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青い発泡酒「流氷ドラフト」、緑や赤の「ヴィルゴビール」も、ふるさと祭り東京

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
東京都墨田区生まれ、女神のビール「ヴィルゴビール」(2018.1.19筆者撮影)

2018年1月12日(金)から21日(日)まで、東京ドームで「ふるさと祭り東京 日本のまつり・故郷の味」が開催されている。2009年1月から始まり、毎年1月に開催される、大規模な、全国各地の物産展だ。日本全国のまつりと地元の美味しい味をテーマに掲げている。初回2009年の入場者数は18万人弱だったのが、年々増えており、昨年2017年には405,389人(公式サイトより)と、2倍以上に増えている。2018年の今年は第10回目だ。

会場の東京ドーム(2018年1月19日、筆者撮影)
会場の東京ドーム(2018年1月19日、筆者撮影)

2018年1月17日に、食品ロス関連イベントの件で、ある企業様から面会のご依頼を受けた。その席で、この「ふるさと祭り東京」のリーフレットを頂いた。食のイベントでもあるし、食の展示会場というのは「食品ロス」が大量に発生する現場でもある。来場者は、そこに意識がのぼってはいない。そこで、1月19日、会場に行ってみた。午前10時開場の前に到着したが、すでに数百人以上の人が列をなして並んでいた。「食」というのは、こんなにも多くの人を惹きつけるのだと実感した。

会場の東京ドームに集まる人々(2018年1月19日、筆者撮影)
会場の東京ドームに集まる人々(2018年1月19日、筆者撮影)

会場に入ると、二体のお面が迎えてくれる。受付の人たちが、22ページある冊子を渡してくれる。

会場入り口正面に設置されたお面(2018年1月19日、筆者撮影)
会場入り口正面に設置されたお面(2018年1月19日、筆者撮影)

右手に曲がり、まっすぐ歩いていくと、左手の「お祭りひろば」に大きな展示物が見えてくる。

会場、お祭り広場の展示(2018年1月19日、筆者撮影)
会場、お祭り広場の展示(2018年1月19日、筆者撮影)

階段を降りていくと、全国各地のブースが広がっており、それぞれアルファベット別に区分されている(会場マップ)。

会場入り口で渡された22ページの冊子のうち、まずは19ページから20ページにかけて掲載されている「クーポンコーナー」をチェックする。ここに、毎日先着○名さま、限定の割引してくれるもの、たとえば生ビールやラーメン、ピザ、蕎麦、鯛めし、さつま揚げなど、30品目近く載っている。筆者はブース番号「E-21」の長崎カステラ切りおとしを、割引クーポンを使って購入した。

外から来た場合、展示会場の入り口はGATE22を目指す(2018年1月19日、筆者撮影)
外から来た場合、展示会場の入り口はGATE22を目指す(2018年1月19日、筆者撮影)

仕事でお世話になっている方がすでに会期中に来場しており、「(Bの)北海道のコーナーは美味しかったですよ」と聞いていたので、次に「B」のコーナーの、「ザ・北海道展」に行ってみる。おなじみの「いかめし」もある(B-7・8)が、今回は、「いかめしコロッケ」をお土産に購入してみた(ブース番号「B-31」)。1個250円。

鮨処 竜敏の色とりどりの鮨(2018年1月19日、筆者撮影)
鮨処 竜敏の色とりどりの鮨(2018年1月19日、筆者撮影)

鮨処 竜敏(ブース番号「B-24」)では、「彩りうにちらし」(1,000円)を購入した。ご飯の中に、ウニが練りこんであり、その上に、帆立や海老、蟹などがのっている。

蝦夷番屋(ブース番号「B-28」)で販売されている青い発泡酒「流氷ドラフト」(500円)(2018年1月19日、筆者撮影)
蝦夷番屋(ブース番号「B-28」)で販売されている青い発泡酒「流氷ドラフト」(500円)(2018年1月19日、筆者撮影)

蝦夷番屋(ブース番号「B-28」)では、蟹の甲羅に棒肉をのせた「かに甲羅盛り」が人気を呼んでいた。ここでは青い発泡酒「流氷ドラフト」が500円で販売されていた。なぜ青いのだろう?と思って商品のサイトを調べたところ、天然色素であるクチナシを使っているそうだ。味は、ビールに比べて苦味がなく、スッキリとしていて飲みやすい。

