■なぜヤングケアラーと毒親がひとまとめか

このYahoo!ニュース個人有料版の読者に教育関係者や図書館関係者がどれだけいるかは不明だ。

それでも、少数はいるであろう、関係者向けに、ヤングケアラー、毒親関連の本・マンガを私の独断と偏見で11冊、選書した。何かの参考になれば幸いである。

さて、読者によっては、なぜ、ヤングケアラー、毒親をひとまとめにするのか、といぶかる方もいるかもしれない。

まず、前提として、ヤングケアラーは「一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」(厚生労働省サイトより)。

毒親は、「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」(スーザン・フォワード『毒になる親 一生苦しむ子供』/講談社+α文庫、玉置悟訳より)。

それぞれ、支援方法などは異なる。

ただ、これらの問題は、それぞれ微妙に重なる部分がある、と筆者は強く感じている。

たとえば、ヤングケアラーがなぜそうなったか、毒親であるケースは一定数はあるはずだ。

そう考えると、将来的には、包括的な支援も検討すべきであろう。

もっと言えば、本稿では対象外としているが、支援という点ではケアリーヴァ―も含んだ方がいいような気がする。

その前段として、という意味もあるが、もし、教育関係者や図書館関係者が関連の本・漫画を探す際は、リンクして考えた方がいいのではないだろうか。

そう考えて、本稿では、ヤングケアラー、毒親をひとまとめとした次第である。

なお、本稿での選書はあくまでも教育関連の取材がそこそこ(19年)、趣味が漫画、という私の独断と偏見によるものである。

当然ながら見落としもあるはずで、適当な時期に改訂版をこのYahoo!ニュース個人有料版で出す予定としたい。

『ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話』(しまだ、KADOKAWA)

2018年刊行のエッセイ漫画。宗教にはまった母親に振り回される家族をギャグタッチで描いている。出版社・書籍販売サイトには「宗教ギャグエッセイ」。

ヤングケアラーの問題が毎日新聞のキャンペーンなどで注目されるようになった2020年ごろから、「ヤングケアラーの問題は毒親なども含めて検討すべきではないか」と考えるようになった。そのきっかけはほかでもない、同書にある。

著者は自身の経験について、「宗教は悪くない」「母は純粋だった」と分析。

宗教=アイドルグループにハマったオタクのようなもの、として、自身の経験(怪しい合宿に連れていかれた、など)をコミカルに描いている。

なお、宗教は著者の意向により、完全に架空のもの、となっている。

この漫画の終盤に出てくる現実は、本編に出てくるコミカルさが全くない。弟を守ろうとする姿はヤングケアラーそのものだし、母親が著者にぶつける暴力や暴言は毒親そのものだ。

しかし、著者は、終盤は別として、全体としては、コミカルに描いている。だからこその「宗教ギャグエッセイ」なのだろう。私はここにこの著者の力強さを見た。

同時に、宗教にはまった親のいる子どもがどう対応すればいいか、同書が完全解とまでは言わなくても、答えの一つがあるように感じる。

もし、毒親関連で選書が必要な場合はこのエッセイ漫画を強く推したい。

※本稿では、他に10冊を選書、その解説は合計1800字です。選書した10冊のタイトル・著者・出版社は以下の通りです。

『カルトの子 心を盗まれた家族』(米本和広、論創社)

『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』 (澁谷智子、中公新書)

『with you 』(濱野 京子、くもん出版)

『毒親に育てられました 母から逃げて自分を取り戻すまで』(つつみ、KADOKAWA)

『毒親と絶縁する』 (古谷 経衡、集英社新書)

『汚部屋そだちの東大生』(ハミ山クリニカ、ぶんか社)

『ヤングケアラー わたしの語り――子どもや若者が経験した家族のケア・介護』(澁谷智子・編、生活書院)

『毒親の日本史 』(大塚ひかり、新潮新書)

『こども六法』(山崎聡一郎、弘文堂)

『ママのうつ病をなめてたら、死にそうになりました。』 (上野りゅうじん、ぶんか社)