンスを得ることで、短期的にも長期的にもチームの展望が開けてくるはずだ」と、前向きな見通しを口にしました。

▼試合開始4分58秒後にトレード通告!

 一方、ドゥシェーンがトレードを知らされたのは、既にバークレイズセンターでの試合が始まったあと。

 試合開始から2度目のシフトを終えてベンチへ戻った第1ピリオド4分58秒に、オタワへのトレードを知らされると、手早く着替えを済ませて新天地へ。

 チームメイトと別れの挨拶をする間もなく、NHLデビューを飾って以来、足掛け9季にわたって在籍してきたコロラドのドレッシングルームを、あとにしました。

▼”勝ち組”はどのチーム?

 ドゥシェーンのトレードに絡めて、オタワセネターズ、ナッシュビルプレデターズの3チームで、6選手と3つのドラフト権が動くトレードが成立しました。

(上段のチームロゴは左から、オタワ、コロラド、ナッシュビル。下段に記されているのは、今回のトレードで得た選手とドラフト指名権)

 トレードが成立した昨夜の試合前の各チームの順位を確認すると、

オタワ→「プレーオフ進出圏内(ディビジョン2位)」

ナッシュビル→「ワイルドカード次点(3位)」

コロラド→「プレーオフ進出圏内(ワイルドカード2位)」

となっていますが、このトレードによって、上昇気流に乗ることができるのは、どのチームでしょうか?

<追記>

突然のトレード決定の報道が落ち着きを見せた段階で、サキックGMは「昨年のクリスマスに、心機一転再出発させてもらえないか?とのリクエストが、ドゥシェーンからあった」ことを打ち明けました

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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