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【NHL】史上初めての「チャイナゲームス」が明日開幕! でもNHLの本気度は五里霧中? 

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
チャイナゲームスに挑むバンクーバー(Courtesy : @PR_NHL)

 1917年に創設した「NHL」の長い歴史の中で初めてとなる「チャイナゲームス(=中国での公式戦)が、明日(現地時間)と(@上海・メルセデスベンツ アリーナ)、土曜日(@北京・ウクサン インドアスタジアム)に行われます。

▼スター選手が中国にやってきた!

 試合に先立って、両チームの選手たちは上海へ向かいましたが、今月1日に配信した記事で触れたように、ロサンゼルス、バンクーバーともに、中国遠征中に北米でのプレシーズンゲームが予定されています。

 そのため主力選手は開幕へ向けて北米に残り、訪中メンバーは若手や準レギュラークラスの選手がほとんどでは? との声も聞かれました。

 しかし、NHLの主要スポンサーの一つである中国企業が、「チャイナゲームス」の冠スポンサーとなっているのが大きく影響したようで、NHLは訪中メンバーに主力選手を含めるなどの条件を、両チームに通達。

 それを受けて、ロサンゼルスの訪中メンバーには、ジョナサン・クイック(31歳・GK)や、ドリュー・ダウティ(DF・27歳)。

 対するバンクーバーも、ダニエルヘンリクの セディンツインズ(ともに36歳・FW)ら、オリンピックやワールドカップでも祖国の中心選手として活躍するスター選手たちが、中国へやってきました。

▼中国遠征を満喫 !?

 現地のメディアやファンの心配は杞憂だったようで、両チームの選手たちは、中国へ向かうのを楽しみにしていた様子。

 シーズン中には毎年フロリダへの遠征もあるバンクーバーの選手たちは、長旅の過ごし方も手慣れたもの。

 なかには、エリック・グドブランソン(DF・25歳)のように、上海に着くや否や街中に繰り出して、ショッピング(と値切りの交渉)を楽しむ選手も見られました。

▼ロサンゼルスはホッケー教室を開催

 一方、ロサンゼルスは、殿堂入りを果たしているルク・ロバタイユ社長(51歳・元FW)が、マスコットのベイリーとともに、キッズプレーヤー相手にホッケー教室を開催。

 「NHL」以前に、中国では「アイスホッケー」自体が、メジャースポーツとは言えないとあって、子供たちに興味を持ってもらおうと、注力しているようです。

▼水を差される・・・もとい、霧に泣かされる

 ところが、このような意気込みは、水を差される、、、もとい、霧に泣かされてしまいました。

 昨日の上海は、曇りがちだったものの、最高気温は30度近くまで上がったせいで、暖かい外気が流れ込んだ影響からか、リンクの中に霧が立ち込め視界不良に・・・。

 ホッケー教室だけに限らず、試合会場での両チームの練習も、このような状況の中で行われました。

▼NHLの本気度も五里霧中!?

 もっとも、霧で見通せないのは、チームの練習だけではなかったようで、NHLのゲイリー・ベットマン コミッショナーは「チャイナゲームス」の今後についてメディアから問われた際に、明言を避けたそうです。

 というのも、3月末にベットマン コミッショナーが自ら中国へ赴き、「チャイナゲームス」の開催を大々的に発表したものの、現地の盛り上がり度はイマイチ(より低い?)

 初戦を明日に控えながら、公式チケット販売サイトでは、まだ2試合ともに空席(残券)が見られます。

▼バンクーバーは中国人GKと契約

 チームも手をこまねいていたわけでなく、バンクーバーは、アジアリーグのチャイナドラゴンでもプレーした中国人GKの サン・ゼハオ(21歳) と、アマチュアトライアウト契約を結びました

 もちろんこれは、戦力として見込んでいるのではなく、チャイナゲームスの期間中だけの限定契約。

 少しでも話題を提供しようとの方策だったのは明らかですが、効果のほどは・・・。

▼最初で最後の「チャイナゲームス」!?

 このような現状を精査すると、明日と23日の試合が最初で最後の「チャイナゲームス」になってしまうかも !?

 先日記した筆者の 「チケット代はフィギュアスケート中国大会の2倍!なのに主力選手は訪中せず!?」の結びに記したとおり、間近に迫った「NHLチャイナゲームス」は、果たして成功裏に終わるのでしょうか?

 そして、二度目、三度目の公式戦も開催されるでしょうか? との声が聞こえてきそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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