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元ヤクルトのロッキーズ・カラシティ投手が遅咲きの開花。引退危機からプロ11年目でメジャー初セーブ。

一村順子フリーランス・スポーツライター
メジャー初セーブから一夜明け、取材に応じたカラシティ(フェンウェイ・パーク)

 元ヤクルトでロッキーズ所属のマット・カラシティ投手(31)が12日(日本時間13日)、敵地でのレッドソックス戦の延長10回から5番手で救援。代打で起用された先頭打者・吉田正尚外野手に左前打を許すなど、1失点(自責0)したが、後続を抑えて、プロ11年目でメジャー初セーブを挙げた。一夜明けた13日(同14日)、カラシティは、ヤクルト退団から悲願の初セーブまでの壮絶な道のりを振り返った。

 「ここでメジャー初セーブが出来るとは、思ってもいなかった。試合が中断して、再開したら行ってくれと言われて、準備した」。抑えのジョンソンと中抑えのバードを注ぎ込んだ試合は、延長戦に突入。自軍が延長10回に2点を奪った後、雨脚が強まり、試合は1時間29分中断。ローレンスも2連投しており、今季初めてセーブ機会で起用された。一死一塁から、最後はシンカーでバドゥーゴを併殺に打ち取り、マウンド上に集まったナインに次々とハイタッチで祝福された。

 2018年に1年間在籍したヤクルトでは7勝3敗3セーブの好成績を残した。カージナルズのマイコラス(元巨人)ら、最近は日本球界を経た”メジャー出戻り組”が活躍する例も多いが、帰国したカラシティを待っていたのは、シビアな現実だった。カブスではメジャーに上がれず、3年ぶりにメジャー復帰したマリナーズも自由契約となり、2020年はジャイアンツの招待選手として参加したキャンプ中に右肘を痛め、靭帯再建手術を受けた。コロナ・ウィルスの拡大でメジャーのキャンプ地が閉鎖に追い込まれる3日前のことだった。

 リハビリ後、2021年にレッドソックスとマイナー契約を結ぶが、また、肘が「ブッ飛んで」2度目のトミー・ジョン手術を経験する。マイナー暮らしが続き、ついには、独立リーグに移籍した。「この辺で潮時かもしれないと思って、引退を考え始めた。コーチとして仕事を探そうと思っていた時、ロッキーズが声を掛けてくれた」。2012年にドラフト指名を受けた古巣のマイナーオファーを受け、先月3年ぶりにメジャー復帰を果たした。

 右肘に2度メスを入れ、独立リーグも経験し、引退を考えた右腕が、遅咲きのサクセス・ストーリーを紡ぎ始めたのは、それからだ。今月3日のロイヤルズ戦で、2016年8月19日以来2480日ぶりのメジャー勝利を挙げるなど、13日までの7試合で自責0。その間、13回を投げ、5被安打4四死球、5三振と安定した投球を続けている。

 

 持ち球は、軸とするシンカー(71%)に次いで、スプリットが主流のメジャーでは珍しいフォーク(26%)を投げる。「9歳の時に、叔父さんにフォークの握りを教えて貰って以来、ずっと投げている。子供の頃はそれほど指が開かなかったけど、高校、大学でもカーブやスライダーより使えたからね。千賀(滉大・メッツ)がメジャーに来るまで、こっちでフォークピッチャーは、ほぼ僕しかいない時期もあったと思う。ロッキーズが再契約してくれたのも、(珍しい)フォークがあるからじゃないかな」

 延長10回は、代打・吉田と対戦した。実はヤクルト時代の2018年の6月9日の交流戦で、オリックス時代の吉田と対戦している。「吉田との対戦内容は覚えていないけれど、凄くいい打者だと聞いていた。ロングリリーフ(5回無失点)で勝った(4勝目)ことはよく覚えているよ」とカラシティ。プロ入り11年で挙げたメジャー初セーブの記念ボールが、ビジターのロッカーに届けられた。

フリーランス・スポーツライター

89年産經新聞社入社。サンケイスポーツ運動部に所属。五輪種目、テニス、ラグビーなど一般スポーツを担当後、96年から大リーグ、プロ野球を担当する。日本人大リーガーや阪神、オリックスなどを取材。2001年から拠点を米国に移し、05年フリーランスに転向。ボストン近郊在住。メジャーリーグの現場から、徒然なるままにホットな話題をお届けします。

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