環境スタートアップ大賞。プラスチックごみ問題解決を目指すピリカが受賞

受賞スピーチするピリカの小嶌社長(著者撮影)

株式会社ピリカはプラスチックごみ問題の解決を目指す

 環境省が、環境分野のイノベーション活性化のために創設した「環境スタートアップ大賞」の表彰式が、3月17日、CIC Tokyo(東京都港区)で行われた。

 81社の応募のなかから、第1回の「環境スタートアップ大臣賞」は株式会社ピリカが、事業成長が期待されるスタートアップに贈られる事業構想賞はWOTA株式会社が受賞した。

表彰式の様子(著書撮影)
表彰式の様子(著書撮影)

 株式会社ピリカは、プラスチックごみ問題の解決を目指す。国内外の河川・湾岸などで、プラスチック片の流出経路、製品・用途等の解明を目的とした調査を行う。

 独自に開発した機器(アルバトロス6号)を使用。筒型の形状の機器にスクリューで水を取り込み、内蔵したプランクトンネットでマイクロプラスチックをキャッチし、水を吐き出す。水量計も備え「どのくらいの水量に、どのくらいのマイクロプラスチックが浮遊していたか」がわかる。

 アルバトロスは現在、国連をはじめ、世界各地で採用されている。

 同社のWebサイトで公開されている最新の調査結果(2019年6月~11月、日本国内の河川・湾岸100地点で実施)では、12都府県の98地点でマイクロプラスチックを確認。東京湾など4港湾では、水1立方メートルに500個以上のマイクロプラスチックが存在する「ホットスポット」があることも判明した。

 小嶌不二夫社長は「マイクロプラスチックの流出量は、一人当たりのプラスチック使用量と人口に関係する。国内でも深刻な流出が起きており、しっかりと対策を進めなければならない」と語った。

人工芝の破片は採取されたマイクロプラスチック全体の14%

 小嶌社長は、「マイクロプラスチック流出を止めるためには、流出メカニズムを解明する必要がある」と語る。すなわち海洋に出る前に、流出品目(マイクロプラスチックがもともとどんな製品だったか)、流出経路(製品がどのようにマイクロプラスチックになり河川や海洋に流出するか)を解明することが重要だ。

 ピリカはアルバトロス6号で採取したマイクロプラスチックを分析。物性や色、成分等が共通していることからカテゴライズできるマイクロプラスチック群があり、5カテゴリーで、FT−IR(物質に赤外光を照射し、透過または反射した光を測定することで、試料の構造解析や定量を行う分析手法)のスペクトルが市販製品と一致した。

人工芝グラウンド(著者撮影)
人工芝グラウンド(著者撮影)

 判明したプラスチック片のうち、人工芝の破片は75地点で見つかり、採取されたマイクロプラスチック全体の14%を占めた。河川によっては人工芝の破片の割合が50%を超えた。

「公共のスポーツ施設などの人工芝の上で激しい運動をすると表面が削り取られる。その破片が施設周辺の側溝に入る。側溝をさらってみると多くの人工芝の破片があった」(小嶌社長)

稲作が盛んな流域で多い肥料用カプセル

 水田で使用される肥料用カプセルは、採取されたマイクロプラスチック全体の3.5%を占めた。肥料用カプセルは、「徐放性肥料カプセル」「被覆肥料カプセル」などとも呼ばれ、化学肥料をポリエチレンなどのプラスチックでコーティングしたもの。生分解性の肥料カプセルも増えてはいるが、分解されないカプセルは破片化が進み、目に見えないサイズとなる。

 稲作で大量に利用されるが、家庭菜園などでも使われる。上流部に水田が広がる富山県の小矢部川、石川県の犀川では採取したプラスチック片の約6割に達した。

ビニールシート(著者撮影)
ビニールシート(著者撮影)

 ビニールシートも多かった。ビニールシートはさまざまな業種で使用されるほか、災害時などにも使用される。使用しているうちに紫外線によって劣化し裂けやすい。

 今回の調査で、もとの製品が解明したマイクロプラスチックは3割程度。また、ペットなど水に沈むプラスチック片の調査はできていない。

「アルバトロス6号は比較的安価で操作も簡単。調査の規模を拡大するためにも、多くの人に調査に参加して欲しい」(小嶌社長)

 このようにマイクロプラスチックの流出メカニズムを解明することによって様々なことが見えてくる。

 人工芝のスポーツ施設、水田など、土地の利用方法によって原因物質は変わるし、それがどのように水に入り、大河川や港湾に集積されるかは、流域内での水の流動と関係する。人工芝であれば年間通じて流出量に変化は少ないだろうし、肥料用カプセルであれば稲作の時期に多くなる。

 ピリカは現在、企業や自治体と連携しながら調査を拡大・継続。調査結果をふまえて、マイクロプラスチックの流出を抑制するアクションを行っていく。