4月に増える新入生・新入社員の歓迎会で食べ残しによる食品ロスをゼロに、会費が安く済む3つの秘訣

第2回食生活ジャーナリスト大賞ジャーナリスト部門受賞の高橋博之氏(高山千香撮影)

4月になり、新入社員や新入生を迎える季節となった。歓迎会やパーティ、コンパなどが増える時期でもある。会が重なると、出費も増える。が、こんな時、会費を安くする秘訣がある。主なものを3つ挙げてみる。

1、料理もドリンクも少なく頼む

大人数の場合、コースで注文する方がラクな場合もあるだろう。お店でも、お客さんのニーズに合わせられるよう、料理の種類や数によって、値段がランク分けされている場合がある。そんな時は、少ないものを頼もう。歓迎会は、「食べる」のが一番の目的ではない。新しいメンバーを迎え、互いに話をし、人となりを知り、コミュニケーションを取るのが目的だ。あまりに少ないのでなければ、食べ足りなかった人は、あとで自分で何かを食べ足すなり飲むなりすればよい。

食品ロス削減検討チーム川口の会議を開催する筆者(写真奥、右)(メンバー撮影)
食品ロス削減検討チーム川口の会議を開催する筆者(写真奥、右)(メンバー撮影)

筆者は、市議や商店街の方とともに、埼玉県川口市で「食品ロス削減検討チーム川口」を主宰している。年に2回ほど、家庭で余っている食品を集めて学習支援施設に寄付する「フードドライブ」を実施し、毎月、メンバーのパン屋さんで出るパンの耳も学習支援施設の子どもたちに寄付している。先日3月29日に開催した定例会の後の懇親会には6名が出席した。居酒屋で3種類の料理を2皿ずつ頼み、すべて食べきり、会費は一人2,000円だった(筆者は、食生活ジャーナリスト大賞受賞のお祝い、ということで、ご馳走してもらった)。

食品ロス削減検討チーム川口の懇親会で食べきった料理(筆者撮影)
食品ロス削減検討チーム川口の懇親会で食べきった料理(筆者撮影)

「食品ロス削減」を謳っている手前、食べ残すことはできない、というプレッシャーもあるが、2015年7月から、ほぼ毎月、これまで30回以上開催してきた食品ロス削減のこの会では、会費が平均3,000円台と、首都圏にしては安く済む。首都圏の飲み会の場合、もちろん年齢や組織によっても違うが、5,000円を上回る金額が一般的ではないだろうか。

立食の場合、参加者の男女比や年齢構成によっても異なるが、参加人数の7掛け(70%くらい)でよいとされている。レストランのシェフに伺ったところ、「若者が多ければフライドポテトやソーセージを増やし、名刺交換が主の集まりであればドリンク中心にして、食べ残しを減らすようにしている」とのことだった。

2、幹事は参加者に食べきりを声かけする

たとえ少なく注文したとしても、食べ残してはもったいない。幹事になった人は、参加者に、食べきるよう、折に触れて声をかける。

京都市が実施した実証実験では、幹事が「食べきり」を声かけした場合としない場合とで、特に普通の居酒屋の場合には、声をかけた方が食べ残しが減ったという結果が得られた。

幹事だけでなく、参加者も、残っていたら、食べられそうな人に頼んで食べてもらう、最後のデザートを食べないなら好きな人に声をかけて余分に食べてもらう、席替えする時にはお箸やお皿、グラスも持って移動する、などのちょっとした心がけが、食べ残しを少なくする。

3月22日、食の分野のアドバイザーを務めている「文京区こども宅食」の企業向け報告会が文京区役所で開催された。この懇親会の料理について、事前の会議の場で少なくしてロスが出ないようお願いし、当日は3つあるテーブルを回ってみた。そうしたところ、飲み残しは若干あったものの、食べ物に関しては、ロスがでなかった。

文京区こども宅食の企業向け説明会・懇親会では料理が食べ切られ、参加費2000円だった(筆者撮影)
文京区こども宅食の企業向け説明会・懇親会では料理が食べ切られ、参加費2000円だった(筆者撮影)

