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【新型肺炎】「41%が院内感染、院内致死率は4.3% 急速なヒトヒト感染を示唆」新研究報告

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
新型コロナウイルスの流行を警告していた李文亮医師も患者から院内感染し亡くなった。(写真:ロイター/アフロ)

 700人を超える死者と3万4000人を超える感染者を出し(米国時間2月7日時点)、猛威を振い続ける新型肺炎。

 感染し、入院した人々はその後どうなったのか? そんな疑問に応える研究報告書が、2月7日(米国時間)、JAMA(The Journal of the American Medical Association、世界で広範に読まれている米国医師会刊行の医学雑誌)に発表された。

 調査は、中国湖北省武漢市の武漢大学中南医院の医師たちが、同病院に1月7日〜28日の間に入院した新型肺炎感染者138人に対して行ったもの。138人という数は、新型肺炎感染者に対して行われた調査では、これまでのところ、最大の数だという。重要な報告結果なので、紹介したい。

急速なヒトヒト感染の発生を示唆

 この報告書によると、入院した138人中41%にあたる57人の患者が院内感染により感染していたことがわかった。

 内訳では、138人の患者中、院内感染した医療従事者は40人、他の病気ですでに入院していて院内感染した患者は17人。また、138人中6人(4.3%)の患者が死亡した。

 また、138人の患者中、12人は感染源とされる華南海鮮市場を訪れたことがなかった。

 報告書は「データは、急速にヒトヒト感染が起きている可能性があることを示唆している」と指摘している。

 なぜ、院内でヒトヒト感染が起きたのか?

 その理由として、この報告書は「患者に症状はあったものの、医師が他の病気ではないかと疑って、感染予防を十分に行わなかったかったため、手遅れになってしまったのではないか」と推測している。

 例えば、ある患者は腹部症状で入院、当初、新型肺炎の感染が疑われなかったが、後で感染していることがわかり、結果的に、この病院の外科で働く10人以上の医療従事者に感染させてしまったと考えられるという。

呼吸困難になるまで平均8日

 報告書は、患者の中には、最初は、軽度や中度の症状を見せていても、数日後や1週間後に重症化する者がいることも懸念している。当初は元気に見える患者もいるため、患者の症状を注意深くモニターする必要があるというのだ。元気に見えるような患者が治っているとは限らないわけである。

 ちなみに、患者が感染の初期症状を見せてから息切れが起きるまでの平均期間は5日、入院するまでの平均期間は7日、ひどい呼吸困難になるまでの平均期間は8日だった。    

初期には下痢や吐き気

 報告書は、患者間感染の発生についても説明している。同じ病棟にいる少なくとも4人の入院患者が他の患者から感染し、全員、不定型腹部症状を見せたという。

 この4人中1人が発熱、感染が確認されたので隔離された。続いて、その患者と同じ病棟にいた3人も発熱、腹部症状を見せ、感染が確認された。

 患者に共通する症状は、発熱、空咳、筋肉痛、疲労感、呼吸困難、食欲不振。しかし、患者の多くは、初期は、下痢や吐き気といった非定型症状を見せたという。また、患者は入院中には急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、不整脈、ショック症状を併発した。

 重症患者は、ICU(集中治療室)に搬送されなかった患者と比べた場合、高齢で、基礎疾患を持っていた。

致死率はまだ高くなる

 2月3日時点では、搬送された138人中85人が入院中で、47人が退院した。ICUに搬送された36人中11人が今もICUにいるという。

「ICUに患者がまだいるので、致死率がさらに高くなる可能性がある」と彭医師は中国メディア「財新網」の取材で述べている。

 同じ取材で、同医師は、患者が発症から回復または死亡するまでの経過について以下の見解を示している。

1週目:患者が軽症から呼吸困難など重症化する期間。

2週目:回復するか、または危篤状態になるかの重要期間。免疫力の強い患者は少しずつ回復するが、免疫力の弱い患者は呼吸不全や他の臓器の機能低下が起こる。

3週目:患者の生死の分かれ目。免疫機能が徐々に良くなると、治療を受ければ治癒の見込みがあるが、そうでない患者は多臓器不全で亡くなる。

 米国の専門家の中からは「封じ込めは難しい」という声も上がっているが、感染拡大が続く中、一刻も早い、ワクチンや治療薬の開発が待たれる。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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