10月7日夜に発生した地震により、首都圏では多くの場所で水道が損傷。東京都水道局のTwitterによると、都内では23箇所で漏水が発生した。

松野博一官房長官は、10月8日午後の会見で、「今回の破損は、直接的には地震によるものだが、水道管の老朽化と耐震性への対応が十分でないことも課題として認識した」と発言。

地方自治体の関連する水道事業者などに対し、技術的、財政的支援を政府として行っていく方針を示した。

松野官房長官の発言の「耐震化の現状」「水道管の老朽化」「技術的、財政的支援」について見ていきたい。

耐震化の現状、全国平均で40.9%

道路の下には、水道管が網の目のように埋設されている。これらの水道管は、上の図のように、役割によって名前が異なる。

導水管…水源から浄水場まで水を運ぶ管

送水管…浄水場から配水池まで水を運ぶ管

配水管…配水池から家庭まで水を運ぶ管。メインの配水本管と、そこから枝分かれする配水枝管がある。

このうち、導水管、送水管、配水本管基幹管路という。

厚生労働省によると、令和元年度末(令和2年3月末)の基幹管路の耐震適合率は、全国平均で40.9%。

「水道事業における耐震化の状況」(令和元年度/厚生労働省)より著者が作成
「水道事業における耐震化の状況」(令和元年度/厚生労働省)より著者が作成

上の表は、厚生労働省の調査を、耐震適合率の順番に並べたもの。耐震適合率とは、基幹管路のうち耐震適合性のある管の割合だ。

耐震適合性のある管とは?

1)耐震管(地震の際でも継ぎ目の接合部分が離脱しない構造の管)

2)耐震管ではないが、布設された地盤の性状を勘案すれば耐震性があると評価できる管の2つからなる。

耐震適合率は都道府県によって差がある。神奈川県が72.3%なのに対し、徳島県は24.4%。さらに同じ都道府県内でも都市部と地方部では差異がある。

また、浄水施設の耐震化率は約32.6%、配水池の耐震化率は約58.6%であり、地震への備えは十分とは言えない。

進む水道管の老朽化

一方で、全国の水道管路総延長は約66万キロあり、このうち法定耐用年数(40年)を経過した管路は約17.6%(平成30年度)。

法廷耐用年数を超えたから、すぐに交換が必要というわけではないが、年間2万件を超える漏水・破損事故が発生している。敷設から50年、60年経過した管を地道に補修しながら使用しているのが現状だ。

管路だけでなく浄水場などの施設の老朽化も大きな問題だ。老朽化した管は交換や修理が必要だが、人口減が続く自治体は水道料金収入も減少し、予算の捻出に苦しんでいる。

技術的、財政的支援とは何か

では、松野官房長官の言う「技術的、財政的支援」とは何か。

まず財政面だが、水道事業は料金収入の減少から、財政難に陥っている。1人あたりの生活用水使用量は減っている。2000年頃は1人1日322リットルほどだったが、現在は297リットルほどになっている。同時に人口が減っている。1人が使う水の量が減り、人口が減るので社会全体の水使用量が減っている。

これが収入源につながり、耐震化や老朽化した管路の更新が進まない。

厚生労働省は建設事業費の負担軽減を目的に、令和3年度予算のなかに「水道施設整備費補助」(168億円)「生活基盤施設耐震化等交付金」(227億円)などを組み入れているが、ここを拡充させていくということだろう。

次に技術面だが、水道職員数の削減により、水道事業から専門性の高い技術が失われつつある。たとえば、漏水箇所を見つける技術も水道事業者によってばらつきがある。災害時などの深刻な事態に即応できない状況も生まれている。

厚生労働省は技術的支援として、「水道の耐震化計画等策定指針」「管路の耐震化に関する検討報告書」「水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)に関する手引き」「アセットマネジメント『簡易支援ツール』」などを作成している。

しかし、人員の少ない水道事業者では、技術の継承は難しい。水道専門の職員をおかず、異職種間の人事異動を実施している事業体では、問題の先送りという事態も起きている。

人口が減り、水道施設がボロボロになっていくという事実は変わらない。そこで「自分のまちの水道をどうするか」というビジョンを立て、行動していくことが大切だ。施設・設備や管路の早期更新、長寿命化をはじめとする水道経営の「見通し」を立てることが急務である。

また、市民も水道の味や料金だけでなく、持続性を考えるべきだ。生活のためになくてはならない水道を維持するためには、適切な投資が必要である。