Yahoo!ニュース

東京五輪、来夏開催できなければ完全中止か「日本側は1年以上は延期できないと言った」IOC

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
来夏に延期された東京五輪、開催されなければ完全に中止か。(写真:アフロ)

 爆弾発言が飛び込んできた。

 東京オリンピックは2020年夏に開催されるか、そうでなければ、完全に中止されるというのだ。

 アメリカのスポーツ誌スイミング・ワールド・マガジン編集長のクレイグ・ロード氏が、米国時間4月22日、報じている。

 国際オリンピック委員会(IOC)ヴァイス・プレジデントのディック・パウンド氏が、“新型コロナのパンデミックが来夏までに十分に抑制されない場合、日本側は、さらなる延期はできないとIOCに言った”と、4月17日のカナディアン・ブロードキャスティング・コーポレーション(CBC)のインタビューで明かしたという。

「日本側は“我々は1年は延期できるが、1年以上は延期できない”と言った。2021年のオリンピックに間に合うように(選手たちが)準備できることを願うしかない」(パウンド氏)

 日本オリンピック委員会(JOC)は、来夏開催できなかったら完全中止にしたいと考えているということか。

最大20%の給与カットか

 アメリカ・オリンピック&パラリンピック委員会(USOPC)も、オリンピック完全中止の可能性も考慮に入れて、スタッフの給与を最大20%カットする準備をしようとしていることがわかった。

 AP通信が入手した、USOPCのCEO、サラ・ハーシュランド氏がスタッフに送ったレターによると、USOPCは、“10〜20%の給与カットは、現在の収益の遅れと今後数年にわたる収益の減少との収支を合わせるために必要”としており、これは、オリンピックが中止になった場合に生じる損害も考慮に入れているという。

「オリンピック中止の可能性がUSOPCにとって何を意味するのか十分に理解する必要があります。そのため、もちろん、オリンピック中止を考慮して(損害を)評価しました。中止は、選手はもちろん、我々の資金的健全性や安定性にも悲惨なインパクトを与えます。我々は中止のシナリオになってもサバイブするでしょうが、そのインパクトは非常にシビアなものになるでしょう」

この冬、さらなる猛威を振るう

 問題は、新型コロナが1年で封じ込められるかだが、それに対しては悲観的な見方があがっている。

 

 米国時間4月21日、CDC(米疾病予防管理センター)のロバート・レッドフィールド所長が、ワシントン・ポストのインタビューで、「今度の冬、新型コロナは今回よりもさらなる猛威を振るう可能性がある。我々は季節性インフルエンザの流行と新型コロナウイルスの流行に同時に向き合うことになる」と警告したのだ。

 米国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士も、ロサンゼルスのラジオ局のインタビューで「アメリカが完全に再開してノーマルな状況に戻るには、少なくとも1年から1年半はかかるかもしれない」と予測、社会的距離を取り続ける重要性を強調している。

 ワクチンや治療薬の開発にも1年〜1年半はかかると見られている。

 東京オリンピックが観客なしで行われる可能性も示唆されているが、それでも、世界中から選手たちや関係者が集まり、オリンピック終了後、世界へと戻っていくことで、感染が拡大する可能性は十分にある。

 来夏の東京オリンピック開催も危ぶまれる。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

飯塚真紀子の最近の記事