全国で水道管工事が一斉に停止

 水道管の一種「ダクタイル鉄管」の一部に、神東塗料株式会社が製造した不適切な合成樹脂塗料(12製品)が使われていた件の「その後」。不正は、①「日本水道協会の認証外の原料を使用したこと」、②「不正な条件で得られた試験結果で認証を取得したこと」の2点だ。塗料は主に水道管の外面に使用され、継ぎ手の内面の一部分で水道水に接触する。

著者作成
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 主要メーカーが関連製品の出荷を一時停止し、全国で水道管工事が一斉に停止する「水道管ショック」と言える事態はどうなったか。

(参考記事)「塗料不正で「水道管ショック」の事態に 工事全停止の異常、何が起きているか解説」(Yahoo!ニュース/2022年1月14日)

2製品の安全性が確認され一部の出荷・工事は再開

 1月14日、日本水道協会は「今後の対応」として、①臨時立会検査で不適切行為がないと確認できたもの、②既存資料で安全性が確認できたもの、③再度試験を行い安全性が確認できたものについて「自粛要請の解除」を行う方針を打ち出した。また、水道水の安全性について「各水道事業者が行う水質の基準検査において、水道水の安全性は担保されています」と発表した。

(資料)日本水道協会「神東塗料(株)の不適切行為に係わる一連の諸問題に対する日本水道協会の対応について」2022年1月14日(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

 1月17日、日本水道協会は、「水道施設の技術的基準を定める省令」で定める浸出試験結果により、該当の塗料のうち、衛生性に問題がないことが確認できたものについて、出荷自粛要請を取り下げた。さらに「出荷自粛リスト」を公開した。

(資料)日本水道協会「神東塗料株式会社のJWWA K 139に関わる塗料を用いた日本水道協会検査品の取扱いについて(第三報)」2022年1月17日(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

(資料)日本水道協会「神東塗料株式会社のJWWA K 139 に関わる塗料を用いた日本水道協会検査品の取扱いについて(第六報)」(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

 安全性が確認された製品、確認されなかった製品が明らかになったことを受け、1月18日、水道管メーカーは自粛していた出荷を再開した。主なメーカーの対応を以下に記す。

(資料)株式会社クボタ「ダクタイル鉄管関連製品の出荷再開について」(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

(資料)株式会社栗本鐵工所「ダクタイル鉄管関連製品の出荷再開に関するお知らせ」(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

(資料)日本鋳鉄管株式会社「神東塗料(株)製品を使用した当社製品について」(2022年1月25日午前10時最終閲覧)

 水道管の関連工事が約1週間中断されたが、各地の自治体での水道工事は段階的に再開された(まだ止まっているところも多い)。年度末は水道工事の多い時期。仮に水道工事が止まり続けると、市民にとっては長期的に見た場合の水道の持続性、関連業者にとっては事業の持続性に影響が出る。管工事会社は小規模な企業も多く経営が厳しい。

残る課題。水道水の安全性のために

 引き続き調査、情報公開も必要だ。

 日本水道協会の文書には、「この取扱いは、令和4年1月17日から令和4年7月31日までとします」(前出「神東塗料株式会社のJWWAK139 に関わる塗料を用いた日本水道協会検査品の取扱いについて(第三報)」2022年1月17日)とある。

 この間に、詳細な調査が行われると考えられる。

 まず、2製品は安全性が確認されたが、残る10製品についての安全性の確認が必要だ。また、規格外の物質は何か、その安全性について短期的、長期的な調査と情報公開が必要だ。

 次に品質試験のあり方を検討する必要がある。日本水道協会の品質試験はメーカーの自己申告に頼る仕組みだ。今回の塗料不正は、昨年10月、神東塗料株式会社の社員が内部通報窓口に連絡し、同社が調査を開始、昨年12月に日本水道協会に報告したことで明るみに出た。

 もし安全でない製品がつくられ、社員が内部通報窓口に連絡しなかったり、したとしても会社が内部処理してしまったりしたらどうなるのだろうか。影響の大きさを恐れて臭いものにフタをすれば、安全でない製品が長期間にわたって水道製品として使われる可能性はなかったか。

 水道法第2条には「国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることにかんがみ、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならない。」と明記されている。

 水道水の安全性が揺らぐようなことがあってはならない。再発防止に向け、課題は重い。

 本件に関し、経団連の十倉雅和会長は1月24日の記者会見で「品質保証はものづくりにとって一番の根幹。取引先はもちろん水道事業者、利用者にも多大なご迷惑をかけた」と話し、原因究明と再発防止策を徹底するよう求めている。