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バイデン氏の大統領就任式 FBIが警告「Qアノンが州兵の偽装をして潜入しようと話し合っていた」

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
バイデン氏の大統領就任式を控えて、ホワイトハウス前ではリハーサルが行われた。(写真:ロイター/アフロ)

 ジョー・バイデン氏の大統領就任式直前の18日、不穏な警告がFBIから警備機関に対して出されていたことがわかった。

 米紙ワシントン・ポストが得たFBIの機密情報報告によると「Qアノンの支持者たちが保安区域に潜入するのが容易になると思ってか、州兵の偽装をしようと話し合っていた」からである。

 また、彼らは画像で保安区域の境界の調査も行っていたという。

 そんな動きと関係があるかは不明だが、警備に当たる州兵たちはどこからともなく現れたユニホーム姿の人物には警戒するよう警告されているということだ。

不穏な動きの報告も

 FBIの報告によると、不穏な動きは他にも見られている。

 例えば、ワシントンDCの警備が脆弱な場所の地図をダウンロードしたりシェアしたりしていた者や、就任式中の警備をどう破るか話し合っていた者もいたという。

 就任式の準備をする様子を偵察している人々も増加したという。州兵は準備風景を撮影する個人を目撃したと報告しており、撮影された動画や画像の中にはオンラインにアップロードされたものもあるようだ。

 また、パブリック・アクセスが禁じられている保安区域の防犯カメラの動画にアクセスした者がいたという報告もあがっている。

 FBIが警戒しているのはQアノンのような過激派グループだけではない。個人的に選挙結果に抗議している人々も警戒している。彼らは“ローン・ウルフ”と呼ばれる個人や少数レベルでのテロ行為に出る可能性があるからだ。例えば、FBIは、17日にオハイオ州の州議事堂で行われた武装デモに参加した5人の人々がワシントンDCに行く計画をしていることも掴んだという。

 もっとも、FBIは具体的な就任式襲撃計画については特定していない。また、過激派グループが就任式をターゲットにした暴動を公然と非難していることにも言及している。

トランプ氏のさよならスピーチはフェイク?

 一方、ワシントンDCを去るトランプ氏は“さよならメッセージ”を伝える動画を発表した。トランプ氏は、経済を復活させたこと、国境に壁を造ったこと、新型コロナウイルスのワクチンを短期間で開発したことなどを自負するという得意の自画自賛を最後まで忘れることはなかった。また、ツイッターから永久追放されたことを批判したいのだろう、検閲されることのない自由なスピーチの重要性にも言及した。依然として、バイデン氏の名前や敗北という言葉に言及することもなかった

 Qアノン支持者やトランプ信奉者は、このトランプ氏の大統領としての最後のメッセージを信じたくないのかもしれない。彼らからは、この動画はフェイク動画だという声もあがっているようだ。

 白人至上主義者たちのオンライン活動を調査しているNGO、SITEインテリジェンス・グループのリタ・カッツ氏がこう話している。

「ブレインウォッシュされた人々がトランプのさよならスピーチはフェイク動画だ、彼はまだ敗北していない、“市民戦争”を受け入れ続けていると訴えている。このスピーチは、抗議運動を続けることを承認するものだと受けとめている人たちもいる」

 確かに、トランプ氏はさよならスピーチの最後にこう述べている。

「我々が始めたムーブメントは始まったばかりだということを知ってほしい」

 この言葉をトランプ信奉者たちはどう受け止めるのだろうか?

 この言葉が、過激なトランプ信奉者の危険な誤解を招くことなく、バイデン氏の大統領就任式が平和裡に執り行われることを祈りたい。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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