ヴィルゴビール(ブース番号「A-29」)では4種類のビール飲み比べを1,000円で試すことができる(2018年1月19日、筆者撮影)
ヴィルゴビール(ブース番号「A-29」)では4種類のビール飲み比べを1,000円で試すことができる(2018年1月19日、筆者撮影)

ビールに着目していたら、東京都墨田区で生まれたという、ヴィルゴビール(ブース番号「A-29」)を見つけた。4種類のビールが1,000円で飲み比べできる。ヴィルゴビールは、イギリスやベルギーで飲まれているエールタイプ(上面発酵)のビールで、「ヴィルゴ」とはラテン語で乙女座を意味するのだそうだ。

様々な種類があるヴィルゴビール(2018年1月19日、筆者撮影)
様々な種類があるヴィルゴビール(2018年1月19日、筆者撮影)

4種類は、どれでも好きなものを選べるという。緑のライチ、赤のぶどう、茶色のショコラはすぐ決まった。黄色は、マンゴーとハチミツレモンで迷ったが、ハチミツレモンに決めた。

4種類の飲み比べ(2018年1月19日、筆者撮影)
4種類の飲み比べ(2018年1月19日、筆者撮影)

ショコラは、かなり甘みがあり、甘いのが好きな筆者にも甘みが強く感じられた。他の3種類はどれもスッキリしており、中でも一番美味しいと感じたのが緑のライチだった。他にも種類があるので、ぜひお試しいただきたい。

たくさんの来場者が観客席に座っていた(2018年1月19日、筆者撮影)
たくさんの来場者が観客席に座っていた(2018年1月19日、筆者撮影)

このような食の展示会は、一年中、全国のどこかで開催されている。特に春と秋は新商品の発表会が、全国主要都市で開催されることが多い。首都圏でも、2月にスーパーマーケット・トレードショーほか、3月にはアジア最大の飲食展であるFOODEX(フーデックス)、4月には日本食糧新聞社のFABEX(ファベックス)が開催される。だが、華やかそうに見える裏側で、主催者は、大量に発生する食品ロスに頭を悩ませている。何度か相談を受けたことがある。

鮨処 竜敏の「彩りうにちらし」(2018年1月19日、筆者撮影)
鮨処 竜敏の「彩りうにちらし」(2018年1月19日、筆者撮影)

普段の食品流通でも「欠品」は嫌われるが、ここ展示会場でも、欠品しないよう、販売品は多めに準備されることが多い。ふるさと祭りは業界者向けの試食ではなく、一般の方対象の販売だが、業界者向けの展示会では、サンプル品や試食品が多めに用意されることが多い。実際、海外からの出店者が、会期中の最終日に「これ持って帰れないから捨てるしかない」とボヤいているのを耳にした。

墨田区生まれのヴィルゴビール(2018年1月19日、筆者撮影)
墨田区生まれのヴィルゴビール(2018年1月19日、筆者撮影)

食品ロス問題の啓発をする筆者も、ここ数年間、FOODEX(フーデックス)やFABEX(ファベックス)で、食品ロスを減らすための講演を依頼されて行なっている。フードバンクの広報責任者を務めていたときには、ブースで待機し、最終日に、食品企業が出展したものの余ったものを集めてトラックで持ち帰り、炊き出しや寄付に活用したことがあった。

ただ、難しいのは、出展説明会に来るのは出展企業の社員の方で、実際、会期中にブースに立つのはアルバイトの方や、外部の委託会社が手配した方で、せっかくの取り組みが伝わっておらず、ブースの人に聞いたら「え?そんなのあったんですか、知らなかった」と言われたこともある。

何人が来場するかわからない状況で、需要と供給をピッタリ合わせるのは不可能に近い。だが、せっかく楽しい食の展示会で、「足りなくなるよりたくさん用意しておいて余らして捨てた方がまし」「食品ロスより販売機会ロスの方が許されない」といった考えが、少しでもなくなるよう、食の展示会を見るたびに願っている。

ふるさと祭り東京 日本のまつり・故郷の味 

2018年1月12日〜20日(土)10:00〜21:00

2018年1月21日(日) 10:00〜18:00

(入場は閉場の30分前まで。会場にコインロッカー有り)

チケット情報

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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