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近年、熱中症は増加傾向。予防に最も優先されるのは、『暑い環境を回避する・逃げる』こと。

堀向健太医学博士。日本アレルギー学会指導医。日本小児科学会指導医。
(提供:イメージマート)

熱中症とは、『暑い、あるいは蒸し暑い環境に長くいることで体温を正常に保てなくなり、体内の温度が上昇し重要な臓器の働きが悪くなることで生じる健康障害』です[1]。熱中症の死亡者数は年々増加傾向です[2]。

熱中症予防に最も優先されるのは、『暑い環境を回避する・逃げる』ことで、エアコンなどの使用が重要視されます。そして子どもは、大人より熱中症を起こしやすく、野外活動は大人よりもリスクが高まります[3]。

一方で、冷却ジェルシートの効果を示唆するようなポスター、扇風機は有害とする記事など、極端な記事も見かけます。そこで、そのような情報に惑わされないような記事を集めました。

▼7月の東京23区内の熱中症による死者数は、2006年以降で3番目の多さで、約8割はエアコンを使用していない状態の屋内で発見されている

▼子どもは特に外気温の影響を受けやすい。13歳の中学生が熱中症の疑いで亡くなった報道も。『水さえ飲めば』『保冷剤を脇に』だけでは防げないケースもあり、暑い環境を避けることを認識する必要性がある

▼冷却ジェルシートを額に貼り付けた熱中症予防のポスターがSNSで話題に。しかし冷却ジェルシートは冷感はあるものの熱中症予防に効果は薄い

▼扇風機が熱中症予防に害があるかもという記事も見かける。若者と高齢者で効果が分かれるという研究結果も。扇風機はエアコンとの併用を考慮する

まだまだ暑い時期が続きます。

熱中症への対策に関し、再度見直す機会になれば幸いです。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】

【参考文献】

[1]チャイルドヘルス 26(6): 406-410, 2023.

[2]熱中症予防情報サイト:熱中症環境保健マニュアル 2022(環境省)

(2023年8月7日アクセス)

[3]チャイルドヘルス 26(6): 420-422, 2023.

医学博士。日本アレルギー学会指導医。日本小児科学会指導医。

小児科学会専門医・指導医。アレルギー学会専門医・指導医・代議員。1998年 鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院・関連病院での勤務を経て、2007年 国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)アレルギー科、2012年から現職。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初のアトピー性皮膚炎発症予防研究を発表。医学専門雑誌に年間10~20本寄稿しつつTwitter(フォロワー12万人)、Instagram(2.4万人)、音声メディアVoicy(5500人)などで情報発信。2020年6月Yahoo!ニュース 個人MVA受賞。※アイコンは青鹿ユウさん(@buruban)。

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