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もしも私や家族が感染したら…大切なペットのために準備しておきたいこと【#コロナとどう暮らす

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

Yahoo!ニュースでは新型コロナウイルスを経験した社会が今後どのように変化していくのか、皆さんが不安に感じていることをコメント欄に記載する記事を公開しています。その中に家族の一員である「ペット」に関して不安に感じている人がいます。臨床獣医師の私なりの見解を述べたいと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大は、いまはある程度抑え込めています。しかし、新型コロナウイルスが撲滅されたわけではありません。

特に、ペットを飼っている人は、自分とペットの命も守らないといけないので心配ですね。もちろん、飼い主が感染しないことです。しかし、気をつけていても新型コロナウイルスに感染することがあります。

上記コメント欄でも

「私や家族が隔離された時、ペットを、見る人がいないという問題に直面しています。 大変不安です。陽性と判明しても自宅療養しか選べません。 感染症ですから愛護ボランティアさんも預かりは困るでしょう。 自治体や獣医師会で預かってもらえないのでしょうか。私たちは、そんなとき、どうすればいいのでしょうか」

という不安の声があがっています。

撮影筆者の知人 ケージに入っている犬
撮影筆者の知人 ケージに入っている犬

飼い主が、新型コロナウイルスに感染したケース

ペットの世話を頼める人がいない場合は、以下のところを参考にしてくださいね。

新型コロナウイルス感染症による入院・宿泊療養の際のペットの飼育について・東京都福祉健康局

東京以外の人は、各自治体に問い合わせください。

コロナ感染者のペットを無償でお預かりする「#StayAnicom」プロジェクトを始動!

ペット保険会社のアニコムが提供しているサービスです。保険に加入していない人も受けられます。詳しいことは、上記のサイトで確認ください。

環境省から各自治体に以下のように要請されています。

新型コロナウイルス感染者の飼養するペットの預かり等の相談への対応について

1.感染者が飼養するペットの預かり等について円滑に相談することができるよう、動物愛護管理担当部局や地方獣医師会等、相談対応窓口の明確化について検討すること。

2.民間での預かり支援や預かり施設への輸送の支援等を行うペットホテルや動物病院等について、地域実態の把握に努めること。

3.各自治体の実情に応じて、動物愛護管理センター等の自治体の所有する施設での受入可能性について検討すること。

4.預かりに係る相談に対しては、以下のサイトの情報等も参考にしながら、適切な情報提供に努めること。

関連サイト

環境省 ペットを飼っているみなさまへ

厚生労働省 動物を飼育する方向けのQ&A

飼い主は、もしも新型コロナウイルスに感染したら、慌てることのないように、以下のものは用意しておきましょう。

飼い主が準備しておくもの

・フード

最短14日間の隔離なので、ペットフードは14日分以上、準備しましょう。

・オヤツ

撮影筆者の知人 奮発して好きなオヤツを入れる
撮影筆者の知人 奮発して好きなオヤツを入れる

飼い主から離れてさみしい思いをするので、普段より美味しいものや高価なものを用意してあげましょう。

・おもちゃ

撮影筆者の知人 いつも遊んでいるお気に入りのおもちゃを持っていく。
撮影筆者の知人 いつも遊んでいるお気に入りのおもちゃを持っていく。

いつも遊んでいるおもちゃを持っていくと、自宅にいるような感覚になっていいですね。

・飼い主のニオイのついたもの

家庭のタオルなどを一緒に入れておくと、飼い主のニオイがついていて犬や猫は安心しますね。

・薬

心臓病など毎日、内服している子は、薬の名前や量をかかりつけ医に尋ねておいてください。14日分以上は予備においてくださいね。

・狂犬病ワクチン(犬)の証明書

・混合ワクチンの証明書

・ペットノート

撮影筆者 ノートに書き込んでおく。内服薬も入れる。
撮影筆者 ノートに書き込んでおく。内服薬も入れる。

いままでの病歴(心臓病、慢性腎不全、糖尿病がある。過去に下部尿路疾患になった、アレルギーがあるなど)、ペットの性格(嫌がること、怖がること、好きなこと、攻撃性、脱走癖など)、避妊・去勢手術の有無、マイクロチップの有無。

・預けるとき

撮影筆者の知人 いい子にするように言い聞かせている
撮影筆者の知人 いい子にするように言い聞かせている

ペットにすぐに迎えに来るので、いい子にしておくように、元気で待っているように言い聞かせておきましょう。

・飼い主が退院したら

撮影筆者の知人 飼い主に遊びを要求している犬
撮影筆者の知人 飼い主に遊びを要求している犬

飼い主が、退院したら犬や猫をほめてあげましょうね。14日以上、預けられていたので、ホテルや預け先で大切にされていても、我慢をしているところもあります。飼い主に会えて、素直に嬉しがる子や少しツンデレの子もいます。それでも犬や猫は、喜んでいるし、ほっとしています。飼い主と元通りの生活になって、一気に疲れが出る子もいます。そんな場合もあるので、ウンチは正常か、嘔吐がないか、睡眠はちゃんと取っているか、食欲があるか、なども注意深く観察してあげてくださいね。ゆっくり生活のペースを戻しましょうね。

飼い主も声をあげよう

実際問題、まだ、獣医師会や行政が、新型コロナウイルスの感染者のペットを積極的に受け入れてくれません。このような感染症に対して、行政はペットへの対応の整備ができていないので、飼い主の声をあげて、行政に対して問題提起することは、重要です。

新型コロナウイルスが収束しても、また新たなウイルスが発生する可能性はあります。いまから感染症に対する対策をしておくと、もし、自分や家族がかかっても心に余裕ができると思います。備えあれば憂いなしですね。

感染症が発生すると、飼い主はペットが心配で自宅待機することも多くあるでしょう。飼い主が入院していないので適切な医療が受けられず、命が危険になるようなこともあります。行政にペットを安心して預けることができるシステム作りを要望することは大切ですね。

※記事をお読みになって、コロナ後のペットとの生活についてさらに知りたいことや疑問に思っていること、自分なりの乗り越え方などのアイデアがありましたら、ぜひ下のFacebookコメント欄にお寄せください(個別の回答はお約束できませんのでご了承ください)。

また、Yahoo!ニュースでは「私たちはコロナとどう暮らす」をテーマに、皆さんの声をヒントに記事を作成した特集ページを公開しています。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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