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ツイッターで“クビ”! トランプ大統領、ティラーソン国務長官に“100倍返し”か!?

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
解任の記者会見をするティラーソン国務長官。(写真:ロイター/アフロ)

 ティラーソン国務長官が米国時間13日、突然解任された。トランプ氏に、以下のようなツイート一つで、“クビ”を言い渡されたのである。

「CIA長官のマイク・ポンペオが新しい国務長官になる。彼は素晴らしい仕事をするだろう。これまで貢献してくれてありがとう、レックス・ティラーソン」

 いくら、辞任や解任の噂が以前から上がっていたとはいえ、ツイートでクビを知らされるとは、ティラーソン氏の気持ちはいかばかりか? 

 電撃解任に対して「通常、閣僚を解任しようとする場合、先に本人に辞任の意向がないかきくものだ」とトランプ氏のやり方を批判する声も上がっている。何をするかわからない予測不能なトランプ氏である。この解任も、彼が得意とする直感で決めたのだろう。

 バーニー・サンダース氏もこの解任劇に憤りを禁じ得ないようで、インスタグラムでこう述べている。

「本人に解任の理由も知らせず突然クビにするとは、政権が混乱しているというメッセージを送っているようなものだ。特に、米朝会談が発表され、近い同盟国のイギリスがこれまでにないケミカル攻撃を受けた今、世界の国々はアメリカの安定とリーダーシップに期待している。トランプはそれとは反対のメッセージを送っている。ツイートで国務長官をクビにするとは、とんでもない外交政策のやり方だ」

 確かに、国務長官という要職にあるティラーソン氏をツイート一つでクビにするとは、何と屈辱を与えるやり方だろう。いくらイラン核合意やパリ協定、対北政策など多くの点で考え方が相容れていなかったとはいえ、14ヶ月間、ともに政権を動かしてきた閣僚に対するリスペクトも何もあったものではない。

 あるいは、解任の背景には個人的な何かがあるのか?

 「トランプ氏は昨年、ティラーソン氏に“モロン(能無し)”呼ばわりされたが、そのリベンジを果たした」と見る向きもいるからだ。

 だとすると、それは、いかにもトランプ氏らしい。トランプ氏はかつて、“100倍返し”することを教わっているからである。筆者がインタビューしたワシントンポスト紙シニアエディターのマーク・フィッシャー氏がこんなことを話していた。

「トランプ氏のビジネスに影響を与えた人物に、弁護士のロイ・コーン氏がいます。トランプ氏は、コーン氏から“ビジネスには、戦争のようにタフにアプローチしなければならない、攻撃を受けたら100倍返しで反撃しなければならない”と教わったのです」

 リベンジであったにしろなかったにしろ、解任劇は、結局のところ、サンダース氏の指摘するように、混乱という政権の脆弱さを世界に、特に金正恩氏に知らしめる結果に終わったといえるだろう。米朝会談の行く末が目に見えるようである。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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