◆採用担当者の基礎資料としての本・マンガを選書するにあたってのメモ

このYahoo!ニュース個人有料版は、企業の採用担当者を読者と想定して開始した。

その後、意外にも教育関係者も読者として一定数いることから、途中で教育関係者も読者対象として含むことになり現在に至っている。

それで、7月25日にこの有料版で教育関係者向けに「教育関係者が読んでおきたいヤングケアラー・毒親関連の本・マンガ 11選」を出したところ、好評だった。

そこで、この本・マンガ紹介シリーズの2回目として、採用担当者向けの基礎資料となる本・マンガをまとめた次第である。

さて、採用担当者と教育関係者、何が違うか、と言えば、横のつながり、と私は考える。

教育関係者の場合、小中高、あるいは短大・大学・専門学校であれ、塾・予備校であれ、横のつながりは結構ある。教科研究会などはその典型だし、進路指導教員なり、キャリアセンター・就職課職員なりが定期的に会合を持つ、ということも珍しくない。私もそうした会合に講師として呼ばれることがそれなりにある。もちろん、教員・教育関係者が個人的に呼び掛けて実施する勉強会は各地に存在する。

一方、採用担当者はどうだろうか。ある人はあるのだが、ない人はとことんない。本題ではないので詳細は避けるが、公的なもの・私的なもの、ともに教育関係者ほどではない、と感じている。

これは、採用担当者の基礎知識の有無の差が大きいことにつながる。

採用担当者で勉強している人は、ものすごく勉強していて、かつ、20代の心を掴むこともうまい。こういう採用担当者がいる企業だと、その担当者が若くなくても(50代・60代であっても)、新卒採用は比較的うまく行っているし、離職率も低く抑えている。

一方、採用担当者で基礎知識がない人はとことんない。以前、とある地方の中小企業イベントに呼ばれた際、別の講師の話を聞くと、「求人票の書き方」から始まっていた。

極端な話、企業経営者や役員クラスが採用担当者を兼任しており、若者心理など、二の次、三の次でしかない。

本稿をまとめる際、一口に採用担当者と言っても、どのレベルに焦点を当てるか、少し悩んだ。

が、今回は基礎資料という前提でまとめてみた。採用畑の長い方からすれば、そんなの読んでいて当たり前、という方もいるだろうが、この点はご了承いただきたい。

なお、採用担当者の基礎資料ということであれば、拙著『就活のワナ』(講談社+α新書、2021年)もお忘れなく(宣伝)。

『デザイナーじゃないのに!』(平本久美子・よしだゆうこ、ソシム)

2020年刊行のエッセイ漫画。住宅メーカー勤務の女性が上司からチラシデザインの仕事を無茶ぶりされる。困っているところにデザインの知識ある先輩が助けて、段々とデザインスキルが上がっていく。ストーリーは二の次で、デザインのノウハウを伝えることがこの本の主眼。なお、著者・平本氏は現役のデザイナー、かつ、ノンデザイナー向けの講演多数、という経歴。

採用担当者は、セミナー・説明会の告知から名刺作成まで、デザインに関わる機会が相当多い。しかも、デザインを外注できればいいが、多くはこの漫画にあるように、自社内でどうにかしようとする。その分、外注予算は削れるが、押し付けられた方がこの漫画のタイトル通り、「デザイナーじゃないのに」と頭を抱えることになる。しかも、ちょっとダサいデザインをした日には上司が怒涛のダメ出しをすることに。

この漫画は、デザイナーでもないのにデザインを考えなければならない、採用担当者の強い味方となる。

この漫画でデザインを勉強すれば、外注予算を削れるだけでなく、社内外とも満足度が上がるに違いない。

※本稿では、他に12冊を選書、その解説は合計3500字です。

『日本の労働経済事情 人事・労務担当者が知っておきたい基礎知識』(一般社団法人日本経済団体連合会、経団連出版)

『人事・労務の手帖』(産労総合研究所・編、経営書院)

『人事・労務の超基本』(北村庄吾、かんき出版)

『女性の視点で見直す人材育成』(中原淳・トーマツイノベーション、ダイヤモンド社)

『理系の「採用・活かし方」トリセツ』(杉浦大介、ぱる出版)

『人事の組み立て 脱日本型雇用のトリセツ』(海老原嗣生、日経BP)

『おとめ六法』(上谷さくら・岸本学、KADOKAWA)

『「シュガー社員」から会社を守れ!』(田北百樹子、PHPビジネス新書)

『ハラスメントの境界線』(白河桃子、中公新書ラクレ)

『こうすれば楽しめる 『就活』の戦略と戦術』(高野一郎、セルバ出版)

『営業女子はじめました』『社会人4年目、転職考え始めました』(えりた、イーストプレス)