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「現金トラックの車列をつくることになる」FA大谷選手の契約金額を、米MLBインサイダーが予想

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 WBCで大活躍し、MVPを受賞した大谷翔平選手。

 アメリカでは「一生に一度、現れるか現れないほどの才能」とまで高評価されている今、今シーズン終了後フリー・エージェントとなる大谷選手が、次の契約でいくらオファーされるのかが注目されている。

 これまで、メジャーリーグのオールスターゲームには2度参加、リーグMVPを獲得し、今回のWBCではMVPを受賞した大谷選手は、アメリカのスポーツ専門局ESPNが発表したメジャーリーガーのトップ100で、同じエンゼルスのチームメイトでWBCの決勝戦で最後に対決して3振を奪ったマイク・トラウト選手を凌いで、堂々1位に選ばれた。そんな大谷選手については、「オータニはフロント・ドアまで現金トラックの車列をつくることになる」と表現されるほど、MLB史上最高額の契約金がオファーされることが予想されている。

問題は5で始まるか6で始まるか

 そんな中、MLBのインサイダーとも言われているESPNのジャーナリスト、バスター・オルニー氏が2024年オフシーズンにフリー・エージェントとなる大谷選手の契約金額を予想している。

「2024年は大谷選手の年になる。それに疑いの余地はない。考えてみて。WBCで彼はもっともハードな球を打った。打球速度約190キロだ。もっともハードな球も投げた。投球速度約163キロだ。もちろん、エンゼルスは彼をシーズンを通してキープするだろう。問題は、彼が署名するオファーが5という数字で始まるか6という数字で始まるかだ。500ミリオンドルプラス(約650億円超、1$=130円換算)なのか、それとも600ミリオンドルプラス(約780億円超)なのか。彼がやれることがやれ、彼と同じ市場性を生み出すことができるプレイヤーが野球界にいないから、僕は600ミリオンドルプラス(約780億円超)になると思う。(彼を獲得しようとするのは)ニューヨーク・メッツ、ロサンゼルス・ドジャース、たぶんニューヨーク・ヤンキース、たぶんシアトル・マリナーズかもしれない。エンゼルスが彼をキープしようとするかもしれない。世界でもっとも優れたプレイヤーには、莫大な入札額が提示されるだろう」

 ちなみに、大谷選手がサンフランシスコ・ジャイアンツに行くという噂もあったが、オルニー氏はジャイアンツの名前をあげなかった。

 500ミリオンドル超(約650億円超)になっても、600ミリオンドル超(約780億円超)になっても、大谷選手は、マイク・トラウト選手が2019年に結んだ最高額の契約金である12年で426.5ミリオンドル(約560億円)を超えることになる。

 ちなみに、昨年10月、エンゼルスは、大谷選手と3000万ドルの1年契約を結んだが、二刀流であることを考慮すると安すぎるという声があがっていた。

日本はお金だけを最優先にはしない国

 もっとも、大谷選手自身は、メディアが取り沙汰している契約金、つまり、お金をどれほど考慮しているのだろうか?

 ロサンゼルス・タイムズのコラムニスト、ディラン・ヘルナンデス氏は、日本はアメリカとは違い、お金を最優先にしない国だとの見方を、以下のように述べていた。

「日本がお金だけを最優先にはしない国であることは、例えば、エンゼルスの大谷翔平選手を見ればよくわかります。大谷選手が渡米したのは23歳の時でした。メジャーリーグでは25歳以下の外国人選手は年俸制限がかかるため、彼のエンゼルスとの契約金は約2億5000万円でした。当時、2年入団を待って25歳になれば200億円を超える契約金が待っていると予想されていましたが、彼は夢を追うために200億円を蹴ったわけです。お金優先のアメリカ人の場合、こんな判断はまず考えられません。大谷選手にとってはお金より夢が大切だったのです」

 大谷選手は夢を最優先してエンゼルスに入ったというヘルナンデス氏だが、昨日のコラムの中では、大谷選手はエンゼルスと次の契約を結ばず、前に進まなければならないと訴えている。大谷選手の中に野球界を引っ張っていくリーダー性や大舞台の華になれる人を惹きつける力を見出し、大谷選手に次なる夢、次なる高みに向かって挑戦してほしいのだろう。

 大谷選手もMVP受賞後に行われたフォックス・スポーツのインタビューでこう話している。

「これからもっともっと高いところを目指して、もっともっと頑張って行きたいなと思います」

 大谷選手がどんな高みまで行くのか、世界は注目している。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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