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玉鷲と高安、ベテラン平幕力士が優勝をかけ千秋楽で直接対決 最後に笑うのはどちらだ

飯塚さきスポーツライター
37歳玉鷲の最年長優勝か、高安悲願の初優勝か(写真:日刊スポーツ/アフロ)

横綱不在となり、大関2人が不振の大相撲秋場所。またも大混戦となった今場所の優勝争いは、平幕の力士に絞られた。

玉鷲が素晴らしい勢いで優勝に王手!

14日目。この日素晴らしかったのは、なんといっても2敗でトップを走る玉鷲の相撲だ。トリッキーな動きを得意とする翔猿に対し、立ち合い頭から当たって突き押し、そのまま一気に前に出て押し出した。翔猿は、なすすべなし。見事な一番で最年長優勝に王手をかけた。

3敗で玉鷲を追いかけていた北勝富士は、関脇・若隆景と対戦。勝てば優勝に望みをつなげる一番であったが、立ち合いから若隆景が低い体勢で鋭く当たると、左を強烈におっつけながらうまく中に入り込み、前に出て寄り切った。大事な一番で自分の相撲を取り切れなかった北勝富士。さぞかし悔いが残る一番だったであろう。残念ながら優勝争いからは脱落してしまった。

高安が意地の相撲で玉鷲を追う

残るは3敗の高安。相手は勝ち越しを狙う豊昇龍だ。高安が負ければ、この時点で玉鷲の優勝が決まる注目の一番。かたずをのんで見守る。

立ち合い。高安が思い切りかちあげに行った。勢いの乗った素晴らしい立ち合い。そして、前への圧力をかけた後で思い切った引き落としに出た。思わず豊昇龍が前に倒れる。高安にとっては狙い通りだったのではないか。これで高安は3敗をキープし、優勝決定は千秋楽の直接対決に持ち越されることとなった。

玉鷲対高安のこれまでの対戦成績は、15対16と拮抗している。場所の終盤でもまったく失速することのない玉鷲が有利かもしれないが、高安はもちろん二番取るつもりで土俵に上がるだろう。

今日、秋場所千秋楽で我々が目撃するのは、37歳玉鷲の最年長優勝か、それとも高安の悲願の初優勝か。欲を言えば二番見たい。ちなみに、どちらが勝っても、筆者にも相撲ファンにも、嬉しい瞬間だ。歓喜する準備は、すでにできている。

<参考>優勝争いの行方

▽12勝2敗 玉鷲

▽11勝3敗 高安

・玉鷲が高安に〇 → 玉鷲の優勝決定

・高安が玉鷲に〇 → 玉鷲、高安による優勝決定戦

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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