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まさかの「ゴミ出し」がTwitterのトレンドに!ゴミ出しの回数を減らし臭いの悩みを解消する方法とは

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(写真:Paylessimages/イメージマート)

2020年8月10日(祝)の朝から午前10時ごろにかけて、Twitterで「ゴミ出し」がトレンドになっていた。

2020年8月10日(祝)午前8時頃のTwitter「日本のトレンド」は「ゴミ出し」。このあと4,000件台に突入する(公式Twitterから筆者がスクリーンショット)
2020年8月10日(祝)午前8時頃のTwitter「日本のトレンド」は「ゴミ出し」。このあと4,000件台に突入する(公式Twitterから筆者がスクリーンショット)

ちょうど週明けの月曜日ということや、お盆休みに入る前というタイミングだからかもしれない。

ところで、夏場のゴミ、特に生ゴミは、においやコバエが気になる。

それを解消するのが、次の3つだ。

1、ベジブロス

ベジブロスとは、玉ねぎの皮や枝豆の殻など、食べない部分を煮出した、野菜のだしのこと。

生ゴミとして直行させる前に、まず、ベジブロスとして活用する。

我が家では、玉ねぎの皮や、野菜の硬い部分などは、まとめて冷凍しておく。

玉ねぎの皮など集めて冷凍しておく(筆者撮影)
玉ねぎの皮など集めて冷凍しておく(筆者撮影)

ある程度の量たまったら、鍋に移す。

冷凍しておいた「野菜くず」(筆者撮影)
冷凍しておいた「野菜くず」(筆者撮影)

そこに水を加えて、煮出していく。「ベジブロス」だから基本的に野菜だけだが、たまたまエビやカニの殻があれば、入れることもある。

ベジブロスを作るために鍋で煮出していく(筆者撮影)
ベジブロスを作るために鍋で煮出していく(筆者撮影)

そのベジブロスを使って、グリーンアスパラのリゾットを作る日もある。

グリーンアスパラガスのリゾット(筆者撮影)
グリーンアスパラガスのリゾット(筆者撮影)

市販の調味料を使うより、自然で、奥深い味になる。

2、コンポストや家庭用生ゴミ処理機

2つめは、生ゴミをコンポスト(堆肥)にしたり、家庭用の生ゴミ処理機にかけたりすることだ。

生ゴミの重量のうち、80%は水分だ。この水分があるため、放置しておくと、特に気温の高い夏は腐敗してにおいで悩まされることになる。

そこで、コンポストの登場だ。

枝豆の殻をコンポストに(筆者撮影)
枝豆の殻をコンポストに(筆者撮影)

庭や畑のある人は、すでにやっていると思う。庭や畑のないマンション暮らしの人でも、最近では、ベランダでもできるコンポストが出ている。神奈川県葉山町の「キエーロ」のミニバージョン「ベランダ・ミニ」もそうだし、LFCコンポストなども便利だ。

筆者は、マンション住まいで、2箇所あるベランダの両方に、コンポストのポリバケツを置いている。ただ、一戸建てと違い、ベランダのすぐ隣や上下にお住まいの人がいるので、生ゴミを濡れたままコンポストに投入すると、腐敗して臭いを発生して迷惑をかける恐れがある。そこで、家庭用の生ゴミ処理機でいったん乾燥させたものを入れている。また、微生物の分解に頼っているため、分解能力を超える量を入れないよう、調整している。

家庭用生ゴミ処理機(筆者撮影)
家庭用生ゴミ処理機(筆者撮影)

家庭用生ゴミ処理機は、生ゴミを入れて、スイッチを押せばOK。数時間放置しておけば、熱風で乾燥されている。においもないし、音も気にならない。

生ゴミ処理機のふたを開けたところ。このケースに生ゴミを入れてふたを閉め、スイッチを押せばOK(筆者撮影)
生ゴミ処理機のふたを開けたところ。このケースに生ゴミを入れてふたを閉め、スイッチを押せばOK(筆者撮影)

2017年6月からこれまで、生ゴミ処理機で700回以上乾燥させ、乾燥前後で重量を計測したところ、平均で60%以上の重量が減り、合計177kgのゴミ重量を減らすことができた。

バナナの皮や枝豆の殻もパリパリに乾く(筆者撮影)
バナナの皮や枝豆の殻もパリパリに乾く(筆者撮影)

マンション暮らしの人は、上階から下までゴミを持っていくのも面倒だと思うが、ゴミ出しの回数は以前と比べてぐんと減った。

生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(%)(筆者計測データを元にYahoo!ニュース編集部が制作)
生ごみ乾燥後残量と減少分の割合(%)(筆者計測データを元にYahoo!ニュース編集部が制作)

3、「賞味期限」などに対する思考を変える

3つめは、「賞味期限」や「食べられる部分」に対する意識や思考を変えることだ。

8月8日(土)から、食品ロスをテーマとしたドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』が公開されている。筆者も出演させていただいている。

公開日には、この映画のプロデューサー、関根健次さんと、日本語版の吹き替えを担当している俳優の斎藤工(たくみ)さんとのインスタライブが開催された(2020年8月10日現在も視聴可能)。

映画『もったいないキッチン』プロデューサー関根健次さんと、映画アンバサダーで俳優の斎藤工さんのインスタライブ(映画『もったいないキッチン』公式インスタグラムより)

この中で、斎藤工さんが、次のような趣旨のことを話していた。

映画で、なすのへたを食べるシーンが出てくるが、自分も映画を観て、「ここは食べられない」と思っていた範囲が変わった。「食べられない」と決めてしまっていた。「でも違うよね」と潜在的に思っていたことが、映画を見て「やっぱりそうですよね」と気づくことができた。

自分の価値観や、食べ物の見方が劇的に変化した。「これも食べられるんじゃない?」「賞味期限ってなんだっけ?」

数字で提示されたものを、主体性を持って判断するということ。それは人間の根幹。

出典:斎藤工さんが8月8日のインスタライブでお話した内容の趣旨

賞味期限(黄色)と消費期限(赤)のイメージ(以前の農林水産省HP)
賞味期限(黄色)と消費期限(赤)のイメージ(以前の農林水産省HP)

斎藤工さんがおっしゃる通り、食品が食べられるかどうかは、書いてある数字(賞味期限)を鵜呑みにするのではなく、自分で五感を使って判断しなければならない。

そうすることで、今まで「ゴミ」と思い込んでいたものが、実は「ゴミ」ではなくなることに気がつく。

今朝の「ゴミ出し」ツイートの中で、「剪定した枝を刻んでゴミにして出した」という内容があった。剪定した枝や落ち葉、りんごの芯や魚の骨などは、欧州では「ゴミ」として焼却処分するのではなく、「Organic(オーガニック)」として分別収集し、バイオマスのガスなどに資源化して活用している。

「汚い」「臭い」「とっとと出そう」「燃やせば済む」というのが「ゴミ」に対するイメージかもしれないが、実は「ゴミ」はそもそも資源であって、一見ゴミのように見えるものを「ゴミ」にしてしまっているのは人間なのだ。

以上、

夏場のゴミ出しをラクにするための3つのヒントをお伝えした。現在、年間2兆円を超えている日本のゴミ処理費の削減に少しでも役立てば、と願っている。

参考:

夏の生ごみ、においや汁だれを解決する方法とは?最大5万円もらえる助成金、夏休みの自由研究にも

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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