Yahoo!ニュース

大関・貴景勝と平幕・琴勝峰が千秋楽で直接対決 大相撲初場所を制するのはどちらだ

飯塚さきスポーツライター
琴勝峰は初優勝をかけて貴景勝に挑む(写真:日刊スポーツ/アフロ)

いよいよ千秋楽を迎えた大相撲初場所。11勝3敗で並んだのは、大関・貴景勝と平幕の琴勝峰。結末は結びの直接対決に委ねられることになった。

怪我の功名で殻を破った琴勝峰

14日目。3敗は貴景勝、琴勝峰、阿武咲の3人だった。琴勝峰は、名門・埼玉栄高校の先輩でもある大栄翔の胸を借りた。

13日目の「親方トークイベント」に登壇した北陣親方(元関脇・琴勇輝)に話を聞くと、琴勝峰の好調の要因が見えてきた。以前は、高身長にもかかわらず下を向いて当たっていたため、相手のいなしやはたきについていけないことが多かった。しかし、首を痛めたことで頭で当たれなくなり、それが功を奏して上半身を起こして相撲を取れるようになったのだという。まさに「怪我の功名」である。

トークショーに登壇した北陣親方。素晴らしい話術で引き込まれた(写真:筆者撮影)
トークショーに登壇した北陣親方。素晴らしい話術で引き込まれた(写真:筆者撮影)

昨日の大栄翔戦でも、相手の立ち合いを胸で受けた。その後も相手を見ながらついていき、右の上手を取ってからは早かった。大栄翔をそのまま引きつけて寄り切り。冷静に取って3敗を守った。

北陣親方いわく、ケガをして、一時精神的にも落ちていた時期があったという琴勝峰。しかし、そこで腐ることなく自らの殻を破ることに成功した。そうして今日、ついに大きな舞台に立つ。相手はまたしても栄の先輩であり大関であるが、だからこそ思い切ってぶつかっていってほしい。

貴景勝が3度目賜杯か、4場所連続の平幕優勝か

霧馬山と対戦した阿武咲は、残念ながら立ち合い直後のいなしについていけず、ばったりと前に倒れて4敗目。悔しい黒星となった。

結びの一番は、貴景勝と左足首のケガを押して再出場する豊昇龍との対戦。あとひとつ勝って勝ち越したい豊昇龍がどう攻めてくるか。そして貴景勝がどう応戦するか。

立ち合い、豊昇龍は低く鋭く当たり、貴景勝もそれを頭で受けた。が、もう一度低く突っ込んでくる豊昇龍を貴景勝が左に動いていなし、あっけなく豊昇龍が前に倒れてしまった。これで貴景勝も3敗を死守。千秋楽には貴景勝と琴勝峰の直接対決が組まれた。大関・貴景勝が意地を見せ、2020年11月場所(東京開催)以来、3度目の賜杯を手にするか、一皮むけた琴勝峰が初優勝で、4場所連続の平幕優勝となるのか。どちらが勝ってもおかしくはない。

<参考>優勝争いの行方

▽11勝3敗 貴景勝、琴勝峰

貴景勝と琴勝峰の勝ったほうが優勝

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

飯塚さきの最近の記事