『梨泰院クラス』原作マンガも配信するピッコマのAWARD2020に見る韓国ウェブトゥーン人気の高まり
■約1000万の読者データから選ばれたピッコマAWARD2020とは?
株式会社カカオジャパンは、同社が運営する電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」において、2018年より実施しているマンガ賞「ピッコマAWARD」の2020年度の受賞7作品を発表。
2019年3月〜2020年2月までにピッコマで読まれた全作品を対象に、「閲覧者数」「売り上げ」「いいね数」「初めて購入した作品」の4つのカテゴリーでポイント化し、上位作品から「ピッコマAWARD 2020」受賞作の7作品を選出。
受賞した作品には、「毎日を楽しくしてくれた」ことへの感謝として、月・火・水・木・金をラテン語にした、LUNA・IGNIS・AQUA・ARBOR・AURUM・TERRA・SOLと名付けた賞を授与した。
「ピッコマAWARD 2020」受賞7作品は以下だ。
LUNA(月曜)賞 :『鬼滅の刃』吾峠呼世晴/集英社
IGNIS(火曜)賞:『俺だけレベルアップな件』DUBU(REDICE STUDIO)、Chugong、h-goon/D&C MEDIA
AQUA(水曜)賞 :『今日も拒まれてます〜セックスレス・ハラスメント 嫁日記〜 』ポレポレ美/ぶんか社
ARBOR(木曜)賞 :『終末のワルキューレ』作画:アジチカ 原作:梅村真也 構成:フクイタクミ/コアミックス
AURUM(金曜)賞 :『外科医エリーゼ』漫画:mini 原作:yuin/ Kidari Studio, INC.
TERRA(土曜)賞 :『LV999の村人』岩元健一、星月子猫、ふーみ/KADOKAWA
SOL(日曜)賞 :『極道高校生』原作:lee hoon young 作画:kim eui kwon/ TOON PLUS
7作品中『俺だけレベルアップな件』『外科医エリーゼ』『極道高校生』と3作品が韓国ウェブトゥーン(フルカラー、縦スクロール)作品となっており、日本におけるウェブトゥーン人気の高まりを感じさせる結果となっている。
ピッコマはダウンロード数2000万超。LINEマンガと並んで日本トップクラスのアクティブユーザー数、売上を誇るマンガアプリだ。そしてピッコマ、LINEマンガともに配信作品は9割以上が日本マンガであるにもかかわらず、韓国ウェブトゥーンが人気上位に食い込んでいる。
■ウェブトゥーン原作のドラマ、アニメが日本にも続々と
『キム秘書はいったい、なぜ?』『未生』など韓国ウェブトゥーンを原作とした人気ドラマはこれまでも無数に制作されてきたし、原作の日本語配信も一部はなされてきた。
2020年から21年にかけては、ウェブトゥーン原作ドラマやアニメが日本でも地上波放送ないしSVODで気軽に観られる環境になり、原作への流入およびそれをきっかけとしたウェブトゥーン閲読習慣のさらなる広がりが予想される。
たとえばNetflix配信で『愛の不時着』とともに話題となった『梨泰院クラス』はピッコマで『六本木クラス』というタイトルで読むことができるし、4月からTVアニメが放送されている『神之塔』、7月からTVアニメ放送予定の『ゴッド・オブ・ハイスクール』はいずれもLINEマンガで読める。2021年には韓国ドラマ史上最大級の予算をかけていると言われる『Sweet Home』がNetflixで配信されるが、これもLINEマンガで原作を読むことができる。
■韓国ウェブ小説も上陸
さらに、韓国ウェブ小説も日本語への翻訳が始まった。2020年3月から「ピッコマ」で、韓国D&C MEDIA(ディエンシメディア)が版権を管理するChugong『俺だけレベルアップな件』(今回のアワード受賞作)とChae Habin『アデライド』の日本語版が読めるようになった。韓国ウェブ小説が本格的にスマホアプリで翻訳配信されたのは初のことだ(紙ではイ・ヨンド『ドラゴンラージャ』などが2000年代に翻訳出版されたことがある)。
『俺だけレベルアップな件』や『アデライド』がそうであるように、人気ウェブトゥーン作品は、韓国のカカオページなどのプラットフォームに投稿・連載されたウェブ小説が原作であることが少なくない。
日本では『Re:ゼロから始める異世界生活』をはじめ、ウェブ小説サイトに投稿され、書籍化、マンガ化、アニメ化、ゲーム化、海外進出を果たしてグローバルIPに成長した作品があるが、韓国でもウェブ発コンテンツのクロスメディア展開、世界展開する作品がすでにいくつもある。
『82年生まれ、キム・ジヨン』以来、日本では韓国文学がブームになっているが、エンタメ色の強い韓国ウェブ小説も近い将来、ブームになり、定着していくかもしれない。
■韓国ウェブ小説発、ウェブトゥーンが日本でも人気な『俺だけレベルアップな件』について
連載開始からわずか1年で読者数250万人以上、月売上1億円突破と日々記録を更新。「異世界・転生」ファンを中心に20代、30代の男性読者から支持を得ている。毎週金曜日に最新話が更新されるが、更新時間の深夜0時に読者が殺到するのもその人気を証明している。
・あらすじ
異次元と現世界を結ぶ通路”ゲート”というものが現れてからハンターと呼ばれる覚醒者たちが出現した。ハンターはゲート内のダンジョンに潜むモンスターを倒し対価を得る人たちだ。しかし全てのハンターが強者とは限らない。人類最弱兵器と呼ばれるE級ハンター「水篠旬」母親の病院代を稼ぐため嫌々ながらハンターを続けている。ある日、D級ダンジョンに隠された高難易度の二重ダンジョンに遭遇した旬は、死の直前に特別な能チカラを授かる。旬にだけ見えるデイリークエストウィンドウ、旬ひとりだけが知るレベルアップの秘密。毎日届くクエストをクリアし、モンスターを倒せばレベルアップする!? 果たして旬ひとりのレベルアップはどこまで続くのか――