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明生が結びで横綱・照ノ富士を破り初金星 引退発表の栃ノ心も解説席からエール

飯塚さきスポーツライター
9日目に照ノ富士(写真右)を破った明生(写真:日刊スポーツ/アフロ)

今日で10日目を迎えた大相撲5月場所。9日目の解説席には、6日目に引退を発表した元大関・栃ノ心がゲストに登場。自身の土俵人生を振り返りつつ、土俵で奮闘し続ける力士たちにエールを送った。

明生が初金星で横綱を引きずり下ろす

結びは全勝の横綱・照ノ富士が1敗で追う明生を迎えた。明生は過去2回照ノ富士を破ったことがあるが、いずれも役力士としての対戦。今回は、平幕として横綱であり同期生でもある照ノ富士に向かっていった。

立ち合いではじいていったのは明生。横に動いて右の前みつをつかむと、そのまま回り込むようにして出し投げを打ち続ける。なんとかついていく照ノ富士。しかし、左の一枚まわしのまま中に入った明生が寄っていって、そのまま力強く寄り切り!横綱から奪った3度目の勝利は自身初の金星となり、単独トップだった横綱を同じ1敗に引きずり下ろす結果となった。解説の栃ノ心も「自分の形になって中に入っていけた」と明生の相撲を褒めた。

勝利後のインタビューで「無我夢中だった」と振り返る明生。勝ち越しを決めた一番について「同期生であり横綱の照ノ富士関に勝てたことはよかったです」と力強く話す。大きな白星をもぎ取り、初優勝に自ら一歩近づいた日となった。

2年ぶり幕内勝ち越しの朝乃山、復活優勝へ前を向く

今場所注目の返り入幕の朝乃山は、初日から連勝を重ねてきたが、中日で長身の北青鵬に敗れて1敗。9日目は竜電に頭をつけられ、半身で苦しい体勢になるも、左のまわしを巻き返して切り、直後に上手を取って引きつけて前に出ていって相手をそのまま寄り倒した。これで、1敗を守って照ノ富士・明生と共に優勝争いのトップに肩を並べる。同じく右四つで活躍した解説席の栃ノ心も「朝乃山関は上手を取れば強いですからね」と太鼓判を押していた。

朝乃山にとっては、およそ2年ぶりとなる幕内での勝ち越し。インタビューでは「まだこれからもあるので、切り替えて頑張っていきたい」と前を向いた。今後星を伸ばしていけば間違いなく上位陣との対戦が実現するだろう。復活優勝も夢ではない。その手で上位陣を倒し、再びの賜杯を手に入れられるか。

照ノ富士・明生・朝乃山の3人が1敗で並ぶ展開の今場所。2敗には大関昇進がかかる霧馬山をはじめ、連日素晴らしい相撲を見せている若元春、平戸海、そして北青鵬の4人が追う。前半戦は横綱が圧巻の強さを見せ続けていたが、このなかの誰が星を伸ばして抜け出してもおかしくはない。今日を終えるといよいよ終盤戦。さらなる熱戦に期待がかかる。

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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