SDGs世界レポート(19)規格外を活用し受賞多数!スウェーデン初の救済食品ケータリングサービス

Rude Food のお二人とペオ・エクベリさん(左端)(関係者撮影)

規格外の野菜や果物など、流通されない生鮮食品や、食品メーカー・飲食店で使われない食品は、世界の様々な国で発生している。

そのような、食品ロスになりそうだった食品を救い、「レスキュードフード(Rescued Foods:救済された食品)」として、スウェーデン初の「レスキュードフードケータリングサービス」を行うのが、Rude Food(ルードフード)だ。

Rude Foodが引き取った果物や野菜(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
Rude Foodが引き取った果物や野菜(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

食品メーカーや飲食店だけではなく、イベント会社や行政などとも連携し、レスキュードフードの活用や食品ロスを削減する取り組みを推進し ている。2015年にはマルメ環境賞を受賞、2018年にはスコーネ地方フード賞多様性部門を受賞するなど、多数の受賞歴があり、マスメディアにも多く取り上げられている。

2019年、スウェーデンのマルメ市で活動する、Rude Food(ルードフード)を訪ねた。

Rude Foodのロゴ(株式会社ワンプラネット・カフェ撮影)
Rude Foodのロゴ(株式会社ワンプラネット・カフェ撮影)

スウェーデンでは全国の市民向けに賞味期限などの教育を実施

取材では、株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリさんに、スウェーデン語の通訳とカメラマンをお願いした。

株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリさん(筆者撮影)
株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリさん(筆者撮影)

Rude Foodがレスキュー(救済)する食品には、規格外や見栄えが悪い野菜、賞味期限が接近しているものなど様々だ。ペオさんいわく、スウェーデンでは、賞味期限の意味などを市民が学ぶ、全国の教育プログラムが展開されているという。

取材当日に救済されていた果物(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
取材当日に救済されていた果物(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

ペオ・エクベリさん(以下、ペオ):スウェーデンでは、賞味期限に別の言い方があります。「bast fore-datum」で、直訳すると、「この日にちの前の方がいい。だから、駄目ではない」という。英語で「best before」という。それ(賞味期限)を超えても、臭いがしたり、ちょっと変な味がしたりして悪くなっていたら捨てるんだけど、悪くないんだったら食べられるよ、と。そのような賞味期限の意味を学ぶ市民向けの教育、全国の教育プログラムを、今、やっています。

ーそれは、いつから始まったんですか?

ペオ:つい最近だと思いますね。

ー2016年に、スウェーデンのカールスタッド大学の研究者の方が日本に来て、彼女が賞味期限表示の動きを教えてくれた。デンマークで、賞味期限をアバウトな表示にしたところ、食品ロスが20%ぐらい減ったって。

ペオ:よく分かります。賞味期限の啓発は、5~6年前(2013~2014年)からスタートしたと思いますけど、それを全国まで広げたのは、つい最近。一般向けの教育、たとえば市役所が行う市民向け教育とか。でも、確かに、それより3~4年前から、スウェーデンのいろんな大学でも広がっていたと思う。食品ロスの意識が高まり始めたのはその頃ね。最近、やっと一般的になってきた。

ー日本は、消費期限だと日持ちが短くて5日以内。賞味期限は、品質が切れる日付じゃない。だけれども、やっぱり誤解している人が多いね。

Rude Foodの活動風景。少し見栄えが悪い野菜や黒くなりかけた果物などが運ばれてくる(右:筆者、撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
Rude Foodの活動風景。少し見栄えが悪い野菜や黒くなりかけた果物などが運ばれてくる(右:筆者、撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

2014年からスタート、スウェーデン初のレスキュードフード・ケータリングサービス

Rude Food(ルードフード)は、2014年10月、市民のボランティア活動から始まり、2015年5月にNPO(非営利団体)として認可されている。

Rude Foodで働くお二人(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
Rude Foodで働くお二人(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

ペオさんにスウェーデン語の通訳と撮影をお願いし、ルードフードで働くマリアさんに話を伺った。

マリアさん(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
マリアさん(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

ーRude Food(ルードフード)は、どこで食品が無駄になるかを把握し、生産者や流通業者、販売者などと連携して食品を救い出し、その食材でケータリングサービスを行うということですね。

Maria Petersson(マリア・ピーターソン)さん(以下、マリア):はい、そうです。回収した食品のうち、約7割から8割は、実際にケータリングに使われます。外の広場で食品を売っている人たちからも食品を受け取りますが、そこで売っているのは、だいたい海外の方が多いです。比較的きれいなものを分別して回収するため、「分別していただけますか?」と伝えるコミュニケーションが、すごくチャレンジングで(難しくて)。それができないときは、自分たちで裏で使えそうなものを分別することがあります。

取材当日に救済されていた果物(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
取材当日に救済されていた果物(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

どうしても捨てないといけないような野菜や果物に関しては、コンポスト用のボックスがあるんですよ。あいにく今日は鍵を持っていないんですけれども、コンポストはバイオガスの燃料になります。food wasteとfood lossの両方とも(食べられる部分も、食べられない部分も)。

Maria Petersson(マリア・ピーターソン)さん(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)
Maria Petersson(マリア・ピーターソン)さん(撮影:株式会社ワンプラネット・カフェ)

ー企業からは無償で受け取るのですか?

マリア:はい、無償でもらいます。食料を寄付する企業のメリットは、

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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