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SNSで話題の【漫画】「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで〜」を獣医師が解説

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト

SNSを覗いていると、雨が降ると散歩を嫌がる犬、お皿洗いを覗きに来る猫などとかわいい動画や写真で溢れています。

コロナ禍で自宅にいる時間が長くなりペットの世話がしやすくなったことや、孤独感を感じる人たちが癒しを求めて犬猫を飼うケースが多くなる傾向があります。

しかしながら、犬や猫の人気種をペットショップなどで買う場合の値段は数十万円と高額。一括で支払うことができずに、最近はローンを組んで購入する人も増えています。

ペットショップで「運命の出会い!」と思って36回のローンで購入した猫のメインクーンは、飼い主さんの経済破綻でネグレクト状態にあり、知人に保護されたというニュースがネットで話題になっていました。

そのニュースを見たこの漫画の作者は、10月5日にTwitterに「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」とデメリットも含めて飼い主への要望を投稿し、多くの人に読まれています。筆者も特に最近、安易な購入が増えていないか? 犬猫の命が大切にされていないのではないか? と懸念がありました。この漫画にとても共感したので、ご紹介します。

漫画の作者は、捨て猫だった兄妹2匹と7年暮らしています。その体験を元に、飼い主に動物の命が奪われないようにと強いメッセージが込められています。筆者は、18歳のシニアの犬と一緒に暮らしている愛犬家でもあり、臨床獣医師です。一緒にこの漫画を見ていきましょう。

ペット飼うということは 日常に必要なものは?

作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト
作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト

ペットが1匹増えるということは、家族が増えることです。当然、食事もするし、ウンチやオシッコもします。そのため、毎月の出費として、ごはんやおやつ、トイレや給水用のアイテム、おもちゃなどで1、2万円ほどかかりますね。特に大型犬の場合、フード代が小型犬の数倍かさみ5万円かかること珍しくありません。オーガニックや無添加なものなど高価なものも増えています。

ペットの医療費 ワクチン代 不妊去勢手術代は?

 

作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト
作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト

ペットは、食事と水をあげているだけで、病気をしないといいのですが、そういうわけにはいきません。

・予防注射

まずは、予防のために、年に1回のワクチン(子犬、子猫の場合は初めのワクチン接種は、2~3回します)で、1匹で数千円から1万円(動物病院やワクチンの種類によって違います)必要です。

・避妊去勢手術

犬猫を飼った人には、絶対にしておいてもらいたいのは、避妊去勢手術です。この手術をしてもらうだけで、女の子の場合なら、発情が来る前にしてもらうと、乳がんや乳腺腫瘍になる確率がぐっと減ります。そして、子宮の病気にもなりません。男の子の場合は、シニアになり、前立腺がんや前立腺肥大の確率が減ります。それに、ホルモンに関係がある肛門周辺の病気も少なくなります。

・ペットが病気をしたら

ペットは、病気をしたとき、人と同じような保険制度ではないので、数万円かかることもあります。もちろん、いまの獣医学では、2次診療などの高度の医療も飼い主が望めば受けられます。そのような場合は、治療費が数十万になることも珍しくありません。たとえば、MRIのCTの画像診断を受けるだけで、15万円(病院によって異なります)になり、ここから治療をするので、さらに医療費が高額になることもあります。

・ペット保険

ペットが病気をしたときのために、民間のペット保険があります。会社やペットの種類によって異なりますが、月に数千円から1万円ぐらいかかります。

猫を飼うときの日常の注意点 旅行するときは?

作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト
作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト

犬猫を室内飼いすることは、いいことばかりではないです。

・コード類は収納

犬猫はコードを噛んだりします。コードが絡んだりすることもあるので、収納しましょう。

・ウールサッキングをさせないように部屋を片付けましょう

ウールサッキング(症状)とは、ウールは「羊毛」、サッキングは「しゃぶる」という意味です。つまり直訳すると、羊毛をしゃぶることです。猫の中には、羊毛だけではなくて、毛布、絨毯、レジ袋、ひも、輪ゴム、段ボール箱など、いろいろなものをしゃぶったり、噛んだり、あげくは食べたりする猫がいます。胃に詰まると命とりになります。そのため、上記のものは、片付けましょう。

以前に、子猫に毛布をかけてあげたら命の危険に 知られざる「ウールサッキング」の恐怖とは?に記載しています。

猫の問題行動のひとつです。とくに、不安を感じたり、欲求不満などがあるとこのような行動をします。犬の場合は、不安があると、オッポを追いかけまわしたり、過剰に爪の辺りを舐めるのに、似ています。人が爪を噛んだり、パイプをくわえるのと同じような行動です。

・猫は吐くことが多い

猫は犬に比べて、吐くことが多いので、重要な書類や品物は、片付けましょう。

・猫は爪とぎをする

猫は爪とぎをします。壁などでしないように、爪とぎ用のグッズを買って、そこでしてもらうようにしましょう。

・留守をするとき

ペットを飼ってから、留守をするときは、ペットホテルに預けるか、ペットシッターさんに頼みましょう。ペットホテルの代金は、1泊で数千円~1万円ぐらいかかります(ペットの種類や大きさで異なります)。ペットシッターさん代は、1日で数千円ぐらいです。筆者は、老犬と暮らしているので、ペットシッターさんは、1日でも来てくださいます。いつも同じ人だと、ペットの様子を把握してくださっているので、ありがたいです。

ペットと暮らすときの心の余裕とは?

