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【NBA&NHL】ヒューストンロケッツに新オーナー誕生! 次なるターゲットはNHLの新チーム設立!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ヒューストンロケッツのジェイムス・ハーデン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今月17日(現地時間)にNBAのレギュラーシーズンが開幕します。

 新たなシーズンが間近に迫るにつれて、各チームの話題が報じられていますが、オールスターゲームに5年続けて出場し、昨季のオールNBAファーストチームにも選出されたジェイムス・ハーデンらが所属するヒューストン ロケッツに、今季から新たなオーナーが就任しました

▼テキサス生まれの億万長者

 新たなオーナーに就任したのは、ティルマン・ファティッタ氏(60歳)

 テキサス州南東部のガルベストンに生まれたファティッタ氏は、地元のテキサス州でカジノやレストランチェーンの経営などを皮切りに、エンターテイメント事業を次々と拡大しているファティッタ エンターテイメントのCEO兼チェアマン。

 世界の長者番付を毎年発表しているアメリカの経済誌「フォーブス」にも紹介されているほどで、テレビのビジネスニュースで、特集番組がシリーズ化されているほどの人物です。

▼買収額は2465億円

 テキサスにとどまらず、全米に知られる億万長者のファティッタ氏が、NBAのヒューストンを買収した金額は、[現地の報道]によると「22億USドル(およそ2465億円)」!!

 前述の「フォーブス」が今年初めに発表した北米スポーツチームの資産価値では、16億5000万ドル(およそ1850億円)との評価でしたが、自らもコートサイドの年間シートを購入し続けているほどとあって、巨額を投じてチームのオーナーに就きました。

 なかには、アメリカの好景気に乗じた”売り抜け”を危惧する声もあるようですが、ファティッタ氏は「長期にわたってチームとの関係を築いていく」と話しています

▼次の狙いはNHLの新チーム設立

 そんなファティッタ氏が、次のターゲットに定めたと報じられているのが、「NHLの新チーム設立」です。

 ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、北米のスポーツチームの多くは、ホームアリーナの運営権も持ち、一体運営することで収益性を高める努力をしています。

 同じNBAチームのホームコートの中から一例を挙げると、ワシントン ウィザーズのホームゲームが行われるキャピタルワンアリーナ(昨季までの名称はベライゾンセンター)を運営しているモニュメンタル スポーツネットワークは、NBAだけでなく、NHLのキャピタルズWNBA(女子NBA)ミスティックス、さらにAFL(アリーナフットボールリーグ)バラーも運営も手掛けています。

 これらのプロチームのホームゲームを、キャピタルワンアリーナで開催しているだけでなく、カレッジスポーツやコンサートなどのイベントも行って収益性を高めています。

 そのためファティッタ氏は、ロケッツのホームコートのトヨタセンターを「年間300日程度は稼働させたい」と話し、そのための手段として、「明日にでも、ここ(トヨタセンター)にNHLの新チームを設立したい」との考えを明かしました

▼静観するNHLコミッショナーの心中は・・・

 このような動きを、メディアから問われたNHLのゲーリー・ベットマン コミッショナーは、「今の段階では重要視していない」と静観の意向を示しました

 しかしながら、ヒューストンには5季前まで、AHL(NHLの一つ下のリーグに相当)のチームがホームタウンを構え、トヨタセンターで試合を開催していただけに、アイスホッケーを知っているファンも少なくありません。

5季前までAHLのチームが試合を開催(Courtesy :@sims_jw)
5季前までAHLのチームが試合を開催(Courtesy :@sims_jw)

 さらに加えて、NHLは今季からベガスゴールデンナイツが加盟し、31チームが4つのディビジョンに分かれて戦っています。

 アトランティック、メトロポリタン、パシフィックの各ディビジョンには、それぞれ「8チーム」が在籍しているのに対し、唯一「7チーム」しかないセントラル ディビジョンのエリアには、ヒューストンも含まれます。

 もし、ヒューストンのチームが加盟すれば、4つのディビジョンに8チームずつ所属することになる上、同じテキサス州をホームタウンとするダラス スターズとの“バトル・オブ・テキサス”は、大いに盛り上がりそう。

 そして何より、ヒューストンの都市圏人口は、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴに次ぐ規模を誇るとあって、静観の意向を示したベットマン コミッショナーの心中には、これまで新チーム設立の動きがあった「シアトル」や、「ケベックシティ」ではなく、「ヒューストン」への期待が高まっているのかもしれません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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