スマイルジャパンを応援する前に!女子にはあるのに、男子にはないアイスホッケーのルールをご存知ですか?
韓国で開催される「ピョンチャン オリンピック」の開幕まで、あと1年となりました。
男子のアイスホッケーは、未だにNHL選手の出場可否の最終決定が下されず、混迷が続いている一方で、女子は「残り2つ」の “ピョンチャン行きのチケット” を懸けて、今日から最終予選が始まります。
最終予選は国際アイスホッケー連盟(IIHF)の世界ランキングによって、2つのグループに分かれて開催。
「スマイルジャパン」の愛称で呼ばれる女子日本代表は、現在の世界ランキングが「7位」。ドイツ(同8位)、オーストリア(11位)、フランス(12位)と、1試合ずつ総当たりしてトップになると、2大会連続3度目の出場が決まります。
対戦国の中で世界ランキングが最も上位のため、自国開催権を有した日本は、ナショナルトレーニングセンターに指定されている白鳥王子アイスアリーナ(苫小牧市)に3ヶ国を迎え撃ちます。
★ 試合のスケジュールは、日本アイスホッケー連盟のオフィシャルサイトを、ご参照ください。
祝日の11日(土曜)と、12日(日曜)にも試合が予定されているので、「応援に行こう!」と思っている方も多いのではないでしょうか?
そんなスポーツファンの皆さんに、お聞きします!
「女子にはあるのに、男子にはないアイスホッケーのルールを、ご存知ですか?」
▼イリーガルヒット
「氷上の格闘技」の異名をとるアイスホッケーでは、激しいコンタクトプレーも魅力の一つ。NHLをはじめ、世界各国のリーグで、力強いボディチェックがスタンドを沸かせています。
しかし、オリンピックや世界選手権で採用される IIHF のルール(169項)に、
「DEFINITION- In women’s hockey, a player is not allowed to deliver a bodycheck to an opponent」
と記されているとおり、女子のアイスホッケーの試合では、相手選手へのボディチェックが禁じられ、違反した選手には「イリーガルヒット」(以前に日本などではボディチェッキングと呼ばれていたこともあります)というペナルティが課せられます。
これは、性別を問わず、選手たちが大きなケガに遭わないために定められたもので、同様の理由から、「ボディチェックは12歳から14歳の間。14歳から18歳までの間と、(成長とプレー経験に合わせて)段階的に採用していくように」と、アメリカアイスホッケー協会も指針を示しています。
このような指針は、カナダでも同様に定められていて、激しいコンタクトプレーをウリとする北米のアイスホッケー界は、何が何でも “ガチのバトル” を歓迎しているわけではないのです。
▼第1回・女子世界選手権では、ボディチェックOKだった!
紹介したとおり、女子のアイスホッケーの試合では、相手選手へのボディチェックが禁じられていますが、かつては世界一を決める「女子世界選手権」で、ボディチェックが認められていました。
IIHFが、1990年3月に初めて(公認大会として)カナダの首都オタワで開催した「第1回・女子世界選手権」には、ホスト国のカナダをはじめ、アメリカ、フィンランド、スウェーデン、スイス、ノルウェー、西ドイツ(当時)、日本の8か国が参加。
当時はヨーロッパ各国の女子の試合では、男子と同様にボディチェックが認められていたため、フィンランドを筆頭に、「ヨーロッパでのルールを採用して欲しい」との強い主張があり、世界選手権も ボディチェックOKで試合が行われたのです。
ところが、カナダ、アメリカともに、他チームを圧倒! カナダが金メダル、アメリカが準優勝と、「ボディチェックOK」というヨーロッパのアドバンテージは成績につながらず、翌々年の第2回大会からは、相手選手へのボディチェックが禁じられている現行のルールに(長野大会から正式種目になったオリンピックも含めて)なっています。
ちなみに、女子世界選手権は、昨季まで「17回」開催され、カナダが「優勝10回」。アメリカは「優勝7回」。
長野を皮切りに、これまでに行われた5回のオリンピックでも、アメリカが長野で金メダルをとったあと、ソルトレイク大会からは、カナダが「4大会連続金メダル」。
スウェーデンがトリノ大会で銀メダルを獲得したのを除くと、オリンピックの女子決勝は「カナダ vs アメリカ」の顔合わせばかり!
スマイルジャパンの健闘とともに、女子アイスホッケーの勢力分布図が変わる日は、やって来るのか !?
今後の注目点だと言えそうです。