「小規模飲食店」は要注意~4月1日から表示義務違反は「罰金50万円」も

厚生労働省の資料より

 今年2020年4月1日から全面施行となる改正健康増進法。悩ましいのは飲食店の対応だ。暫定的な措置として、小規模店は施行以後も店内でタバコを吸えるが、いろいろな「縛り」がある。違反すると最大で50万円の罰金になるので要注意だ。

喫煙可の小規模店に様々な義務が

 今年2020年4月1日から全面施行となる改正健康増進法の主旨は、受動喫煙を防ぐためのものだ。全面施行後から、多数の者が集まる施設の屋内は原則として全て禁煙になり、飲食店、事業所、パチンコ店などでタバコを吸う場合は喫煙室を設置し、その中で吸わなければならない。

 だが、飲食店の場合、4月1日の時点で営業していて客席面積が100平方メートル以下、かつ資本金5000万円以下の小規模店は例外となり、店内での喫煙は可能だ。厚生労働省の推計では、対象となる飲食店は全体の約55%としている。

 一方、各自治体では、改正健康増進法よりも規制を強化した条例を独自に策定しているところも多くなってきた。

 飲食店の例外措置をみると、例えば東京都や千葉市では、改正健康増進法の適用外の小規模店でも「従業員を雇用している」場合、喫煙室などを設置しなければ店内は禁煙となる。この従業員というのは同居の親族などを除く労働者のことで、アルバイトも含まれ、東京都の場合、都内飲食店の約16%しか例外措置の対象とならない。

新規開店は例外なく全て禁煙

 また、全国の喫煙を可能とした小規模な飲食店は、入り口などの見えやすい場所に喫煙可能店、20歳未満は立ち入り禁止という表示を掲示する義務がある。

 店の中を喫煙可能にした場合、20歳未満の客を入店させることはできないし、20歳未満の従業員を雇用することもできない。喫煙室を設置した場合でも、喫煙室の中へ20歳未満の客を入店させることはできないし、20歳未満の従業員を喫煙室の清掃などで立ち入らせることはできない。

 さらに、こうした喫煙可能店は、自治体の健康推進課や地域の保健所へ届出書を提出しなければならない。東京都内の飲食店の場合、国、都、チェックリストの3つの書類が必要になる。また、喫煙可能店から禁煙店に変更する場合も変更や喫煙室廃止の届出書を提出しなければならない。

 こうした届出書とともに、店舗の図面、資本金や出資金の内訳などが記された登記簿や決算書などを保管しなければならない。また、立ち入り検査などが行われた場合、すみやかに見せるようにしておかなければならない。

 店内に喫煙室を設けた場合も、店の入り口の見えやすい場所に喫煙可能室(加熱式たばこ専用喫煙室)があるという表示を掲示しなければならない。

 一方、禁煙店の場合、何も掲示する必要はない。飲食店は原則として禁煙となるからだ。だが、東京都や神奈川県では禁煙店でも禁煙表示を掲示する義務がある。

 4月1日以降、新規に開店する飲食店は規模や従業員の有無に関係なく全て禁煙となる。飲食店の開店閉店の回転は早いので、時間が経つにつれて次第に禁煙店が増えていくだろう。

違反者には厳しい罰則が

 こうした義務に違反するとどうなるのだろう。

 改正健康増進法では、喫煙者より飲食店など施設管理者のほうにより厳しくなっている。喫煙禁止場所における喫煙の過料は30万円以下だが、紛らわしい標識の掲示や喫煙室の設置基準違反などの過料は50万円以下だ。

 罰則の対応についても喫煙者や喫煙室の設置へは指導・助言、勧告、命令、公表と多段階の措置が講じられ、それでも改善がみられない場合に罰則が適用される。だが、店頭の見えやすい場所に標識を掲示しなかったり、紛らわしい標識の掲示、汚損などは指導の後にすぐ罰則の適用となる。

 つまり、4月1日以降、全国の小規模飲食店は「自分の店は小さいし従業員も雇っていないから喫煙のままでいい」ということにはならない。

 喫煙店であり20歳未満の者は立ち入りできないという標識を店の入り口の見えやすい場所に掲示し、自治体などへ届出書を提出し、20歳未満の者の立ち入りに気を配らなければならない。違反すると最大で50万円の過料となる可能性がある。

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改正健康増進法の義務違反者、違反した施設管理者への対応。厚生労働省の資料より

禁煙にしてしまったほうがいい

 先日、都内のある居酒屋へ行って4月1日からどうするのか店長に聞いた。その居酒屋は客席面積100平方メートル以上あり、店長も含めて店員は全て従業員だ。

 すると妙なことをいい始めた。「こないだJTの人が来て、手続きをすれば喫煙しても大丈夫になる」と説明されたそうだ。そして、この手続きは喫煙室の設置のことなのか、何か別の方法なのかよくわからないという。この店長はさらに「違反しても罰金を払うのは経営者なので私には関係ない」といって苦笑した。

 タバコ会社は改正健康増進法の網の目をくぐろうと必死なようだ。喫煙室の設置のコンサルタントをしたり、設置業者を紹介したり、設置補助金の世話をしたりしている。

 いずれにせよ、4月1日からは喫煙・禁煙の環境は大きく変わる。喫煙可の飲食店や喫煙室を設置した飲食店の場合、掲示の義務や届出書の提出など煩雑なことも多くなる。さらに、違反した場合、施設管理者には最高で50万円の過料となるかもしれないのだ。

 確かに禁煙にした場合、喫煙者がこれまで通り来店してくれるか不安に感じている経営者も多い。だが、行きつけの店が禁煙になっても仕方ないとあきらめる喫煙者も多い。むしろ大多数が時代の趨勢を感じてタバコを我慢するだろう。

 禁煙店にすれば4月1日以降、何もせず同じように営業できる。筆者が行きつけの定食屋は、ずっと加熱式タバコを吸えたが、地域の飲食店組合からの呼びかけで全面禁煙にした。

 このように横並びで禁煙にすれば、他店との違いを気にすることもなくなる。店主や従業員、客を受動喫煙から守ることができるのだ。今回の改正健康増進法の規制に該当しない小規模店も全面禁煙するのが最もシンプルで効果的なのではないだろうか。