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【NHL UPDATE】「超大型契約を結んだ20歳のMVPと45歳で就活中の元MVP」~その後~

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
既にチェコ代表でのプレーをリタイアしたヤロミール・ヤーガ(写真:ロイター/アフロ)

今月1日(現地時間)から、アイスホッケーの新たなシーズンを迎えたのにあたって、NHLもFA権を行使して、他チームと契約することが可能になり、既に多くの選手が新天地へ移る選択をしました。

▼超大型契約を結んだ20歳のMVP!

その一方で、所属しているチームとの契約延長に至った選手も多く見られますが、その中で最も注目されたのは、エドモントン オイラーズの

コナー・マクデイビッド(FW・20歳)

今月1日に筆者のサイトで紹介したとおり、ドラフト全体1位指名を受け、最初に結んだ契約が満了する来年のオフを待たず、「年俸1250万USドル(およそ14億円=キャップヒット額)で、所属チームと結ぶ再契約では最長となる8年間契約延長にサインしました

エドモントンのホームゲームの中継権と、ホームアリーナのネーミングライツを持つカナダのメディアの予想より、少し低かったとはいえ、ともにコンスマイストロフィー(プレーオフMVP)に輝いた、シカゴ ブラックホークスの ジョナサン・テイズ(FW・29歳)、パトリック・ケイン(FW・28歳)という二人を上回り、来季から「NHL最高年俸選手」となります!

▼45歳の元MVPは未だ就活中

対して、昨季までフロリダパンサーズでプレーしていたヤロミール・ヤーガ(FW・45歳)には、いい知らせが届いていないようです。

こちらも先日に紹介したとおり、契約が満了しFA権を手にしたものの、ヤーガ自身がツイートしたとおり、全くオフォーが届かず・・・

NHLチームとの契約を司るヤーガのエージェントは否定しているものの、祖国のチェコのメディアからは、本人の言葉どおり、具体的なオファーはなく、NHLでプレーを続ける希望は叶えられないのでは?との声が、ささやかれているそうです。

▼元MVPの就活はシビアな様子 !?

実際にNHLチームの反応を見ても、昨季まで在籍していたフロリダは、デイル・タロン GMの名前で、「感謝の言葉」を記しているとおり、再契約を考える可能性はなさそう。

それならばと、かつて在籍していたチームに視線を移すと、、、

まずフィラデルフィア フライヤーズは、フィジカルなプレースタイルが持ち味とあって、身長189 cm 体重 104 kg のサイズがあるヤーガには打ってつけ。

しかも、6季前に在籍していた時は、同じラインで一緒にプレーしていたクロード・ジルー(FW・29歳/現キャプテン) が自らのキャリアで最多ポイントをマーク。

このような背景から、有力候補の一つに挙げたメディアもありましたか゛サラリーキャップ(チーム年俸総額上限)に猶予がなく、ロン・ヘクストール GMは関心を抱いていません。

同様の理由で、ピッツバーグ ペンギンズワシントン キャピタルズ、さらにボストン ブルーインズなども、これまでのところ獲得へ動く様子は見られません。

古巣以外では、若いFWが数多く揃うトロント メイプルリーフスには、豊富な経験を持つヤーガのようなベテランFWが必要との報道もありましたが、ヤーガより7歳若く、サンノゼシャークスの 看板CFだったパトリック・マーロー(37歳・FW)に白羽の矢を立て、FA移籍で獲得。

ヤーガを招く可能性は、(ほぼ)ゼロになったと言えそうです。

▼残された道は「3つ」

このような状況から、ヤーガに残された道は「3つ」となりました。

1つ目は、NHLのキャンプが始まってケガ人が出たり、若手選手の伸びが見られず、「ロースタースポットに空きが出ているチームと開幕直前に契約する」

2つ目は、「NHLチームとの契約をあきらめ、他のリーグでプレーする」(ヤーガは2008年秋から3季の間、KHLでプレーしたキャリアもあります)

そして3つ目は、「現役引退」

ティム・セラニ、ポール・カリヤらに続いて、アイスホッケー殿堂入りするのは確実! だと見られているヤーガだけに、今後の動向が注視されます。

▼ヤーガの花道を飾る !?

ただ、もし3つ目の「現役引退」を選んだ際には、チェコが初めて金メダルを勝ち取った「長野オリンピック」から、今季は丁度20年。

「ヤーガの花道を飾ってあげよう!」 と日本のチームが契約を結べば、世界中のスポーツファンから注目を集めそうなのですけれども・・・。

長野オリンピックで金メダルを獲得した ヤロミール・ヤーガ(Photo Jiro Kato)
長野オリンピックで金メダルを獲得した ヤロミール・ヤーガ(Photo Jiro Kato)
フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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