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ヤンキース・ジャッジとガーディアンズ・クワン。タイプが異なる身長差26センチのリードオフマンが激突

一村順子フリーランス・スポーツライター
ALDS第1戦6回に二盗を決めるヤンキース・ジャッジ。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大リーグは11日(日本時間12日)にア・リーグの地区シリーズが開幕。ヤンキースが本拠地でガーディアンズを4−1で下し、09年以来のワールドシリーズ優勝に白星発進した。

 第1戦の一番打者は、ヤンキースがアーロン・ジャッジ。ガーディアンズはスティーブン・クワン。タイプが異なる両外野手がリードオフに起用された。201センチのジャッジと175センチのクワン。身長差26センチが象徴するように、2人の外野手は、正反対とも言えるアプローチでチームを地区優勝に牽引した。

 公式戦62本塁打を放ち、ア・リーグ最多本塁打を更新したジャッジが率いるヤ軍は、両リーグ1位の254本塁打を放ち、東地区を制した一方、563打席で、わずか60三振と「三振しない男」として名を馳せたクワンは、本塁打数は両リーグ29位の127本も、チーム三振数は両リーグ最少の1122個と、選球眼やコンタクトに長けたチームを中地区優勝に導いた。

 ヤンキースは、公式戦出場選手の平均年齢が両リーグ最年長の30・2歳に対し、ガーディアンズは最年少の25・9歳。30歳のジャッジと25歳のクワンは、まさにチームのシンボルとも言える存在だ。

 試合前日10日の公式会見に臨んだジャッジは、ロジャー・マリスのリーグ最多本塁打記録に挑戦した公式戦終盤を振り返り、「1打席毎に球場が熱狂するのを感じた。皆の声援が嬉しかった」とファンに感謝する一方、「チームが勝つために何とかしようと打席に入る度に、球場全体が本塁打だけを求めている、というのは、少し奇妙な感じだった」。安打や四球ではなく、一発だけを求められる雰囲気があったことを明かしていた。一方、11日の試合前に会見したクワンは「春のキャンプでティト(フランコーナ監督)から、細かい基本をしっかりやって欲しいと言われた。塁に出て、進塁し、犠飛で生還するというようにね。ヒーローはいらない。自分で試合を決めるのではなく、次の打者に託して自分の仕事をやることを心掛けてきた」と語った。

 クワンが3回に右翼先制ソロ
 クワンが3回に右翼先制ソロ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ところが、現実は、全くそうならないのが、野球の面白いところ。第1戦でシリーズ第1号を放ったのは、公式戦6本塁打のクワンだった。3回にカウント2−0からの甘く入った直球を見逃さず、右翼席に先制ソロを放った。一方、3打数3三振のジャッジは唯一の出塁機会となった6回に走塁で試合の流れを呼び込んだ。二盗を狙い、相手捕手の二塁悪送球を誘って三塁に到達。バッテリーを揺さぶり、貴重な追加点となるリゾの2ランを呼び込んだ。

 クワンが一発を放って、ジャッジが盗塁からチャンスメーカーに。持ち味と真逆のアプローチをみせた訳だが、それだけ両選手は、引き出しの多い、好打者である証なのだろう。第2戦以降も両外野手の打席から目が離せない。

 ※公式会見談話はASAP sports 提供。

フリーランス・スポーツライター

89年産經新聞社入社。サンケイスポーツ運動部に所属。五輪種目、テニス、ラグビーなど一般スポーツを担当後、96年から大リーグ、プロ野球を担当する。日本人大リーガーや阪神、オリックスなどを取材。2001年から拠点を米国に移し、05年フリーランスに転向。ボストン近郊在住。メジャーリーグの現場から、徒然なるままにホットな話題をお届けします。

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