大注目の “eモータースポーツ“ 年間王者はF1ドライバーとともに表彰

専用のハンドルコントローラーは時に両手を持っていかれるほど強く動く 撮影:PDI

11月4日まで開催中の東京モーターショーで、ドライビングシミュレーター「グランツーリスモSPORT」(以下:グランツーリスモ)を使った”eモータースポーツ”の大会が開催された。eモータースポーツという言葉は聞き慣れないかもしれないが、レーシングゲームを使ったeスポーツだと思ってもらえばわかりやすいだろうか。

ステージでは「自動車メーカー対抗真剣勝負」や、F1のように各国のトップドライバーたちがアメリカやモナコなど世界中を転戦する「FIAグランツーリスモチャンピオンシップ2019ワールドツアー第5戦」など多くのレースが行われた。

”ヘルメット不要の音速レース”

東京モーターショーの中でもひときわ熱気に包まれたステージだった。会場を埋め尽くす大歓声の中「世界一を決める戦いもいよいよファイナルラップ!」と実況アナウンサーが叫ぶ。力強く揺れるハンドルから一瞬片手を離し、トップの選手が額を拭う。ドライバーのユニフォームには汗が滲んでいる。

ただ、彼らはいずれもヘルメットをしていない、彼らはeモータースポーツのドライバーだ。

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(無線でピットインの指示が飛んでいくことも 撮影:PDI)

ステージにはハンドル型のコントローラーとプレイステーション本体がセットになった筐体が12台並んでいて、選手はそこに乗り込んで車を操る。ハンドルには独自開発のモーターが内蔵されており、車の挙動に連動して動く。大人でも油断すると両手をもっていかれるほどのパワーがある。

また、グラフィック描写にはとことんこだわっているグランツーリスモシリーズだけあり、近くで見ても実写かゲームかの区別がつかないほどだ。

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(実際のゲーム画面、会場には実写だと思っている方もいたほど 撮影:PDI)

”年間チャンピオンはF1王者とともに”

すでにeモータースポーツは「たかがゲーム」の領域を遥かに超えている。まず、グランツーリスモチャンピオンシップはゲーム内でのレースにもかかわらずFIA(世界自動車連盟)の公認レースになっている。

そのため、去年のFIA年間表彰式では、F1王者のルイス・ハミルトンや世界ラリー選手権のチャンピオンが並ぶ中、グランツーリスモの年間王者イゴール・フラガ選手が年間優秀選手として表彰を受けている。

また、「スキルが現実とリンクする」こともeモータースポーツの大きな特徴だ。

元来、eスポーツは選手たちのゲーマーとしてのスキルを扱うものである。当然、格闘ゲーマーの世界王者がプロボクサーに勝つことはないだろうし、野球ゲームのプロが甲子園でホームランを打つこともできない。

一方で、グランツーリスモはリアルさを追求したドライビングシミュレーターのため、グランツーリスモで鈴鹿を速く走れるドライバーは現実世界でも鈴鹿で好タイムを出せる。当然、恐怖心の有無やGによる肉体への加重など違いもあるが、とある元F1ドライバーは、鈴鹿のベストラップとゲーム内のベストが1秒しか変わらなかったと話していた。

さらに、ブラジルのイゴール・フラガ選手はグランツーリスモのトップドライバーでありながら、現在フォーミュラリージョナルヨーロッパで初参戦ながら優勝4回、10回以上表彰台に上がる凄まじい活躍を見せている。

フラガ選手はじめ、グランツーリスモ出身の選手がF1マシンに乗り込んでモナコを疾走する日もそう遠くない気がする。

“eスポーツ初心者でも楽しめる”

今回の東京モーターショーでは数多くのレースが開催されたが、どれも熱気に溢れ盛り上がっていた。

話を聞くと、ふらっと立ち寄って初めて観戦したという来場者も多くいた。従来のeスポーツはそのゲームを遊んだことのない人が見るとあまりにルールや画面が複雑で理解しづらいケースが多い(故に遊んでいると大いに盛り上がるのだが)。

ただ、eモータースポーツは車ファンであれば間違いなく熱狂できるし、モータースポーツ観戦の経験がない方でも勝敗がシンプルなので楽しみやすい。また、今回のワールドツアーの国別対抗戦では日本代表の国分涼太選手が優勝するなど、日本人選手の活躍も光っているので、お気に入りの選手を見つけて応援するのもいいかもしれない。

昨今は車を所有する若者が減り、F1の地上波放送がなくなるなど、モータースポーツ人気もひと昔前と比べると影を落としている。そんな中、新たなモータースポーツの形としてeモータースポーツは注目を集めている。

トヨタ自動車やタグホイヤーなどがグランツーリスモの大会をスポンサーするなど、各企業も注目している“eモータースポーツ”から今後も目が離せない。

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