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この夏、AV出演強要被害を防ぎたい。プロモーション動画「あなたがいやなら断ることができます」を公開。

伊藤和子弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長
完成した、AV強要被害を防止する啓発動画「あなたがいやなら断ることができます」

■ アダルトビデオ出演強要被害を防止するプロモーションビデオが完成

 「モデルにならない?」「タレントにならない?」と街で若い女性をスカウトし、AV出演や性的撮影を強要する被害。

夏は特に被害が起きやすい季節です。

  こうした被害を被害を防止するために、啓発プロモーション動画・

 「あなたがいやなら断ることができます」が8月8日付で完成、ユーチューブ動画として公開されました。

   (プロモーションビデオ・画面はくるみんアロマさん)。

  紹介ページはこちらです。「あなたがいやなら断ることができます」が完成、公開します。

  このプロモーション動画は、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが、AV出演強要被害を実名で告発されたユーチューバーのくるみんアロマさんとのコラボで昨年12月から進めてきたもの。

 出演いただいたのは、登場順に、

堀潤さん(ジャーナリスト/NPO法人8bitNews代表)、

倉垣まどかさん(女優)、

小菅怜衣さん(女優)、

矢崎希菜さん(女優 高校二年生)、

上杉勇輝さん (俳優) 、

原拓麻さん(俳優・モデル)、

末原拓馬さん(俳優・脚本家、劇団「おぼんろ」主宰)、

くるみんアロマさん(ユーチューバー)、

小川たまかさん(ライター)

の皆さん。若く有望な俳優・女優の皆さんが協力してくれました。

そして、Yahoo個人のオーサーとしても活躍されているジャーナリストの堀潤さん、ライターの小川たまかさんもメッセージを寄せて下さっています。

■ 一人でも多くの若い人、一人で苦しんでいる人に届けたい。

 AV出演強要被害は、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが調査報告書を公表して問題提起し、被害者の方々も声をあげて社会問題として表面化しました。

 意に反して性行為を含む過酷な撮影を繰り返し強要し、その一部始終を撮影して販売し、半永久に販売・拡散する、その被害はあまりに深刻で、自殺者や、心にPTSDを負う被害者がいることが明らかになっています。

 内閣府が今年はじめ、約2500人を対象にした調査でも、73人が望まぬ性的撮影をさせられていたことが明らかになっています。

 これを受けて、今年5月には、政府が包括的な対策を発表しました。

 しかし、まだ対策は実態に追いついていないと実感しています。

 そのなかでも特に重要な課題のひとつは、被害防止の啓発活動です。ビデオでは、被害の事例、悪質業者の強要の様子、被害にあわないため、被害から抜け出すための方法などの情報を提供しています。

 ここで私たちが特に伝えたいのは、

タイトル:  「あなたがいやなら断ることができます」というコアなメッセージです。

同時に、「あなたは悪くありません」「あなたには幸せに生きる権利があります」

「あなた自身が大切にされない場所に居続けるべきではありません」などの言葉も伝えたいと思います。

「あなたは悪くありません」末原拓馬さん (俳優 劇団「おぼんろ」主宰)
「あなたは悪くありません」末原拓馬さん (俳優 劇団「おぼんろ」主宰)
「あなたが大切にされない場所にいるべきではありません」高校生女優の矢崎希菜さん
「あなたが大切にされない場所にいるべきではありません」高校生女優の矢崎希菜さん
「いやだったら断ることができます」(小川たまかさん)
「いやだったら断ることができます」(小川たまかさん)

また、支援団体のご協力を得て相談先も明記しています。

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一人でも多くの若い人たちに、このビデオのメッセージが届くよう、是非拡散していただきたく、よろしくお願いいたします。

■ 多くの方の応援&コラボで実現

このプロモーション動画は、ヒューマンライツ・ナウが、AV出演強要被害を実名で告発されたユーチューバーのくるみんアロマさんと語り合うなかで構想され、2016年12月からJapan Givingで開始したクラウドファンディングで共感して下さった皆様からいただいた温かいご寄付によって実現の運びとなりました。

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  ひとりでも被害者が出るのを防ぎたい、一人で困って誰にも相談できない方に想いを届けたい、と考え、試行錯誤を重ね、伝えたいメッセージをひとつひとつ言葉にしてシナリオをつくりました。

  幸運なことに、株式会社ジェイツ・コンプレックスの甲斐浩次様をディレクターとするクリエイターの方々が撮影・制作を御厚意でお引き受けくださり、素晴らしいチームワークで完成まで進めてくださいました。

   そして、ジャーナリストの堀潤さん、ライターの小川たまかさん、そして若く有望で、心ある俳優の方々のご協力を得て完成に至りました。ひとりひとりの皆様から本当に素晴らしい演技&メッセージをいただきました。

心よりお礼申し上げます。

■ 「あなたがいやなら断ることができます」は若者みなさんに伝えたい。

  この動画のタイトル「あなたがいやなら断ることができます」を見て、企業向けにも作ってほしいというコメントをいただきました。

  そして私自身、「このタイトルには普遍性がある」と改めて痛感しました。

  若い人たちを過労死、過労自殺に追い詰めてしまうブラック企業、そして学生さえ不当拘束するブラックバイト、デートDV、今の日本で「断る」ことができない若い優しい人たちと、そうした若い人たちを利用して利益を得ようとする人たちをめぐる人権問題が至る所に起きています。

  追い詰められて自殺する前に、あなたにはNoと言い、解放される自由がある、このことも、動画を通じて、たとえAV強要とは関係ない状況に置かれた方々にも知って感じてほしいと思います。

  

   Youtube →  https://youtu.be/GxacJRbfmT0

   紹介ウェブページ→ http://hrn.or.jp/news/11813/ 

   AV出演強要被害調査報告書→ http://hrn.or.jp/news/6600/

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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