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大谷選手が借金肩代わり→大谷選手は一切知らない 話一転の背後にあったヤバい“水原氏だけ頼り” 米報道

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 世界に衝撃を与えている、大谷翔平選手の元専属通訳・水原一平氏の違法賭博と“大規模窃盗”スキャンダル。

 すでに多くのメディアが、事の経過については報じており、筆者も、文春オンラインに「オータニを逮捕しろ」「イッペイはスケープゴートだ」大谷翔平の元通訳が引き起こしたニッポンでは報じられない“借金トラブルの闇”と題する記事を寄稿したので、お読みいただけたらと思う。 

 それにしても、わからないことが多過ぎる。

 水原氏のスキャンダルについて調査報道をしている米スポーツ専門チャンネルESPNの21日付けの記事によると、大谷選手が自身の銀行口座から水原氏が違法賭博をしていた胴元に送金されたことを知ったのは、韓国での開幕戦後だと報じられている。

 開幕戦後、ドジャース側はクラブハウスで行ったミーティングで選手たちに「今日、ネガティブなニュースが報じられる」と話し、水原氏はそこで自身がギャンブル依存症だと言って謝罪、その時に、大谷選手は初めて何が起きたのかを理解し、質問を始めたと言うのだ。

話が一転したのはなぜか?

 それなのに、なぜ、大谷選手のスポークスマンは、当初、「大谷選手が水原氏が違法賭博で作った借金を肩代わりした」などと話したのか?

 これについては、同じESPNの記事の中で、話が一転した背景が示唆されている。記事中に、「木曜日、オオタニに近い人物が話が変わったことについて説明した。大谷選手のハンドラーたちは何が起きたのか解明しようとしたが、彼らは、当初、オオタニの通訳を続けていた水原氏だけに頼っていた」というくだりがある。

 つまり、ドジャース側は、違法賭博の胴元がFBIに捜査される中、大谷選手の名前が浮上し、大谷選手の銀行口座から胴元への送金があった件について解明しようとしたのだろうが、その時に、大谷選手本人には話を聞かず、通訳の水原氏の説明だけを聞いて、それを信じたということだろう。水原氏のした説明が事実かどうか、大谷選手本人に確認しなかったのだとしたら、それはドジャース側のコミュニケーション上の大きなミスではないか?

 また、ドジャース側が大谷選手本人に事実確認することなく、水原氏の説明だけを鵜呑みにしてしまったとしても、なぜ、FBIが捜査しているような違法賭博絡みのESPNのインタビューを水原氏に受けさせるようなことをしたのか? 水原氏が大谷選手が借金を肩代わりしたと言及するとは思わなかったのだろうか? それとも、肩代わりしたと言及したとしても構わないと考えたのか? だとしたら、水原氏がそう言及することで球団が大きな影響を受けるという危機意識はなかったのだろうか?

 筆者は、このあたりのドジャース側の対応に疑問を感じずにはいられない。

水原氏の“爆弾証言”

 そして、ドジャース広報の紹介でESPNのインタビューを受けた水原氏は、大谷選手が借金の支払いに同意し、水原氏が見守るなか、自身のコンピューターにログインし、「ローン」と言う名目で、50万ドルずつ2回、電子送金したという“爆弾証言”をした。実際、ESPNは銀行記録で、昨年、9月と10月に、50万ドルずつ、大谷選手から水原氏が違法賭博をしていた胴元に送金されていたことを確認している。

 しかし、ESPNが記事投稿準備中に、広報側は一転して、大谷選手の借金肩代わりについて否定、水原氏も「本当のことを言わなかった。大谷選手は私の賭博や借金、返済については何も知らない」と前言を全面的に撤回したのである。

 そして、今、大谷選手は開幕戦後に初めて、我が身に起きたことを知ったと報じられている。これが事実なら、ESPNの記事が示唆しているように、ドジャース側は、大谷選手本人に事実確認することなく、水原氏の説明だけに頼っていたために、大谷選手本人はニュースが報じられる日まで何も知らなかったということなのだろう。だとしたら、やはり、ドジャース側のハンドリングがまずかったという問題ではないのか。

渦巻く疑念や憶測

 水原氏やドジャース側が話を一転させたことから、SNSでは今、様々な疑念や憶測が渦巻いている。“Ippei Scandal”というコメントはもちろんのこと、“Ohtani/Ippei Scandal”というような、大谷氏にも疑惑の目を向けるコメントも多々上がっている。

 水原氏を“the fall guy (代わりに罪を被っている人のこと)”やスケープゴートと見るコメントも数多い。“cover-up(隠蔽している)”や“something fishy(なんか怪しい)”といった声もある。

 結局、疑念や憶測が広がっているのは、水原氏はもちろん、ドジャース側や大谷選手が沈黙を守り、何も説明していないことに起因していると思う。このまま沈黙を守り続ければ、大谷選手のパブリック・イメージが落ちて行くことになるのではないか。

「日本の宝」を超え、今や「世界の宝」になった大谷選手である。これからも輝き続けてほしいと願っている世界のファンは、大谷選手からの誠実な言葉を待っていることだろう。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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