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「我々は黙らない!」トランプ氏、“最後の投稿”でツイッター永久停止に反撃 Qアノン狩りも 米大統領選

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ氏のツイッターアカウント@realdonaldtrumpが、米国時間1月8日、永久停止された。

 議事堂暴動事件で支持者を賛美するコメントをしたとしてアカウントが一時停止されたトランプ氏だったが、結局、「さらなる暴力を煽る恐れがある」という理由で、永久停止にされてしまった。

 ツイッターは特に、ツイッターで流されている武装デモ計画や1月17日に第2回目の連邦議事堂攻撃が提案されていることを懸念したようだ。

 ツイッターに先立ち、フェイスブックも1月7日、トランプ氏のアカウントを無期限に凍結する措置を行っていた。

我々は黙らない

 主要なSNSから追放されてしまったトランプ氏。

 しかし、負けず嫌いのトランプ氏である、ツイッターから永久追放されてもそう簡単にひるむことはなかったようだ。すぐに削除されたものの、大統領の公式アカウントである@POTUSでトランプ氏は“最後の投稿”をしていた。

 以下がその投稿で、ツイッターの従業員と急進左派を批判し、また、自身のプラットフォーム構築の可能性にも言及している。

 「長い間言ってきたが、ツイッターは、言論の自由をどんどん禁止してきた。そして、今夜、ツイッターの従業員たちは、プラットフォームから私のアカウントを排除する際、民主党や急進左派らと連携した。私、そしてあなた方、私に投票した7,500万人の偉大なる愛国者たちを黙らせるためだ。

 ツイッターは私企業だが、第230条という政府の贈り物なくしては長くは存在しないだろう。

 こうなることは予測していた。

 我々は他の様々なサイトと交渉しており、まもなく大きな発表を行うつもりだが、近い将来、我々自身のプラットフォームを構築する可能性もある。我々は黙らないぞ! 

 ツイッターは言論の自由が問題なのではない。彼らが、世界の最も悪質な人たちも自由に話すことが許されている急進左派のプラットフォームのプロモーターであることが結局問題なのだ。乞うご期待!」

 ちなみに、この投稿にある第230条とは「連邦通信品位法第230条」のことで、ツイッターやフェイスブックのようなソーシャルメディア企業が掲載したコンテンツに対して責任を問わず、インターネット上の言論の自由を保護する条項である。また、この条項は、ソーシャルメディア企業にヘイトスピーチなどのコンテンツを規制する権利も与えている。トランプ氏は、昨年5月、第230条で保護されているソーシャルメディア企業を規制する大統領令に署名していた。

グーグルは極右系PARLERを配信停止に

 ツイッターでは、保守系SNSであるPARLER(パーラー)にアクセスできないという投稿が多数あがっている。このSNSには、トランプ氏がバイデン氏に敗北したことがわかった11月以降、多数のトランプ支持者が流れ込み、不正選挙が行われたと言って抗議の声をあげていた。ツイッターやフェイスブックなどの主要SNSがヘイトスピーチや誤報の取り締まりを強化したことから、陰謀論を唱える過激な極右のトランプ支持者は、検閲のないパーラーに“言論の自由”を見出したのだ。

 ちなみに、選挙の不正を調査すべきだと訴え、バイデン氏の当選認定日には異議を申し立てると鼻息が荒かったテキサス州上院議員のテッド・クルーズ氏やトランプ氏のお友達でありアドバイザー的役割も果たしてきたフォックスニュースの司会者ショーン・ハニティー氏はパーラーで多数のフォロワーを抱えている。

 パーラーの利用者がアクセスできなくなったのは、グーグルが、グーグルプレイストアからパーラーの配信を停止したからだ。アップルもパーラーに24時間以内に同社の規定に違反する問題投稿を排除しない場合、アップルストアからアプリを停止すると警告している。両社とも、パーラーが暴力を扇動する投稿を排除していないことを問題視しているのである。

Qアノン狩りも

 また、NBCニュースはツイッターのQアノン狩りについて報じている。ツイッターは、Qアノンの陰謀論をプロモートしたとされている元国家安全保障問題担当大統領補佐官マイケル・フリン氏や元トランプ陣営弁護士のシドニー・パウエル氏など著名なトランプ支持者たちのアカウントも永久停止した。フリン氏やパウエル氏は最近、大統領選の選挙結果を覆すためにホワイトハウスでトランプ氏と会っていたという。

 ツイッターはまた、Qアノンの投稿をホストしている8Kun(元8chan)の管理者であるロン・ワトキンス氏のアカウントも削除したという。

絶対的権力の行使を懸念

 ところで、トランプ氏のアカウントが永久停止されたことについて、ACLU(アメリカ自由人権協会=言論の自由を守ることを目的としたアメリカのNGO)はどう考えているのだろうか? 同協会上級立法顧問のケイト・ルエン氏はこう話している。

「彼のアカウントを永久停止したいことはわかるが、フェイスブックやツイッターのような企業が、何ビリオンものスピーチのために不可欠となっているプラットフォームから人々を排除するために絶対的権力を行使すると、特に政治的現実からそんな決定を行うと、みなが懸念するはずだ。トランプ氏は、国民とコミュニケーションするために、プレスチームやフォックスニュースに頼ることができる。しかし、ソーシャルメディアから検閲を受けてきた黒人や有色人種、LGBTQの活動家たちはそんな贅沢なことはできない。テック企業がみなにとって透明性のあるルールを採用してくれたらと思う」

 自身のプラットフォームを立ち上げる可能性があるというトランプ氏。そのプラットフォームには多くのトランプ支持者が殺到することだろう。トランピズムはこうして消滅することなく、これからも存続していく。

 米大統領選は結局のところ、これまであった分断をいっそう深める結果となった。バイデン政権はこの深い分断をどう解決へと導くのだろうか?

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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