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トランプ氏顧問弁護士の報酬は1日200万円? 

猪瀬聖ジャーナリスト/翻訳家
不正選挙を主張し続けるジュリアーニ弁護士(写真:ロイター/アフロ)

米大統領選挙の結果を不服として法廷闘争を繰り広げているトランプ大統領の顧問弁護士が、1日当たり2万ドル(200万円強)の弁護士報酬をトランプ陣営に要求したと、ニューヨーク・タイムズ紙が伝えている。トランプ氏は訴訟費用を賄うために支持者から多額の寄付を募っているが、その多くは顧問弁護士の懐に消えることになるかもしれない。

全米でもトップクラスの報酬額

ニューヨーク・タイムズは事情に詳しい複数の関係者の話として、大統領選挙に関する訴訟をトランプ氏から全面的に任されているルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が、一連の訴訟の弁護士報酬として、1日あたり2万ドルをトランプ陣営に要求したと報じた。

高額過ぎるとして大統領の側近が反対したため、結局、いくら支払われることになるかは不明だが、かりに2万ドルかそれに近い額が支払われることになれば、ニューヨークや首都ワシントンで活動するトップクラスの弁護士が受け取る1日あたりの報酬額1万5000ドルを上回るとしている。

ジュリアーニ氏はニューヨーク・タイムズの取材に対し、「2万ドルを要求したことはない」と事実関係を否定した。しかし、記事によると、ジュリアーニ氏が訴訟の全権を任されたのは、トランプ陣営がアリゾナ州マリコパ郡での訴訟を取り下げた13日からだったにもかかわらず、ジュリアーニ氏は投票日翌日の4日にまでさかのぼって報酬の支払いを求めているなど、全般に“過大請求”の印象が否めないだけに、「2万ドル要求」もあながち嘘ではないかもしれない。

負け戦を続けるのはお金のため?

トランプ大統領の支持者の中からは、ジュリアーニ氏が自らの経済的利益のため、大統領をうまく言いくるめて、ほぼ勝つ見込みのない訴訟を無理やり続けようとしていると懸念する声が上がっているという。

トランプ大統領やその支持者らは、選挙で大規模な不正があったとして、選挙結果の無効などを求め、ペンシルベニアやミシガン、ウィスコンシンなどの激戦州でいくつもの訴訟を起こしているが、これまでのところ、訴えのほとんどは棄却、あるいは取り下げられている。

しかし、トランプ大統領は、今週新たに、ネバダ州に対しバイデン氏の勝利宣言をしないよう求める訴訟を起こすなど、なお法廷闘争を続ける構えだ。

トランプ氏が全幅の信頼

ジュリアーニ氏に対しては、米情報当局が以前から、米政治のかく乱を狙うロシアの諜報機関に利用されているのではないかという強い懸念を抱いている。懸念は、国家安全保障問題担当のオブライエン大統領補佐官からトランプ大統領に伝えられたが、ワシントン・ポスト紙によると、トランプ氏はオブライエン氏からの忠告に、肩をすくめながら「それが、ルディ(ジュリアーニ氏の愛称)だよ」と答え、あまり意に介さない様子だったという。

現在繰り広げられている一連の訴訟では、ジュリアーニ氏に全権委任して以降もトランプ大統領に不利な戦況が続いており、気の短いトランプ氏なら、他の多くの側近にしたようにジュリアーニ氏を解任してもおかしくない状況だが、その様子は今のところ見られない。ジュリアーニ氏に対するトランプ氏の信頼は相当厚いようだ。

ジャーナリスト/翻訳家

米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、環境問題、マイノリティー、米国の社会問題、働き方を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など。

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