Yahoo!ニュース

【KHL】ロシア発中国経由イギリスへ。KHLが狙う次のターゲットは、ズバリ!「ロンドン」だ!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
イギリスからNHL観戦に訪れたエリザベス女王とウェイン・グレツキー(写真:ロイター/アフロ)

ロシアをはじめ8か国から29チームが参加するヨーロッパ随一のビッグリーグ・KHL(コンチネンタルホッケーリーグ)は、スカ サンクトペテルブルグ が、2季ぶり2度目の優勝を飾って、9季目のシーズンを終えました。

近年のKHLを振り返ると、スカ サンクトペテルブルグメタルーグ マグニトゴルスクチェスカ モスクワの各チームが2度ずつ優勝し、常に王座を争う「三強時代」へ突入。

その一方で、今季最も話題を提供したチームは、クンルン レッドスターに、他なりません。

▼クンルンレッドスターの健闘

中国の北京(ホームゲームの一部は上海でも開催)をホームタウンに定め、今季から加盟したクンルンは、前評判の低さを覆し、創設初年度にプレーオフへ進出。

ファーストラウンドで敗れたものの、話題先行のチームではないことを証明してみせました。

また、開幕当初は数十人程度の観客(チームの発表は、一桁多くなっていましたが・・・)しかいない試合も見られましたが、シーズンが進むにつれてファンを増やし、プレーオフでは7000人を超す観衆を集めるなど、集客面でも健闘。

シーズン終了後には、中国アイスホッケーの育成と強化を目的に、同じくKHLに加盟しているヨケリト ヘルシンキ(フィンランド)と提携を結ぶなど、2022年の冬季オリンピック開催を視野に入れた動きも見られます。

▼NHLの出遅れを尻目にロンドンへ進出

KHLの中国進出に対して、出遅れてしまったNHLは、先月末に「上海と北京でプレシーズンゲームを開催する」と発表。

これまでは、NHLのチームが中国へ指導者を送り込んで、子供たちを集めたアイスホッケーキャンプを行うことはありましたが、予想以上の成果を収めた KHLの成功に、チーム頼みだけでなく、NHLも新たな一歩を踏み出したのです。

しかしKHLは、既に次の一歩を踏み出しています。

昨年7月に、イギリスアイスホッケー協会から、「ロンドンにチームを新設する許可を得た」ことを発表。

イギリスにも国内リーグがありますが、国際アイスホッケー連盟が報じたように、イギリスアイスホッケー協会は、歓迎の意向を示している模様。

財政面などの課題はあるものの、NHLが中国への舵を切るより早く、KHLは次なる視線を「ロンドン」へ向けているのです!

▼NHLも6季ぶりにヨーロッパで公式戦を開催

このような動き受けて、すぐさまNHLも、ヨーロッパへの再進出を決定。

2007年から5季にわたって、「NHLプレミア」と銘打って開催していた開幕シリーズ以来となるヨーロッパでの公式戦を、11月に2試合を行うと発表。

グローバルシリーズ」と名前を改めて、ストックホルムで開催する試合では、ともにキャプテンをスウェーデン人が担う「コロラド アバランチ vs オタワ セネターズ」の顔合わせに。

果たして、ヨーロッパでの主権争いを制するのは、KHLか?それともNHLか?今後の行方が注目されます。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事