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コンタクトレンズ欠品時にどういう対応をすればいいのか?

平松類眼科医
(写真:イメージマート)

 ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの関連がありコンタクトレンズの欠品が相次いでいるというニュースがありました。そこでコンタクトレンズが欠品した場合どうすればいいのか?度数の同じ他のコンタクトでいいのか?について解説しました。

〇欠品前・欠品時の対応はどうすればいいのか?

 「〇〇が欠品」というニュースが出るとパニック買いが起きてしまいます。しかし今回の場合はコンタクトレンズが全種類なくなるというわけではありません。特定メーカーのコンタクトレンズの欠品が相次いでいるという状況です。なので「コンタクトレンズそのものがなくなる」という意味ではないです。そこは焦らないでください。

 ではまだ欠品していないけれども欠品しそうな商品を自分が使っている場合、どうすればいいのでしょうか?焦って買いだめする必要はないものの、使い捨てコンタクトレンズの場合「あと数日しか持たない状態で購入を検討する」となるとすぐには手に入りません。そのため余裕をもって購入してください。

 欠品してしまった場合はどうすればいいのでしょうか?「同じ度数の他のコンタクトレンズでよいのでは?」そういう方もいますが実はそうではありません。

〇コンタクトレンズの度数が同じ場合同じではない

 コンタクトレンズの度数が同じでも同じものではないのです。どういう事でしょうか?コンタクトレンズというのは度数以外にもいろいろな要素があります。代表的なのがベースカーブ(BC)です。あなたもコンタクトレンズを持っているのならばそのケースにBCと書いて数字が書いてあるのではないでしょうか?その数字がコンタクトレンズの屈曲度合いを占めている数値となります。日本語でいうと曲率半径です。どのぐらい曲がっているのかというのを表記する場合、その曲がり度合いがずっと続いたときに円になります。その円の直径を使って示します。1ミリの直径の円と5ミリの直径の円では5ミリの直径の円の方が、カーブがなだらかになります。つまりベースカーブ・曲率半径が大きくなるとカーブがなだらかになるのです。

 車を運転しているときのカーブの度合いもこの曲率半径で示します。コンタクトレンズの場合はその曲率半径はミリ単位となります。だいたい8~9前後の数値がかいてあります。8であればベースカーブ8ミリ、8ミリの直径の円のカーブです。なのでゆるやかなカーブのレンズとなります。

 この曲率半径・ベースカーブがあっていなければ目にフィットしません。コンタクトレンズがずり落ちてしまったり、逆にきつくて目に傷がついたりするという事が起きてしまいます。目に傷がつけば痛みも出ますし、異物感もでます。ひどいと視力低下も起きてしまいます。

 ではベースカーブさえあっていればいいのか?というとこれもそうでもありません。靴を買う時に26センチの靴を買う。といってもメーカーによってきつい、はたまた逆にぶかぶかになることがあると思います。26センチ何だけれども横幅や靴の硬さなどほかの要素によっても変わるからです。同じようにコンタクトもベースカーブが同じだからといって必ずしも合うとは限りません。そのためフィッティングというのが重要になります。コンタクトをのせてみて眼科医が観察をして適切かどうかを判断するというものです。なのでコンタクトレンズをかえる時は眼科医に診てもらってフィッティングをチェックする必要があります。

 だからこそすでに欠品している場合は新しいレンズをネットで注文するのではなくて眼科で診察してもらって選ぶことが大切です。また仮にそれであったとしても長く使うと何となく不調になることもあるので初めの注文は少なめにしておいた方が無難です。

写真:イメージマート

〇コンタクトレンズかメガネ?

 今回のような報道・地震などがあると「コンタクトレンズかメガネか」という話になります。これは絶対的に「コンタクトレンズを持つならメガネも持つ」という事になります。つまり二者択一ではなくて「メガネだけ」または「メガネ+コンタクトレンズ」となります。なぜならば、コンタクトレンズは目に傷がつくなどのトラブルがあると使えません。そういう時はメガネを使う事になります。それなのにコンタクトレンズしか持っていない人がいます。無理やり傷がついてもコンタクトレンズを使う事となりさらに傷がついたり目にとっていいことがありません。なのでいざという時のためのメガネは絶対に必要になるものです。

 現在ニュースとしては一般消費者の方に関連があるコンタクトレンズだけが取りざたされています。しかしコンタクトレンズだけが欠品しているわけではありません。医療機器、薬剤なども輸入に頼っているメーカーの商品の場合は欠品が出るものがあります。新型コロナウイルス初期の頃にマスクが足りなくなったり、医療用ガウンが足りなくなったというニュースは聞いていた記憶があるかもしれません。現在はすべてが解決しているかというと医療機関が何とか対応しているためにあまり表ざたにはなっていないものの、一部の薬剤や機器では欠品や納品に時間がかかっているのが現状です。今後それが本当に医療現場で問題になってしまう事もあるかと思います。また円安の影響もあり海外に頼っている医療器具や医薬品の価格高騰も見られています。医療というのは世界情勢に影響してしまうものであることを実感します。

眼科医

医師・医学博士・眼科専門医・昭和大学兼任講師。海外および全国(北海道から沖縄まで)から患者さんが集まっている。登録者6万人以上のYouTube「眼科医平松類チャンネル」にて日々目の健康情報を発信。日経Goodayなどに連載。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等メディアにても情報発信をおこなっている。著書に「1日3分見るだけでぐんぐん目が良くなる!ガボール・アイ」「緑内障の最新治療」など多数あり、累計50万部以上。

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