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気象庁「1週間程度、最大震度6強程度の地震に注意」。いかに水を確保するか。

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
福島・宮城で震度6強(写真:ロイター/アフロ)

1週間程度、最大震度6強程度の地震に注意

「令和3年2月13日福島県沖を震源とする地震」を受け、気象庁は「防災上の留意事項」として以下を発表している。

1)「揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっている。今後の地震活動や降雨の状況に十分注意すること」

2)「過去の事例では、大規模地震発生後に同程度の地震が発生した割合は1~2割ある。揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度6強程度の地震に注意。特に今後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くある」

 関東、東北地方では15日(月)に雨や風が強まり荒天となる恐れがあり、地震で緩んだ地盤が崩れる可能性もある。地震と荒天が重なり、被害が大きくなる可能性がある。

 自分の住む場所の「土砂災害リスク」を自治体のハザードマップやWEB上にあるハザードマップポータルサイトなどで確認しよう。

 もし土砂災害が発生しやすい場所に住んでいたら、早めの避難を心がけるべきだ。山やがけの近く、斜面、マサ土など崩れやすい地盤が代表例だ。

 同時に、降り積もった雪が地震によって崩れる可能性も頭に入れておくべきだろう。

 まずは自宅周辺の安全性をチェックして欲しい。

地震に備えて水を確保する

 しっかりした地盤の上に住んでいても、次の地震への備えは重要だ。

 なかでも水の確保は健康を保つうえで大切だ。現在、多くの地域で断水しているが、そうでない地域では、いまのうちに水を確保するとよいだろう。

 災害に対する水の備えをしていない人が、34.3%いることが、ミツカン水の文化センターの調査でわかっている。具体的な方法を以下に示す。

ペットボトル入りの水は賞味期限に注意

 水の備えは、市販のペットボトル入りの水の「買い置き」で行う人が多い。上記調査では、52.5%いた。

 このとき注意するのは賞味期限。賞味期限は、味の期限ではなく、表示された容量が確保できる期限だ。ペットボトルには微細な穴があいており、少しずつ水が減るため、表示された量が確保できない。そのための賞味期限だから、たとえ期限が過ぎていても、五感で確かめたり、念のため煮沸すれば使用できる。

水道水のローリングストック

 ポリタンクなど密閉できる容器に入れて水道水を保存しておく。ポリタンクを選ぶときには以下の点に注意する。

著者撮影(以下同)
著者撮影(以下同)

1)できれば口が広い(手が入る程度)もの…タンク内部が洗いやすい。内部に汚れがあると水は腐敗しやすい。

2)透明でないもの…太陽光や温度上昇によって、塩素の殺菌能力が低下するのを抑える。

3)いっぱいにしたときに自分の力でもてるもの…一般的なポリタンクは20リットル入る(満水時の重さ20キロ)が、使いやすさ、入れ替えやすさから10リットル(満水時の重さ10キロ)のタンクを用意したほうがよい場合もある(個人の体力による)。

 ポリタンクへの水道水の入れ方、入れ替え方は以下のとおり。

1)洗浄したポリタンクをよく乾かしたのち、水道水を少しずつポリタンクに注ぐ。

2)ポリタンクの口元から少し水が溢れるまで注ぎ、空気が入らないよう注意しながらキャップを閉める。

3)くみおいた日付をタグに書いてポリタンクに付ける。3日をめどに入れ替えると、そのまま飲める。1か月をめどに入れ替えると、煮沸後の飲用できる。交換時にもとのポリタンクに入っていた水は、洗濯、掃除などに使う。

4)ためた水はなるべく暗くて涼しい場所におく。

浴槽を貯水槽にする

 一般的な浴槽は満杯時に200リットルの水が入る。

 災害への備えとして残り湯を流さないという人はいるだろう。水は水質に応じて使えばよいから、残り湯をトイレの流し水に使う(下水道が機能している場合)のは有効だ。

 ただ今回、気象庁は「1週間程度は注意」「2、3日は要注意」と発表しているので、その間だけ、浴槽を貯水槽として活用し、その間はシャワーを浴びるというのもよいだろう。浴槽をきれいに洗ったあとに水を貯めれば、飲用にも使える水が確保できる。

 注意点を1つ。

 風呂水を活用する場合は、しっかりと、ふたをしておく。とくに小さな子供のいる家庭では、子供が浴槽に落ちないよう注意が必要だ。

どのくらいの水が必要か

 1人が、1日に必要な飲み水は約2リットルとされるが、被災するとビスケットや乾パンなど乾燥した食べものが中心になり、水分が不足しがちになる(普段は食べものに含まれる水分を1リットル程度吸収している)。

 だから1日に3リットル程度の飲み水が必要だ。

 必要なのは飲み水だけではない。手や顔を洗う、トイレを流す(下水道が機能していれば)など、衛生を保つための生活用水が1日に10リットル程度必要になる。

 仮に5日分を備蓄するとなると、

 飲用水1人   15リットル

 生活用水1人  50リットル

 合 計     65リットル

 が必要になる。

 3人家族の場合、195リットル必要ということになり、これを水道水のくみおきと、浴槽にためた水で備える。

 もちろん今後、地震や土砂災害が起きないことを祈りたいが、万一に備えておきたいものだ。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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