作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト
作者提供 「お金と心に余裕がない人はペットを飼わないで欲しい」イラスト

お金以外に、必要なものは、心の余裕と作者はいっています。

ペットは、そこにいてくれるだけで幸せと思って、飼ってほしいですね。室内飼いだと以下のこともあります。

・毛が抜ける

プードルなどの巻き毛の子は、毛が抜けないのですが、他のペットは、ほぼ毛が抜けます。換毛期のときは、ペットをまめにブラッシングして、部屋を掃除します。それでも毛が服に付くので、ガムテープやコロコロなどが必要です。

・置きっぱなしてにしてあるオヤツをペットが食べたとき

犬猫は、飼い主のことをよく見ています。忙しいときに、ペット用のオヤツを置きっぱなしのとき、ペットはつい食べてしまうこともあります。そんなときにも怒らないことです。片付けない飼い主が悪いのですから。

・ひとつでもしんどいなと思ったら

上記のことをひとつでもしんどいなと思ったら、ペットと暮らすべきではないと作者はおっしゃっています。それくらいの覚悟が必要ということでしょう。

臨床獣医師からの提案

漫画はわかりやすく描かれています。

さらに臨床獣医師から提案すると、いまの犬猫は、とても長生きです。犬猫は10~15年以上を生きる子が大半です。猫なら20年生きる子もいます。人生では、何があるかわかりませんが、そのことを考えて暮らしてくださいね。病気で自分が面倒を見られないときは、誰か見てくれる人を日ごろから探しておくことが大切です。経済的に不安定であれば避けたほうが賢明でしょう。終身飼育をしてもらいたいですね。

ペットショップで一目ぼれして、犬猫を購入する他に、保護猫、保護犬などの選択肢があります。動物愛護センター、保護猫、保護犬の活動をしているところを調べるとたくさんあります。里親になっていただくと、ひとつの命が幸せになります。ペットショップでとにかく売りたいというお店と違い、保護猫や保護犬を譲る側は飼い主の覚悟を見定めようとする傾向があるので、その方に自覚が芽生える可能性もあるかもしれません。

犬や猫を飼うということは簡単なことではないし、お金も時間もかかります。そしてペットも人間と同じく長生きなので、人と同じような心臓病、腎臓病、がんなどにもなります。そのようなことも科学的な知識を常にバージョンアップして持つことが必要な時代になっています。

どこから、どのように迎えるにしても、ペットと共に幸せに過ごしてほしいです。一緒に暮らす前に、時間をかけて事前に考えることが大切ですね。飼い主の知識のなさや身勝手な行動で犬や猫につらい思いをさせないように。彼らは、ひとりで生きることができないのですから。犬や猫は、飼い主のおもちゃではなく、命あるものなので、どんなときでも愛情が必要です。

いろいろと大変ですが、かわいくて仕方がない!

いろいろと大変ですが、実際に飼うとかわいくて仕方がないです。

飼い主の髪の毛が寝ぐせだろうが、疲れていようが、どんなときでも、犬や猫はおかえりなさいと出迎えてくれます。そして、毎日、一緒にいるのに、飼い主に大好きだとアピールしてくれます。

ペットは一家にとって、大切な存在ですね。身をもって命の尊厳や老いなどをペットは教えてくれます。犬や猫は、家族のところを回って、様子を見てくれます。「今日は傍にいてあげよう」「そっとしておこう」と人とのコミュニケーションの取り方が熟練していて、学ぶことが多いですね。

ペットに愛情を与えていると、ペットから愛情を惜しみなくもらいます。筆者の愛犬は、18歳になり寝る時間が多いのですが、それでも傍らにいるだけで、温かい気持ちになります。犬や猫は、ずっと一緒にいても、嘘をついたり、飼い主を疑ったりすることもなく、ずっと飼い主を見つめてくれます。そんな犬や猫と暮らすことは、人生を豊かにそして深みのあるものにしてくれますね。

ペットを飼うとたいへんなこともあります。

生まれてからずっとペットと暮らした筆者はみなさんに

「たのしいこといっぱいあるよ!」

「私は、たとえペットが老いても病気になっても、傍らにいるだけで幸せ!」

と、お伝えしたいです。

※漫画の作者が「この漫画はフリーに使っていただいてOKです。その場合は作者名も出さずリンクも貼らないでください」と表明しているため、あえて作者名やリンクを出していません。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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