「お目付役」である筆者が目を光らせていた・・・ということもあるが、ちょっとした心掛けや声かけだけで、ロスは無くせると思う。食べ残しがなくなれば、店側の負担が減り、結果的には飲食の価格が下がる可能性も生まれる。こども宅食の懇親会の会費は、東京都内の有名レストランに注文していたにもかかわらず、一人2,000円と格安だった。

3、可能なら啓発ツールを

食べ残しを減らして会費を安くする秘訣の1も2も出来ている場合、余裕があれば、参加者に向けた啓発ツールの作成や配布に取り組みたい。

3月28日、第2回食生活ジャーナリスト大賞授賞式が開催され、筆者は食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、食文化部門を受賞した。

第2回食生活ジャーナリスト大賞受賞者、左から特別賞受賞の日本生活協同組合連合会、ジャーナリスト部門受賞の高橋博之さん、筆者、食生活ジャーナリストの会(JFJ)代表幹事の小島正美さん(写真:監物南美氏)
第2回食生活ジャーナリスト大賞受賞者、左から特別賞受賞の日本生活協同組合連合会、ジャーナリスト部門受賞の高橋博之さん、筆者、食生活ジャーナリストの会(JFJ)代表幹事の小島正美さん(写真:監物南美氏)

その際、授章式の後に懇親会が開催されると伺ったので、前もって、立食なのかどうかを聞いておいた。

環境省の公式サイトからダウンロードし、画用紙に貼り付けて作れる「食べきり3010運動」啓発ツール(筆者撮影)
環境省の公式サイトからダウンロードし、画用紙に貼り付けて作れる「食べきり3010運動」啓発ツール(筆者撮影)

6人掛けのテーブルが複数置かれるとのことだったので、環境省のホームページから、「食べきり運動」の「3010(さんまるいちまる)運動」の普及啓発用ツールの「お花見バージョン」の用紙(A4一枚)をダウンロードし、文具店で画用紙を購入して用紙を貼り付け、複数作成し、当日、会場へ持参した。

第2回食生活ジャーナリスト大賞授賞式の食事が食べきられた様子(写真:高山千香氏)
第2回食生活ジャーナリスト大賞授賞式の食事が食べきられた様子(写真:高山千香氏)

この三角柱の普及啓発ツールを各テーブルに置き、環境省にお願いして会場に送っておいて頂いた「3010運動」のクリアファイルを参加者全員に配布した。その結果、主催者である食生活ジャーナリストの会(JFJ)の幹事の方から「この会場で食事が余っていないのを初めて見ました!」という嬉しい声を伺うことができた。(そのかわり、飲み物は残っていたそうだが・・)

提供されたお料理をしっかり食べる食生活ジャーナリストの会(JFJ)のみなさま(写真:高山千香氏)
提供されたお料理をしっかり食べる食生活ジャーナリストの会(JFJ)のみなさま(写真:高山千香氏)

以上、3点を挙げてみた。言われてみれば「なーんだ」と思うような、特に目新しいことでも何でもないかもしれない。でも、もし実行するのがそんなにたやすく簡単なことであれば、こんなにも外食での食べ残しが出ないし問題視されていないはずだ。農林水産省による平成27年度の統計調査では、宴会や披露宴での食べ残しは2桁以上と多くなっている。今や、国をあげて「食べきり運動」が進められている状況だ。

農林水産省の統計調査による外食での食べ残し率(農林水産省の統計調査による)
農林水産省の統計調査による外食での食べ残し率(農林水産省の統計調査による)

今回、年度末に開催された3つの会合で、どれも食べきりを達成することができ、参加費も安くすることができた。

授賞式で提供された料理、食べる前(写真:高山千香氏)
授賞式で提供された料理、食べる前(写真:高山千香氏)
授賞式で提供された料理、食べた後(写真:高山千香氏)
授賞式で提供された料理、食べた後(写真:高山千香氏)

全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会には全国340の自治体が参加している(2018年3月20日現在)。会費が安く済む、というメリットを享受するためにも、全国で食べきり運動を、楽しみながら、いっそう進めていきたい。